屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

・・・はありませんか、という質問を、幸せ英語人さんから、前回(5月30日)の記事「役に立たない、辞書の話その2」へのコメントとして頂いたのでした。

で、たらたらとAmazonさんなど調べながら、お返事を書いていたのですが、あまりに長くなってしまい、「コメント欄」に「もっと簡潔に書かれへんのか」と叱られてしまいましたので、新たに記事にすることにしました。
というわけで、幸せ英語人さん、本記事をもって、コメントへの回答とさせて頂きますね。

幸せ英語人さんが「あったらいいな」と思っておられるのは、「単語の発音が確認でき、なおかつフレーズや文章のリスニングもできるもの」であると理解致しました。間違っていたら、仰ってね。
で、結論から申しますと、そのようなものはないんじゃないか、と。

という回答では、あまりにあまりだよなあと思いますので、以下、多少はかすっているかなあと思われるものを挙げてみました。参考になさってください。


「実務文書で学ぶ薬学英語」 (医学英語シリーズ 4)(野口ジュディ アルク)
CDが付いていて、126語ですが発音を確認することができます。
すでにお持ちの書籍でしたらごめんなさい。
(私も今Amazonに注文中なのですが、「一時的に在庫切れ」の書籍と一緒に注文したので、まだ手元に届いていません)

「シャドーイングで身につける実践医療英会話」(中山書店)
「付属CDには,初級向けのゆっくりした会話から,上級者向けのナチュラル・スピードまで60分の会話を収録」とあります。
「CDで学ぶ医師のためのオールラウンド英会話」(メジカルビュー社)
CD3枚ついています。ちょっとお高いですが。

ただし、この2冊は、海外留学等、現場で英語を使用する医師を対象とした書籍のようですので、単語の発音というより、医学の現場での英会話に重きが置かれているんじゃないかなあと思います。

単語の発音が確認できればよいのであれば、英語のテキストも役に立つかなあと思います。
講義を受けて思ったのですが、あちらのテキストって、日本の大学レベルのテキストより分かりやすく書かれているものが多いような気がします。なので、ある程度の知識があれば、読むのはそんなに難しくないと思います。

“Medical Terminology: A Short Course”(Saunders, 5版)
CD付で発音確認できるようです。Amazonで中身確認できます。

あとは、ペーパーバックとAudio CDを併用する方法も。
“The Demon in the Freezer” (Richard Preston)とかどうですか?
Amazonで書籍もCD(中古だけど)も手に入るみたいですよ。
2001年の炭疽菌騒動と天然痘の制圧について書かれた本です。専門用語出てきますが、地の文章は結構平易だと思います。

以上、少しでも参考になれば幸いです。
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2011.05.31 15:22 | 辞書・参考書 | トラックバック(-) | コメント(4) |
というわけで、おおむね役に立たない、医薬辞書の話その2です。

在宅で翻訳の仕事を始めた頃(年月だけは過ぎたよな~)、「辞書も実力のうち」という言葉をよく聞いたものです。調べものといえば、手持ち辞書が基本、納期に余裕があれば図書館に走っていた時代ですから、手持ち辞書の数と種類が翻訳の質にかなりの影響を与えていたのは事実と思います。
今なら、「辞書、PC環境、使用ソフトも実力のうち」というところでしょうか。

ともかく、そんなわけで、「辞書も実力のうちよね~」と、アメリカにいた間から、少しずつ医薬関連の辞書類を買い集めてきたのでした。

「理化学辞典」(岩波書店)
実家で紙版を発見しましたので(なぜに父がソレを持っている??)、紙辞書は将来それを相続(?)させてもらうこととし、自分用にはCD-ROM版を購入しました。

「医学薬学翻訳事典」(貝沢二郎 イカロス出版 2000年)
「通訳・翻訳ジャーナル」に「こんなん出まっせ~」と広告が掲載されたので購入しました。練習問題(和英)までついた、勉強するための事典です。たぶん、今もう一度しっかり勉強したら、すごくためになると思うのですが(「医学薬学の基礎がわかる、学習者、医学・薬学業界、翻訳者のための」て謳ってあるし)、当時まだAnatomyで停滞中だったSayoには、ちょっと難しすぎる内容だったのでした。全体は、

