2013.
11.
23
本書は、吃音で知られる英国王ジョージ6世のSpeech Specialistであったオーストラリア人Lionel Logue(とジョージ6世)の、手紙・日記・その他様々な資料に基づく伝記です。
映画「英国王のスピーチ」(未見)と同じテーマを扱っていますが、映画化後に書かれたようで、その後新たに見つかったLogue家の資料なども参考にしているようです。
映画も見てみたいと思っているのですが、未だ機会がなく。ストーリー的にも興味ありますが、それよりも、美青年だったコリン・ファースが中年の国王を演じるというその事実の方が感慨深かったり(しみじみ)。奥さん役はヘレナ・ボナム・カーターだし(しみじみじみ)。
さて、本書。
内容はとても興味深かったのですが、Logueの生い立ちから死までが結構淡々と語られるため、少し盛り上がりに欠けるかな~という印象でした。最後まで聞いたら、「あら、終わっちゃったわ」みたいな。
映画はどういうストーリーなんだろうとWikipediaさんで内容を確認してみましたら(ホント、便利な世の中になりました)、伝記とはかなり異なる内容でした。映画では1930年代半ばの2人の出会いから、ジョージ6世のラジオ向けの戦時スピーチまでが描かれているようですが、実際の2人の出会いはその10年ほど前だし、ジョージ6世がスピーチで大失敗したエピソードも伝記とは違うし・・・と細かい点を挙げていけばキリがないのですが、こちらの方がドラマチックだし、映画は映画で面白そうです。やっぱり見たいなと思いました。
決して、伝記の内容がつまらなかったというわけではありません。
Very interesting, but not exciting
て感じでしょうか。
「英国王のSpeech Specialistになる」というそのこと自体がある意味凄いことだと思うのですが、そういう凄い毎日がbaselineとして淡々と描かれて訳で、しかもLogue自身は表舞台で活躍するわけではないですから、そりゃ起伏は少ないわな、とは思います。
Speech Specialistという肩書きはありましたが、Logueは決して専門的な教育を受けたわけではなく、暗誦だったり舞台だったりの経験を基に、第1次大戦で様々な原因で声を失った兵士たちの治療を行ったのがそもそもの始まりだったようです。
その後イギリスに渡り診療所を開いたLogueの元を、王の代理としてのオーストラリア訪問を控えたアルバート王子(ジョージ6世)が藁にも縋る思いで訪ねたのが、2人の結びつきの始まりです(と伝記にはある)。王子のオーストラリア訪問でのスピーチは成功し、それでかなり自信を持った王子がLogueを訪問することは次第に間遠になります。
なので、もしも独身の兄君エドワード8世が退位し、弟のアルバート王子が即位することにならなければ、2人の関係はそのままfade outしたかもしれません。少なくとも、伝記や映画に描かれるほど強固なものにはならなかったのではないかと思います。
ジョージ6世として即位したアルバート王子は、再び熱心にLogueの協力を求めます。
Logueは吃音を精神的な問題ではなく身体的な問題と捉え、呼吸法だったり発声法だったりを教えます。また、スピーチ原稿中のジョージ6世が苦手な音で始まる言葉を別の言葉に置き換えるのもLogueの仕事でした。例えば、ジョージ6世はgやcで始まる単語やwで始まるWhispering sound、double consonantsなどが苦手だったようで、Logueは原稿中のgovernmentをourselvesに書き換えるなどして、できる限り読み手の負担を減らすよう努力しています。その結果の成功体験が、国王の自信にも繋がっていったようです(もちろん、国王も、Logueの教えに忠実に従って日々physical training ??を続けましたが)。
軽く調べてみた限りでは、今現在でも、吃音の明確な原因は解明されておらず、「これ」という確立したPermanent cureはないようです。それを思うと、Logueは本当に偉大な仕事をしたのだなあと。
映画はクライマックスで終わっているようですが、伝記は2人の死まで続きます。Logueの方は愛妻に先立たれたり自分も健康を害したりし、ジョージ6世の方も体調が優れない上に肺癌を患ったりと、第2次大戦後は2人もあまり健康的な生活は送れなかったようです。2人は1952年(ジョージ6世)、1953年(Logue)と相次いで亡くなっています。
そんな感じですから、最後まで読むと(聴くと)、「あら、終わっちゃったわ」と同時に、ついつい諸行無常などという言葉を思い浮かべて軽く気分が盛り下がったりしてしまうのですが、それでも「King’s Speech」大変興味深かったです。心に残る1冊でした。
蛇足ですが、Logue氏はめっちゃ美男子です(<そこか<自分)。
若い頃は「妙齢のレディたちは彼に夢中だが、彼にはbeautiful wife and two sonsがいる」というようなことを地方新聞に書かれているようです。
* 本記事の内容はSayoのListening記憶に基づいていますので、細かい点が微妙に事実と相違している可能性があります。
映画「英国王のスピーチ」(未見)と同じテーマを扱っていますが、映画化後に書かれたようで、その後新たに見つかったLogue家の資料なども参考にしているようです。
