屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

東京では翻訳祭が開かれていた26日、可哀想なSayoさんは、関西の某小クリニックにて、大腸内視鏡検査→ポリペクトミー(ポリープ切除術)の流れで、腸内飼育ポリープ3個を切除されていました(泣)。

そもそもは、10月初旬、プチ体調不良で掛かり付けのじいじ先生から消化器内科専門の先生のところへ回されたのが始まりで、その後体調不良は軽快したのですが、「大腸内視鏡検査やったことない? じゃ、念のためにやっときましょうか」という話になったものです。ちょっとクセはありますが腕のいい先生なので、11月末しか検査日が予約できず今になってしまいました(問診と腹部触診で緊急案件ではないと判断されたようです)。おお、今日もよう流行っとるわい。
「ポリープが見つかり、摘出可能と判断できれば、その場で取ります」ということで、手術承諾書にもサインしました。
というわけで、切り取られたポリープ君は現在組織検査中ですが、たぶん悪性のものではないでしょう。まあ、こればかりは結果が出てみないと何とも言えませんが。

大腸内視鏡検査を食事に例えるなら、「前日準備:前菜、当日検査前準備:メインディッシュ、検査:デザート」という感じで、検査室に入る頃には、クライマックスは終わっている感のある検査です(検査自体は15分程度)。まあ、ワタクシの場合、そのままポリペクトミーに移行しましたので、メインディッシュを2皿食した気分ですが。

当日検査前準備では、「経口腸管洗浄剤」をMAX 2L飲んで、(尾籠な話ですいません)トイレに行きまくる訳なんですが、特に普段便秘気味のワタクシはこれが何とも辛かったです。多くの方が、「内視鏡検査はもうやりたくない」と仰る訳が分かりました。もうええわ。ワタクシが飲んだのは「モビレップ」という洗浄剤でしたが、「味はさっぱり梅味」て、どこが「さっぱり梅味」なんか言うてみや!!!

大腸内視鏡検査までの流れは、以下の体験レポートに上手くまとめられているなあと思いましたので、URLをお借りしてきました。
上が検査前準備編、下が検査編です。
http://www.大腸内視鏡検査.net
http://www.大腸内視鏡検査.net/kensa.html

ポリペクトミーそのものは、痛みはありません。麻酔は、ワタクシの場合、内視鏡挿入部への局所麻酔だけだったと思います。
先生が「色素」とか「スネア」とか仰るのが、医療機器翻訳者として非常に気になりましたが(あと、接地板が貼られたのも分かり「高周波来る-♪」とうっとり・・・するわけはなく、若干びびりました)、いかんせん、腸内を映した画面がワタクシの方を向いていなかったので、ポリペクトミーを堪能することはできず、その点が残念でした(さすがに、ポリペクトミーの最中に「画面見せてください」という度胸はなかった)。

ポリペクトミーの実際については、イラスト付きのコチラの説明がとても分かりやすいと思いましたので、またまたお借りしてきました。
(あくまでも、「こんな感じなのね」と大要を掴むという意味でご覧になってくださいまし)
http://www.iiharaiin.com/cpi_polyp1.html

「2日間は自宅安静」「3日程度は粥」「10日間酒飲むな、遠出するな、激しい運動するな」とかいろいろ制約はつきますが、ポリペクトミー自体は後の痛みもなく、「めしが食えず身体に力が入りません」「食いたいものが食えません」以外に特に不自由はありません。ハッキリ言って、検査当日に襲ってきた偏頭痛の方がずっと辛かったです(絶飲絶食なので頓服飲めない→久し振りに吐いた)。

そんなわけで、NHK杯三昧の週末を過ごし、今日からブログを再開し・・・もとい、仕事を再開し、ボチボチ働いています。
ポリペクトミーの可能性を考えて少な目緩めにしといて、本当によかった。
おかげでスケオタ的歴史的瞬間にLIVEで立ち会うことができました。ある意味、メデタシ、メデタシ。
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2015.11.29 22:30 | 健康 | トラックバック(-) | コメント(4) |
聴了。

10年以上前になりますが、、著者の「Complications: A Surgeon's Notes on an Imperfect Science」を読んだことがあります。平易な英語ながらも適度に専門用語が散りばめられた、興味深い内容でしたので、「いつかはCD~♪」と思っておりました(で、「Being Mortal」も、内容はともかく、聴流し的観点からは医薬翻訳者の方にオススメです)。