診断法1(血圧、心電図、X線、超音波、CTなど基本的な診断法)
診断法2(血液検査、組織検査、培養、生化学検査などの診断法)
投薬と治療
新薬の開発(候補物質の確立~製造許可申請まで)
免疫機構
癌の診断と治療
遺伝子工学

の全7章に分かれていて、図表(対訳)も豊富。巻末に、練習問題の解答と索引がついています。コンパクトなサイズのくせに5500円もして最初はびっくりしたのですが、改めて中身を斜め読みしてみて、この内容で5500円は高くないよね、と思ったのでした(本来、斜め読みする本ではありません、念のため)。

「最新 英和メディカル用語辞典」(山田政美/田中芳文 講談社 2000年)
何というか、読んで楽しむ辞典であります。
TV、新聞、小説などでよく用いられる口語表現や病院内俗語などが多く取り上げられていて、使用例(出典付)&日本語訳の記されているものも多数。仕事にはほとんど役立たないと思うのですが、医療ドラマを見たり、メディカルミステリーを読んだりするのにいいかもー、という辞典です。たまにぱらぱらめくって、「ふむふむ」とひとり納得しています。

「カルテ用語集」(医学書院 2002年)
科別和英用語集
科別英和用語集
科別略語集
の順に収載されており、巻末に付録として
医薬品名(アルファベット‐対応する和名‐作用の順)、日本語索引
がついています。
カルテその他の医療記録を書くための辞書なのですが(翻訳の場合は、普通の医学辞書を使用すると思う)、個人的には、略語集が結構便利かも、でした。略語の攻略(?)には、”Medical acronyms, eponyms & abbreviation” (PMIC 4th edition)をチェックすることも。英々辞書なので、もう一度英和辞書を引いたり、Googleで調べ直したりしないといけないのが手間ですが、略語辞典なので収録語数はコチラの方が当然多いです。値段は$25くらい。

すでにご存知かと思いますが、私、医薬分野のお仕事はしていないので、これら2冊にお世話になったのは、数年前、医薬翻訳講座(通信)を受講した時くらいです。以来、この子たちは、書棚で休眠中です。なので、「ソレは仕事に必要ですか?」と問われると、「なくてもできる(たぶん)、あれば安心かも」というのが正直なところです。いや、ホント、役に立たないコメントですいません。

「今日の治療薬 2002」(南江堂)
自分や旦那や両親が処方して貰ったお薬の詳細を確認するのに、意外に活躍してくれているのでした。なので、やっぱり、そろそろ最新版に変えた方がいいかな~、でも、今の使い方からすると、「おくすり辞典」的なものにした方が実用的だよな~などと思案中の今日この頃であります。


SayoのBackgroundについては「はじめに」カテゴリの記事をご参照ください。
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2011.05.30 18:40 | 辞書・参考書 | トラックバック(-) | コメント(1) |
なので、興味とヒマのある方は、おつきあいくださいませ。

もう13年も前の話になりますが。
「医薬翻訳の基礎を勉強する!」と大志を抱いてアメリカの土を踏んだはいいが(<つって、旦那に連れて行ってもらっただけです)、肝心の辞書がない。やっぱり、勉強するには、専門辞書いるよね。
というわけで、当時購読していた「通訳・翻訳ジャーナル」(1家族につき1冊1000以内の月刊誌を会社持ちで購読できるというありがたい制度がありました<当時は月刊誌だったんですね)のバックナンバーをめくってみる。

1999年4月号の辞書特集「ジャンル別翻訳辞書図書館」のプロこだわりのお気に入り辞書(分野別)の「医学・薬学」分野では、イチ押しが「南山堂 医学大辞典(第18版)」、ニ押しが「英和・和英ドーランド図説医学大辞典(第28版)」(廣川書店)、以下「ステッドマン医学大辞典(第4版)」(メジカルビュー社)、「医学英和大辞典」(南山堂)、「25万語医学用語大辞典(CD-ROM版/電子ブック版)」(日外アソシエーツ)となっています。「25万語…」以外は、紙辞書が紹介されています。

参考までに、科学技術一般では、「ビジネス/技術実用英語大辞典」(日外アソシエーツ)がイチ押し、「マグローヒル科学技術用語大辞典」(日刊工業新聞社)がニ押し。「機械」分野では、「JIS工業用語大辞典」(日本規格協会)がイチ押し、「英和・和英 機械用語図解辞典」(日刊工業新聞社)がニ押し。「コンピュータ」分野では、「英和コンピュータ用語大辞典」(日外アソシエーツ)がイチ押し、「電気・電子・情報通信」分野では「情報・通信新語辞典(1999年版)」がイチ押し、「化学」分野では「岩波理化学事典」(岩波書店)がイチ押し、「生化学事典」(東京化学同人)がニ押しです。
ちょっと、時代を感じたりもするのであった。

