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2013. 05. 02  
GWですが、ぼちぼちと仕事をしています。
昨日は、懸案事項だった実家の雑草引きと大型ゴミ捨て(清掃工場持込み)が済んだので、今日は気分はだいぶスッキリ。と言っても、ゴミ捨てに関しては「大河の三滴」くらいの感じですが。捨てられるものはかなり捨てたので、そろそろ父の蔵書に手を付けないかんな~と思っています。ハッキリ言って、蔵書が片付いたら、我が家はかなりスッキリしそうな気がする。先日は、蔵書の間から聖徳太子様(古い1万円札)がお出ましになりましたので(ヘソクリかいっ!)、宝探し(?)と思ってぼちぼちやることにします(聖徳太子様は、銀行にて無事諭吉様に変身なさいました)。


さて表題の作品。

「名もなき毒」(宮部みゆき)と並行読みしたので、2作を比べながら読むことになりました。

「比べながら」と言っても、もちろん、どちらが優れているとか、そういうことを比べていた訳ではありません。「告白」という作品そのものは、個人的には「好き」とは思えなかったのですが、それは、主に、終わり方とか、全体を覆う閉塞感とか、救いのなさとか、そういう部分が好きになれなかったということで、湊さんの作品はこれが初読みですが、次々と視点を変えて様々な人物の語りによって物語を作り上げていく構成力とか、そもそもの着想とか、(もちろん文章力も含めて)凄いなあと思いました。文章そのものも、「引掛りなくさくさく読めた」という点で、自分に合った文章だなとも。どうも、「自分にとって読みやすい文章とそうでない文章」というのがあるようで、個人的には、例えば、伊坂幸太郎さんの文章はとても読みにくく、読破するまでに時間が掛かってしまうのです。凄いストーリーテラーだなとは思うのですが。それは多分、特に地の文の文章の癖とか細かな言葉の選び方とか間の取り方とか、そういうことなんだろうなと思います。

で、「告白」ですが。
Wikipediaさんを始め、各所で内容も紹介されていますし、映画化もされましたので、詳しく粗筋を記すことはしませんが、中学校の女性教師が、退職日に「事故死処理された娘は実はこのクラスのAとBに殺された」とクラス全員の前で2人の生徒を糾弾する章に始まり、クラス委員長の女子生徒(後に少年Aにより絞殺)→ 少年B(母を刺殺)の姉 → 少年B → 少年A → 再び女性教師の各人の視点で、話が語られるという構成のお話です。「少年A、Bが犯人である」という事実に疑問の余地はなく、女性教師の糾弾の結果、生徒たち(特に少年A、B)がどうなって行くのかに焦点が当てられていて、それらが当事者の口から語られます。

どんな小説でもひと言にまとめるのは難しいのですが、この小説を読んだ感想は「救いがない」というものでした。ストーリーの性質上ということもあるのでしょうが、登場人物の「闇」の部分が強調されていて、「よかったね」とホッとできる部分がないのは、精神衛生上かなり辛いです。

「その後」の想像を全部読者に委ねるような(本書の場合は、女性教師によって最後の鉄槌を下された少年A、心を病んだと思われる少年B、そして教師自身のその後、ということになるのかなと思います)お話の終わり方は、あまり好きではありません(この作品が、ということではなく、一般的な好みということですが)。個人的には、(ハッピーエンドであろうがなかろうが)一応の解決がなされ、その後の主要登場人物の様子がちょっとだけ描かれ、その後の彼らの人生が読者の想像に委ねられる、という収束の仕方が一番好きです。

この作品の怖いところは、全章が、語りや作文や日記やHP掲載手記といった、読者(聞き手)を意識した「語りかけの形で書かれているため、一人称でありながら、どこまで真実が語られて(書かれて)いるか分からないところ。研究バイアスではないですが、読者を意識すれば、誰でも「自分を正当化しよう」「書きたく(言いたく)ないことは切り捨てよう」という意識が働くと思いますので。そういうやり方は、作者が意識してされたことに違いないので、やっぱり、湊かなえという人は凄いと思います。

で、またまた「名もなき毒」との対比ですが。
こちらの作品でも、人の「闇」は描かれていて、登場人物の中には、闇に食い潰されてしまった人もいるのですが、お人好しで闇が少ない人もいて、「そうだね」「よかったね」な部分も多く、なおかつ好みの(↑)終わり方をしてくれるので、個人的にはこちらの作品の方が好きです。

湊かなえさんの描かれた「闇」は怖ろしいと感じるのですが、宮部さんの描かれた「闇」は哀しくて、読み返していて泣いてしまう時があります。
湊さんは、「今はこんなことが普通に起こるおかしな世の中なんです。おかしくないですか」と、どちらかと言えば問題提起的にお話を書かれているような気がします。これに対し、宮部さんは、「こんなおかしな世の中なので、誠実に正しく生きていくのは難しいし、馬鹿みたいかもしれないですよね。でも、そんなに捨てた世の中と人ばかりではないのかもしれません」という部分を強調されているような。あくまで主観的な感想ですが。どちらがよいとか悪いとか、優れているとかいないとか、そういうことではなく、書きたい思いを形にする場合のアプローチの違いなのかなーと思います。でもって、お人好しなSayoは、どちらかと言えば宮部さんに同調してしまうのでした。

というわけで。「告白」(湊かなえ)。面白いと思います。でも、好みは分かれるかな~、とも思いました。以上、勝手な読書感想文でした。
「名もなき毒」(+その他宮部みゆき作品)については、またそのうち日を改めまして。
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プロフィール

Sayo

Author:Sayo
医療機器の和訳も9年目。
老眼腰痛、最近は膝痛とも闘いつつ
翻訳人生をまっとうしようと奮闘中。
この頃になってやっと翻訳の奥深さ・
難しさ・楽しさが分かってきたような。
記事は「翻訳一般」多め、ときどき読書感想文、本業(医療機器)やや少な目。
(2019年4月現在)

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