Amazon.co.jpの書評→
http://www.amazon.co.jp/Being-Mortal-Medicine-What-Matters/dp/0805095152
何冊か訳書も出ているようで、本書もNew York Timesのベストセラートップ10に入ったことがあったと記憶しています。
もしかしたら、今この瞬間にも、どなたかが翻訳されているのかもしれません。

「Being Mortal」とは、有り体に言えば「人間みんな死ぬんやで」という意味ですが、本書を読んだ後では、「満足して死ぬために」「よりよく死ぬために」という表題が相応しいように思えました。

Nursing Homeの実態や医療の進歩の弊害といった現代米国の実情にも言及されていますが(それはそれで興味深いんですが)、「ヒトとしてどんな最後を迎えたいか、そのために、本人や(医師を含む)周囲は何ができるのか」について書かれた部分が、最も考えさせられた部分で、時には読み(もとい聴き)進めるのが辛い部分でもありました。大事な家族を看取られて日の浅い方には(人にもよるかと思いますが)あまりお勧めできないかも。

この本は、真の読み時がとても難しい本であるような気がします。あまり実感できない状態で読んだ場合、いっとき心に残っても日々の雑事に紛れて忘れ去ってしまうかもしれません。送った後で読んでも、「ああもできた」「こもうもできた」と辛いかも(まあ、「自分の場合」を考えるときの参考にはなるでしょうが<自分)。医師、医学生、心神の耗弱が見え隠れし始めた老親が身近におられる方は、得るものが大きいかもしれません。


その名前からも分かるとおり、Dr. Gawande(外科医)のルーツはインドです(父親が移民)。

というわけで、Gawande医師は、まず、父方の祖父と義祖母(妻の祖母)を例に挙げて、インド(子供や孫が常に世話を焼き、最後までおおむね思い通りに生きる)と米国(足腰が弱り転ぶことが増えて独居が困難になり、最後はNursing Homeで意に染まぬ最後を受け入れる)という、高齢者の生活と死という点で対極にあるように見える2国の実情を考察します。

その後、高齢者の増加、老年医(Gynecologist)の減少、Nursing Homeの歴史などが語られ、理想的なAssisted Living(各人のプライバシーが守られつつ生活支援が行われる)やNursing Home(Homeで普通に動物が飼われる、子供と共生するなど)の実例が示されます(おおむね個人の理想や理念に基づく施設ですが)。

Gawande医師は、Autonomyの重要性についても言及し、(もちろん、最後まで身体的Autonomyを維持することは困難ですが)、ケアする者の都合でbeing-led lifeになってしまうのではなく、lead one's own lifeを維持するという意味でのAutonomyが大切だと説きます(いや、それも介護システムの中ではなかなか困難だと思いますが・・・)。

そして話は、高齢者や重病患者への緩和ケア(Palliative Care)はどうあるべきかに及びます。

著者は決して癌患者への化学療法に異を唱える立場ではありません(そこは誤解なきようお願いします)。でも、実例を挙げながら、ある時点で、aggressiveな治療を止める/行わないという選択肢もあり得るのではないかと問題提起します。その際、医師として最も大事にすべきは患者にとってWhat matters mostをともに考えることで、医師はFather-like figure(「こうしなさい」と治療法を指示)でも、informative(これこれこういう治療の選択肢がありますよと情報を与え、最終決定は患者に委ねる)でもなく、interpretive(患者の「どうしたいか」を理解し、そのために最善の治療を選択する)であるべきとしています。また、患者家族も「(患者が)どんな風に最後を迎えたいか」というHard conversationに逃げずに立ち向かう必要があると述べています。

* 聴き書きなので、多少の理解ミスがあるかもしれません。大意はこんな感じです。


Hard Conversationは、ワタクシの理解では「延命治療はしない」的な取決めを確認しておくことではなく、「最後をどんな風に過ごしたいか」をきちんと話し合っておくことです。思えば、父も母も、そして私自身も、(そこそこ元気な間は)その「正面きって話したくない」話題を、「時間があるときに」「次に」と理由を付けて先延ばしにしていたよなあと。まだきちんと話ができていた間に、節目節目でHard Conversationをしていたら、もっと違った看取りもあったかもしれないと、それは、周りが何と言おうと自分に何と言い訳しようと、ワタクシがずっと心の中に抱えていく答えのない問いなのです。だから、この部分を読む(聴く)のは、なかなか辛かったです。