閑話休題。

医学辞書の話でしたね。
南山堂医学大辞典かステッドマンかドーランドが迷ったのですが、結局、以前翻訳会社さんからお借りして使用したことがあり、中身がある程度分かっているステッドマンを選び、実家から船便で送って貰いました。自身も本の虫だった父が、「大阪の書店まで出て行く立派な言訳ができた♪」といそいそと買いに行ってくれたようです。
というわけで、この「紙版ステッドマン(第4版)」には、本当にお世話になりました。
説明が初心者向けではないという意見もあるようですし、実際、当時説明の意味を理解していたかどうかはビミョーなのですが、収録語数も豊富なので、授業の予習に英和辞典として使用するという目的にはぴったりだったと思います。

当時は勉強目的だったので、もう、このステッドマン様だけで十分だったのですが、せっかく洋書が安く買える環境にいるのだからと、「Dorland’s Illustrated Medical Dictionary (28th edition)」も購入しました。今ではほぼ書棚の片すみで休眠状態ですが、ごくたまに、医療機器の端っこをかすめるような英訳のお仕事を頂いた時、適切な表現を探すのにお世話になることがあります。説明は結構分かりやすいです。ただ、安いだけあって(47ドルくらい)、紙質が悪いのが難。

もう一冊購入して連れ帰ったのが、「Taber’s Cyclopedic Medical Dictionary (18th edition)」。これは、「Physiology」の授業の最初に、先生が、「一冊専門辞書を持つならコレ」と勧めて下さったものです。看護学生を対象とした辞書のようで(community collegeでしたので、生理学の授業といっても、看護その他の医療系の資格を得ようと聴講する学生が多かった)、収録語数はドーランドやステッドマンに比べてずっと少ないのですが、Dorland’sより説明が平易なような気がします。コンパクトサイズ(日本のハードカバー2冊分くらいの厚さ)なのも嬉しい。

ふと思いついて、Amazon.com でDorland’sとTaber’sの書評を読んでみましたら、けっこうTaber’sの評価も高いのね。Medical textbook authorを名乗られる方が、Dorland’sよりTaber’sをかっていらっしゃったのには、ちょっとびっくりしました。

「発症に悩む」(5月20日)で、signsとsymptomsの区別ができていなかったことを白状し、コソコソと去ったSayoですが、Dorland’sでもTaber’sでも、きちんと「イコールじゃないからね~」と説明されていました。ちなみにDorland’sの説明は、

An indication of the existence of something; any objective evidence of a disease, i.e., such evidence as is perceptible to the examining physician, as opposed to the subjective sensations (symptoms) of the patient (signs)

Any subjective evidence of disease or of a patient’s condition, i.e., such evidence as perceived by the patient; a noticeable change in a patient’s condition indicative of some bodily or mental state (symptom)

となっています。Taber’sの記述もおおむね同じです。(Taber’sはsignsとsymptomsを完全別ものとする分類とそうでない分類がある、としています)。
Taber’sでは、この後に、身体各部(abdomen, back, chest, ears, eyesなど)に認められるsymptoms(ここでは、症状と徴候の両者がsymptomとされているようです)にはどのようなものがあるかについての、まるまる2ページに渡る説明があります。このあたりが、Learnerにはやさしいと思うSayoなのでした。

仕事自体は、CD-ROM辞書さんたち&Google調査で、ほとんどのものが完結できているのですが(こまい仕事が多いもので)、時々、こうやって紙辞書を拾い読みするのも好きです。


SayoのBackgroundについては「はじめに」カテゴリの記事をご参照ください。
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2011.05.27 12:23 | 辞書・参考書 | トラックバック(-) | コメント(0) |
するまでもなく、せこせこと(おおむね翻訳に無関係の)記事を書いておりますが。
(で、今日も無関係な記事だったりするのでした)

本日、無事四十九日と納骨を終えました。
といっても、出席者は私ひとり、ですけど。

お寺さんに粗相があってはとか、
御礼をどうしようとか、その辺の気は使いますが、
「もてなし」に気を使う必要はないので、
係累なしのひとり娘、ある意味ラクでございます。

