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屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

そう言えば、そんな題名の映画あったな~と図書館で手に取ってみました。この方は、「図書館戦争」の方が有名かなと思います(未読)。「戦争」なぞという物騒なタイトルから、勝手に男の方だとばかり思っていましたが、女性の方なんですね。

そんな訳で、何となく借りた本なのですが、これが私的には結構なヒットでした。さくっと読めて元気になれる、と申しましょうか。でも、決して、内容が軽い訳でもなく(いや、ま、軽いっちゃ軽いんですが<で、どっちやねん<自分)。

阪急今津線を舞台に、同じ電車に乗り合わせ、少しの会話を交わしたり同じ車両の同じ時間を共有した数名(数組)の男女(おおむね女性)が、次々に次の話の主人公になっていく、という連作集のような作りです。前半は、宝塚から西宮北口までの初夏のある日。後半は、西宮北口から宝塚までの翌春のある日で、「初夏のある日」を共有した主人公たちのその後が描かれます。

この連作集の主人公たちは、皆、颯爽として格好いい。「格好いい」というのは、1つは「見て見ぬ振りをしない」ということ。普段、電車やバスの中で、少しの勇気が足りなくて、或いは逆襲が怖くて、私が出来ないでいることに毅然と立ち向かう。もう1つは「周りに流されず自分は自分でいる」ということ。大学生の圭一と美帆ちゃんなんかは、自然体でそれをやっている感じです。ほっとする微笑ましいカップルです。
でも、それはたぶん、世の中を渡って行くには、決して賢いやり方ではなく、主人公の1人、翔子も、「私は私、あなた達には迎合しない」風の小学生の女の子に
「あなたみたいな女の子は、きっとこれからいっぱい損をするわ」
ときっぱり言うのです。でも、彼女は
「だけど、見てる人も絶対いるから。あなたのことをカッコいいと思う人もいっぱいいるから。私みたいに」
とも付け加えます。甘いと言えば甘いかもしれませんが、元気の出る言葉であり場面です。そして、翔子も後出のミサも、決して、最初から颯爽と格好いいわけではなく、悲愴過ぎたり周りに流される人間だったりしたのが、別の登場人物とのちょっとした触れ合いで、そんな風に変わるところが、普通でいいよな~と思うと同時に「人は変われる」と元気になったりするわけです。

という訳で、個人的には心温かく元気になれる作品、なんですけど、ね。

何と言っても秀逸(?)なのは、「えっちゃん」という高校生が、付き合っている社会人の彼氏が「いかに頼りない人物であるか(社会人の癖に漢字も読めん)」を、友人に披露する場面。その友達の絶妙の突っ込み&合いの手、そして、実はその短編の主人公であるミサが心の中で入れる「オチは! オチはどこや!」「何段オチやねんこの話!」という突っ込みには、読んでいる私も笑いを堪えることができません。恐るべし、情け容赦のない高校生。そして、そう、そうなのよ、私も、こういうボケと突込みをやりたいのよ(1人で)と悶えたりするわけです(という訳で、今後も修行に励みます)。

などと思いながらあと書きを読んだ時(ハードカバーには珍しく、あと書きがあるんです<それを読んで、初めて作者が女性だと分かったのですが)、「あ、何か似てる」と思いました。書き方とか自分で入れる合いの手とか(もちろん文章の巧拙は比ぶべくもないんですが、「私やったらここで突っ込むで」というツボが似ていると言うか)。だから、文章が読み易かった、というか語り口調が耳に心地よかったというのもあるかもしれません。

でもって、有川さんは、最後に「えっちゃん彼氏の話」に言及されています。多少のアレンジはあるものの、ほとんど電車の中で耳にした会話そのままだそうで。やっぱりホンマに生息しとったんやな、恐るべき高校生。
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2013.04.03 00:44 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(4) |