とはいえ、そういった話を読んで(聴いて)いく間に、Gawande医師にも「あなたはたくさんの死を看取ってきたかもしれないが、所詮医師としてではないか、患者家族の気持ちが本当に分かるのか」とビミョーに腹が立ってきたりするわけです。すると、Gawande医師自身の父親(脊髄神経腫瘍)の看取りが描かれるという爆弾が投下されるのだ。うんむー、Story Tellerだわ~。(聴き直してみると、最初の方でちらっとそれらしき言及があるのですが、そこは聞き逃してしまい、「週3回テニスする頑健な老人」というaggressiveな部分だけを覚えていたようでした)。

医師として多くの患者に接し、息子として父親とのHard conversationから逃げなかったGawande医師の言葉だからこそ、その語る内容は、より一層の説得力を持つのかもしれません。


本書では、「緩和ケア」を望んだ患者や家族は望んだとおりの平穏な満ち足りた死を迎え、最後までaggressiveな治療で闘うことを止めなかった患者は平穏とは言いがたい最後を迎えます。もちろん、すべてがそうという訳ではなく、実例として挙げられなかった中には、そうではないケースもあったに違いありません。ただ、患者が「live good life to the very end」するためには、家族も「目を背けたい話題から目を背けずきちんと話をする」ことが大切だとしみじみと思うものです。本書にもあるように、ヒトは1回しか生きて死ねないのですから。
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2015.11.21 12:26 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(0) |
自分の精神状態を推し量るSignsとして・・・

ワタクシの場合は、

1 外出したくない
2 掃除が億劫
3 紙を破きたい衝動

が揃うと特にヤバいようです。
(うつと診断されたことはありません。時々「うつ傾向」はあると思います)

3の「紙(概ね大事なもの)を破きたい衝動」は、精神的に沸騰しかかっている時なので、(自分にとってはかなり大切なものを破きますのであとでかなり後悔しますが<しかしまだフィギュアスケート関連本を破いたことはない)破く行為によって、一時的に沈静化します。まあ、問題は何も解決しないわけなんですけど。「我に返る」て感じですかね。あくまでも自分的に、ですが。有難いことに、介護でテンパっていた時以来、今のところこの破壊衝動はありません。

1と2の「外出したくない」「掃除が億劫」病は、今年、おおむね腰痛と知人の訃報に関係して、何度かやってきました。痛みはQOLに大きく関係するなあとしみじみ実感した1年でした(今も慢性的に痛いのよ)。「外出したくない」ときに「外出しなければならない」場合は、ホント、がっくり疲れます。「掃除が億劫」は、仕事が忙しいとか身体がしんどいとかの理由でそうなる訳なんですが、ふだん「家の中はきっちりしておきたい」方なので、できないという状態が、またストレスになったりします。

というわけで、ワタクシ的には、1、2がやってきたら、仕事量を(当社比)微減して、「気持ちと身体の余裕」時間を取るようにしています。ええ、もう年なので。本当は、そういう状態が来ないよう、普段からガス抜きを心掛けていればよいのでしょうけど、ワタクシはどうもそういうのが下手らしく、なかなか上手くいきません。という訳で、せめてもの「My Signs」だけは見逃さないようにと気を付けています。

来週以降、検査(当社比ちょっと大きめ<あくまでも当社比)があったり、仕事以外の用事が続いたりしますので、今の状態を続けていてはヤバいと判断し、12月上旬まで、(ほぼ正直に自己申告して)緩めに仕事を調整しました。現在ワタクシの稼ぎだけで暮らしている我が家としては、それはそれでビミョーにストレスなのですが、たまったアレコレを片付け、だらっとし、年賀状は無理として、海外用クリスマスカードまではやっつけるのが目標です。でも、Sayoの場合、目標はだいたい達成できないと相場は決まっているのだった。


「前向きに積極的に」型ではなく、普段の隠者生活にそれなりに満足している非積極的なワタクシのような性格の人間は、「この状態になると自分は(身体的にも精神的にも)ヤバい(かもしれない)」という下限を知っておくことが大事なのかもしれないと思う今日この頃。いや、この先、まだまだ、今以上の「気持ちの底」を知ることがあるかもしれないんですけど。
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2015.11.19 12:14 | 分類不能 | トラックバック(-) | コメント(4) |
・・・を書こうと思っているうちに第4戦が始まっちゃったよ~。