とはいえ。
まだ、香典返しをお送りするという仕事が残っています。
(お香典はすべて辞退したのですが、
それでもやはり「お供えに」と送って下さる方々がありまして)


相続手続きの方は、郵便局の簡易保険さんを除いて
いちおー終了致しました。
「特別代理人」がどうのとか面倒臭い話はありましたが、
何と言っても、相続財産の額が知れておりますので。
とはいえ、気分的に「終わったー」と思えるのは、
家裁に相続手続き終了報告書を提出してからになると思います。
ああ、面倒臭え~。


そんなこんな今日この頃。
実は、特養にお世話になっている父の食欲が
GW頃からこっち、がくんと落ちてしまったのでした。

一時はまったく口を開かない時期もあり、
最近は多少持ち直した感はありますが、
それでも、自力で椀を持つのが辛いようで、
現在全食介でお世話頂いております。
「食べたくない」というより
「食べるという行為自体がしんどい」ようです。
どこかが悪いというより、老衰のためと思われます。
呼び掛けには反応しよりますが、傾眠傾向が強いです。

で、ついにケアマネから
「看護師長と3人で今後のことについて話がしたい」
と呼び出しくらっちまったのでした。
今日明日、という話ではありませんが。

来たな、胃瘻。

でもだがしかし。
今回は(おおむね)「胃瘻はすまい」と決心しております。

先日看護師長と立ち話をする機会があり、
「食べようという意志があるので(←これは事実)、
胃瘻を造設して体力が戻れば、
また経口摂取行けるんじゃないかと思うんです」
という師長個人の考えをお聞きし、
そのご意見には、確かに納得したりもしたのですが。

でも。
その後の主治医定期受診で、
胆のう摘出歴のある父は、
通常の胃カメラによる胃瘻造設は無理ということが分かりまして。
腹部内臓に癒着がある可能性があるため、
胃瘻であれば開腹手術による造設、
または経鼻チューブによる栄養摂取の2択になるだろうとのことでした。

そこまでしなくていいです。
男性の平均寿命を十分以上に過ぎている父なので。
自然に大往生させてやりたいと。

今の状態での看取り(できれば施設で)を
お願いしようと思ってます。

ということなので。
早ければ今年中に父も看取ることになるかもしれません。
とはいえ。
ここ数年、この時期(気候が不安定な時期)に体調を崩し、
私自身が体調を崩しそうな夏に向かって甦ってきた
ある意味超人的な老人なんで、
案外、例年のように、もう一度復活してくれるかもしれません。

そんなこんな今日この頃ですが、実は心中
「暫くの間でいいから、仕事のことだけ考えさせてくれ~!!」
と叫んでいたりする親不孝娘のSayoなのでした。
(←いや、それほど仕事ないんですけど・・・)

ま、年取ってくると直面しなければならない現実ではありますので、
とりあえず最優先事項から優先順位などつけて、
日々を乗り切っております。

多少疲れておりますが、おおむね元気でやってます。
(勉強はなまけてますが)


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2011.05.25 21:56 | 両親のこと | トラックバック(-) | コメント(0) |
先日「統計」の本など借りに図書館に行った時に、
この魅力的なタイトルに引かれて、ついつい借りてしまったですよ。
2週間休館のため、貸出期間が通常の倍の4週間に延長されていましたのでね。

医薬翻訳に興味があるからという訳ではありませんが、
医療系のフィクションは好きでよく読みます。
最近は、海堂尊さんなど、好んで読んでいます。
まだまだ未読の作品が多いのですが
(Book Offの 105円待ちとかしてますので)、
今のところ「ジェネラルルージュの凱旋」が一番のお気に入りです。