映画も見てみたいと思っているのですが、未だ機会がなく。ストーリー的にも興味ありますが、それよりも、美青年だったコリン・ファースが中年の国王を演じるというその事実の方が感慨深かったり(しみじみ)。奥さん役はヘレナ・ボナム・カーターだし(しみじみじみ)。
さて、本書。
内容はとても興味深かったのですが、Logueの生い立ちから死までが結構淡々と語られるため、少し盛り上がりに欠けるかな~という印象でした。最後まで聞いたら、「あら、終わっちゃったわ」みたいな。
映画はどういうストーリーなんだろうとWikipediaさんで内容を確認してみましたら(ホント、便利な世の中になりました)、伝記とはかなり異なる内容でした。映画では1930年代半ばの2人の出会いから、ジョージ6世のラジオ向けの戦時スピーチまでが描かれているようですが、実際の2人の出会いはその10年ほど前だし、ジョージ6世がスピーチで大失敗したエピソードも伝記とは違うし・・・と細かい点を挙げていけばキリがないのですが、こちらの方がドラマチックだし、映画は映画で面白そうです。やっぱり見たいなと思いました。
決して、伝記の内容がつまらなかったというわけではありません。
Very interesting, but not exciting
て感じでしょうか。
「英国王のSpeech Specialistになる」というそのこと自体がある意味凄いことだと思うのですが、そういう凄い毎日がbaselineとして淡々と描かれて訳で、しかもLogue自身は表舞台で活躍するわけではないですから、そりゃ起伏は少ないわな、とは思います。
Speech Specialistという肩書きはありましたが、Logueは決して専門的な教育を受けたわけではなく、暗誦だったり舞台だったりの経験を基に、第1次大戦で様々な原因で声を失った兵士たちの治療を行ったのがそもそもの始まりだったようです。
その後イギリスに渡り診療所を開いたLogueの元を、王の代理としてのオーストラリア訪問を控えたアルバート王子(ジョージ6世)が藁にも縋る思いで訪ねたのが、2人の結びつきの始まりです(と伝記にはある)。王子のオーストラリア訪問でのスピーチは成功し、それでかなり自信を持った王子がLogueを訪問することは次第に間遠になります。
なので、もしも独身の兄君エドワード8世が退位し、弟のアルバート王子が即位することにならなければ、2人の関係はそのままfade outしたかもしれません。少なくとも、伝記や映画に描かれるほど強固なものにはならなかったのではないかと思います。
ジョージ6世として即位したアルバート王子は、再び熱心にLogueの協力を求めます。
Logueは吃音を精神的な問題ではなく身体的な問題と捉え、呼吸法だったり発声法だったりを教えます。また、スピーチ原稿中のジョージ6世が苦手な音で始まる言葉を別の言葉に置き換えるのもLogueの仕事でした。例えば、ジョージ6世はgやcで始まる単語やwで始まるWhispering sound、double consonantsなどが苦手だったようで、Logueは原稿中のgovernmentをourselvesに書き換えるなどして、できる限り読み手の負担を減らすよう努力しています。その結果の成功体験が、国王の自信にも繋がっていったようです(もちろん、国王も、Logueの教えに忠実に従って日々physical training ??を続けましたが)。
軽く調べてみた限りでは、今現在でも、吃音の明確な原因は解明されておらず、「これ」という確立したPermanent cureはないようです。それを思うと、Logueは本当に偉大な仕事をしたのだなあと。
映画はクライマックスで終わっているようですが、伝記は2人の死まで続きます。Logueの方は愛妻に先立たれたり自分も健康を害したりし、ジョージ6世の方も体調が優れない上に肺癌を患ったりと、第2次大戦後は2人もあまり健康的な生活は送れなかったようです。2人は1952年(ジョージ6世)、1953年(Logue)と相次いで亡くなっています。
そんな感じですから、最後まで読むと(聴くと)、「あら、終わっちゃったわ」と同時に、ついつい諸行無常などという言葉を思い浮かべて軽く気分が盛り下がったりしてしまうのですが、それでも「King’s Speech」大変興味深かったです。心に残る1冊でした。
蛇足ですが、Logue氏はめっちゃ美男子です(<そこか<自分)。
若い頃は「妙齢のレディたちは彼に夢中だが、彼にはbeautiful wife and two sonsがいる」というようなことを地方新聞に書かれているようです。
* 本記事の内容はSayoのListening記憶に基づいていますので、細かい点が微妙に事実と相違している可能性があります。
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Re: タイトルなし
ちょりーたさま、まいどです~。
「英国王のスピーチ」で検索すると、映画の予告動画が見れまする。もっとしみじみできますぞ~。映画としては面白そうです。アカデミー賞も取りましたよね。
「英国王のスピーチ」で検索すると、映画の予告動画が見れまする。もっとしみじみできますぞ~。映画としては面白そうです。アカデミー賞も取りましたよね。
映画「英国王のスピーチ」は私も同じく未見です。そしてコリン・ファースといえば「アナザー・カントリー」の美青年、ヘレナ・ボナム・カーターといえば「眺めのいい部屋」の楚々としたお嬢様のイメージが強く、私も同じくしみじみじみ・・・。
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