そんなわけで、今日はフィギュアスケート関連の記事ですんで、お好みによりスルーでお願い致します。

今年もYou Tube様のお世話になりまくりの日々です。そんなにがっつり仕事をしている実感はないんですけど。これが老化というものなのかもしれません(しみじみ)。心に残った(主に日本)選手を思いつくままに。

*スケートファンの方に来て頂くには申し訳ない内容の薄い記事なので、いつものように名前をローマ字表記しています。

スケートアメリカ

Shoma Uno: 素晴らしい「誰も寝てはならぬ」で、まだあどけなさが残るのに、妙に色気がありました(変な意味ではありません)。引退したTakahashiさんがUno選手の年齢の頃は、まだ「スケートの上手いフツーの選手」だったことを考えると、「このまま成長したら恐ろしいわ~(?)」と思わずにはいられません。これからが楽しみです。
最近は、実況のおっちゃん(・・・でも、多分私より若いと思いますが・・・)の感想や解説を聞くのが楽しみで、主にEURO Sportsの動画を見ているのですが、Uno選手のFPはベタ褒めでした(嬉)。

Shibutaniz(アイスダンス): ここ2~3年、個人的には「もっとできるよね」とちょっとやきもきする部分があったのも事実ですが、今年は「なんか、違う」感。マイアのコッペリア可愛い! 兄妹のペアということで、例えば「恋人をモチーフにできない」とか、表現の幅が狭まるというハンデはあるかと思うのですが、そこを乗り切って頑張ってほしいです。

スケートカナダ

Yuzuru Hanyu: 今年のFPは「SEIMEI」。暫く前に野村萬斎さんとの対談をTVで見たのですが、その影響か、細かな部分が初披露時とは微妙に変化したように感じました。完成が楽しみです。

Patrick Chan: 何となく「どれかのジャンプを失敗する」というイメージがあるのですが、今回は最初から最後まで素晴らしかったです。ワタクシは素人なので、難しいことは申せませんが、ステップ以外の足捌きが素晴らしく、「ただ滑っている」時がないように見えました。今回、久々のノーミスプログラムだったので、余計にそう思ったのかもしれませんが、どのジャンプも、音楽のアクセントの音にぴったり合わせて着地していていました。うんむ~、やっぱり、Chan恐るべし。

Daisuke Murakami: そのChan選手の直後に、素晴らしい演技を見せてくれましたが、彼の後だからこそ、足捌きのつたなさや音合わせの微妙なズレが目立ってしまったような気がします。ただ、昨年より、Whole Packageとして魅力あるプログラムを見られるようになったかなと。今後の成熟(決して若くはない年齢なので、成長ではなく成熟とさせて頂きました)に期待です。

中国杯

Rika Hongo: SPもFPも彼女のよさが引き立ち、欠点(猫背気味)が目立たない、観客もノリやすい、いいプログラムだと思います(ワタクシも好き~)。これまでのところ「本番ではミスしない」という印象ですが、今後ジュニア世代が育ってきて、「失うものはなく、常に挑戦する」という気持ちに僅かの揺らぎが生じたときに真価が問われるのかなという気もします。

Mao Asada: 休養前までは、アップテンポの「楽しい」系の曲にも、「そういう曲だから楽しく見えるように滑ろう」という「努力」を感じましたが、休養を経て肩の力が抜けたというか何というか。SP、本当に楽しげに滑っていました。FPではジャンプミスもありましたが、彼女がスタートポジションに立ったときの静謐な雰囲気というのは、誰にも真似できないものがあるなあと、改めて思いました。帰ってきてくれてありがとー。

Boyang Jin: FPに4回転4回って、どんな身体やねん! ただただ、その4回転のために選手生命を縮めないように、とそれだけしか言えません。スピンやステップも昨年より(それなりに)上達していて、今後どこまで行くのだろうと思わずにいられません。

KAVAGUTI / SMIRNOV(ペア): カワグチさんは荒川さんと同い年くらいだと思うのですが、未だに進化し続けるペアです。FPでミスをすることが多いのですが、今回はほぼノーミス。美しー、とため息。

HongoさんのSP→
https://www.youtube.com/watch?v=f-6nZ4D2jm8
HongoさんのFP→
https://www.youtube.com/watch?v=M2rCKxE6Vek