で、話は「エピデミック」に戻りますが。

東京近郊の小都市T市で発生した未知の呼吸器系感染症の流行→収束までを描いたサイエンス・サスペンス(←という分野があるかどうか分かりませんけど)で、疫学の観点からみた流行との闘いがメインなのが、目新しく面白いです。文中、主人公の疫学者さんが、疫学を「ヤクガク」と読んだりする保健所の新人職員に疫学的手法を説明する中で、クロス(2x2)表、オッズ比、仮説の棄却などの言葉が登場し、こんなに早く、しかもこんなところ(?)で統計さん家の用語さんに再会するとは、て感じです。主人公は女性疫学者さんなのですが、その同僚、上司、T市の医師、保健所職員、謎の少年(?)など、登場人物が多いのがおばさんにはちょっと辛いですが、今のところ、楽しく(?)読み進めております。
患者は次々に増えていく、でもどこからどうやって感染しているのか分からないという中盤あたりの部分に差し掛かっており、相手が目に見えないウイルスということもあり、最後には感染源が特定され制圧される(たぶん)ということが分かっていても、やっぱりドキドキしてしまいますね。

こういう未知の感染症を扱った作品は、これまで何作か読みましたので、
参考までに下記致します。


「アウトブレイク」
ダスティン・ホフマン主演の映画のノベライズ本。
映画の「?」を小説版で理解した部分も大きかったので、個人的には小説版の方がコワかったです。
サルが宿主の致死性の感染症が主人公(?)なのですが、アメリカに密輸入された保菌サルが感染源となって、小さな町で感染が拡大していきます。ホフマンを始めとする研究者たちは、その未知のウイルスの特定と治療法の確立(ワクチン製造)を目指して、不眠不休の努力を続けるわけなんですが、そんな日が何日も続くと、どうしたって注意力も散漫に。ついつい立ったまま寝てしまい、はっと気づいて身体をしゃんと起こした拍子に、宇宙服様の完全防護服から外部空気供給用のホースが外れてしまい(ホフマン友人)…とか、血液サンプルを採ろうとした患者が突然痙攣を起こし、誤って自分の指に注射針を刺してしまい(ホフマン奥さん)…などなど、(個人的には)ホラー小説より怖い場面満載でありました。
お話の方は、逃げ出した猿を捕獲し、無事ワクチン製造に成功。友人は救えなかったものの、奥さん(&町)は救われ、冷えていた夫婦関係も元通りに。


「βの悲劇」(夏樹静子&五十嵐均)
「ドーム 終末への序曲」(1986年)の続編なのですが、前作で、全面核戦争を想定し、南太平洋の孤島に建造された、1000名が何十年も外界から隔絶された環境で生活できる「ドーム」が、続編では、新型の強毒インフルエンザで滅亡の危機にある人類を救う最後の砦となります(正確には、「なり得るか?」という感じで「ドーム」が閉じるところで物語は終わります)。
で、問題のインフルエンザ・ウイルスは、DNAコピーの過程で発生する突然変異の頻度があまりにも高すぎて、次々と型が変化するため、ワクチン製造が追いつかず、しかも致死率はほぼ100%というとんでもないシロモノ。本書では、最初にスペインで発生が確認されるのが8月1日、日本での確認は8月15日、地球のほぼ裏側ニューカレドニアでの確認が8月30日になっていて、この日に「ドーム」が閉じられます。
前作の主要登場人物の他に、様々な国の様々な立場の方々(指導者とか研究者とか一般市民とか)が登場するため、小説としては、ちょっと散漫な印象があるのが残念ですが、近未来シミュレーション小説(いや、舞台は1990年代なんですが…)としては大変興味深いと思います。


「夏の災厄」(篠田節子)
これまた少し古い小説(1998年)で、いや、ホント、最近小説読んでないよね、アンタというのがバレバレでお恥ずかしい限りなのですが。
これも東京郊外の小都市が舞台で、主人公(?)は、脳炎を発症させる未知のウイルス。かなり以前に図書館で借りて読んだだけなので、ストーリーもうろおぼえなのですが、主人公はさえないおっさんおばさんたち、その前に立ちはだかるお役所の様々な壁、市民による感染源と特定された野鳥狩り(正確にはその野鳥の餌となる貝に寄生するウイルスが感染源なのですが)、死に至らなかった患者たちのその後(重い脳炎の後遺症が残ります)の様子など、フツーに起こりそうなリアルさが怖かった記憶があります(最後に、「別の場所で、また集団感染が起こりかけているかも…」感を漂わせながら終わるところなど、十分ホラーかと)

というわけで、ウイルスは見えないだけに怖い。
・・・と思われる方は、宜しければ夏の読書のお供に。
涼もとれますので、節電効果も期待できるかと(ないない)。

SayoのBackgroundについては「はじめに」カテゴリの記事をご参照ください。
関連記事
2011.05.23 22:57 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(2) |