おまけ
最後に、カート・ブラウニングのノージャンプ・プログラムへのリンクを貼っておきます。公式戦初の4回転ジャンパーで、決してジャンプが苦手という訳ではありませんし、映像当時30台前半ですから、まだまだジャンプを跳べていたと思うのですが、あえてステップのみで構成したプログラム。アメリカのTV番組で見たのですが、鳥肌が立ちました。今回、Chan選手の素晴らしい足捌きをみて思い出し、一生懸命You Tubeさんを探して、探し当てたのですが、「著作権者からの申立てにより音声トラックがミュート」て、それ何やね~ん!! 音にもびしっとあっとるんやがな~(記憶では)!! それでも、と言ってくださる方はコチラから→
https://www.youtube.com/watch?v=1zOoV9QsjRQ
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2015.11.14 01:05 | フィギュアスケート(14-15 season~)  | トラックバック(-) | コメント(0) |
参考にした資料&URL
「図解で学ぶ医療機器業界参入の必要知識」(じほう 2013年)
PMDAの該当ページ HOME URL
医療機器センター e-learning URL
MEDIC 医療機器開発支援ネットワーク HOME URL


こんなワタクシでも、「医療機器翻訳者です」と言うと、「今後成長が見込める分野ですか」的なことを尋ねられることがあります。

たいていは、「あくまでも個人的な感触」と断って、「ムック本などにもそのように書かれていますし、今後も健康や医療に対する関心が薄れることはないでしょうから、全体的な翻訳需要が大きく減ることはないと思います」と答えているのですが、今日は、ワタクシの分かる範囲で、も少し真面目に、「医療機器」という翻訳分野について考えてみたいと思います(とここまで書いただけで、真面目な書出しにすでにバテ気味<最後は尻すぼみになってしまいましたが、Figure Skate観戦の方も忙しいので、許してやっておくんなさい)。

流れとしては、「今後も堅調ちゃうか」 → 「和訳と英訳で、傾向的なものがあるねん<たぶん」 → 「政府が力を入れとるようやけど、今後の和訳と英訳はどんな感じやねん」を、あくまでも勝手にまとめてみました、という感じです。


生老病死はワタクシたちの大きな関心事ですから、それらに関わる医療分野の翻訳については、(医療分野内での変動、というのはあるかもしれませんが)ニーズの増加はあっても減少はないと思います。

翻訳対象として考える場合、医療分野は、大きく(&かなり乱暴に)製薬関連、医療機器関連の2種類に分けられます(今後、新たに再生医療が3本目の柱となる可能性がありますが、再生医療については、メディアや雑誌から得られる程度の一般的な知識しかありませんので、本記事では扱いません)。両方の分野をこなされる翻訳者の方もおられますが、ワタクシの知る限りでは、皆さん、優秀で情報アンテナの精度も高く、常に勉強を怠らない方々ばかりです。なので、両分野でそれなりに重宝される翻訳者を目指すのであれば、かなりの努力が必要になるかなと思います。


医薬品と医療機器の市場規模はどうなのか、と言いますと・・・

2010年のデータですが、世界市場における医薬品と医療機器の市場規模の比率は、8:2です。
ただし、「種類」という点から見れば、医療機器の種類の多様性は医薬品を大きく凌駕しています(30倍弱という資料もあり)。
 * 医療機器の市場環境については、MEDICさんのコチラのページが大要を掴みやすいかなと→
 http://www.med-device.jp/html/state/market-environment.html

こちらでは、国内市場は輸入超過になっていますが、ペースメーカ、人工関節、歯科インプラントなどの生体機能補助・代行機器は輸入超過、CTやMRIなどの画像診断システム、臨床化学検査機器などの医用検体検査機器は輸出超過です。前出の「図解で学ぶ医療機器業界参入の必要知識」には、後者(輸出超過分野)については、生産の7割近くを輸出していると書かれています。
翻訳対象として考えた場合、(あくまでも比較的、てことですが)輸入超過の製品群では、英日翻訳が多く、輸出超過の製品群では日英翻訳が多くなるかと思います。


さて。
翻訳という点からは、医療機器を政府承認を必要とするものとしないもの、の2種類に分けるのが分かりやすいかなと思います。
承認を必要とする医療機器では、日本国内では厚労省の承認が(審査業務はPMDAが代行)、米国ではFDA承認が必要で(欧州では、CEマークを取得し、適合宣言をすることにより、上市が可能となります<まだイマイチよく理解できていないので、ここはあまり突っ込まないでやってください)、そのために大量の資料の翻訳が発生します(と思われます)。

国内の市場についていえば、医療機器は、(おおむね)不具合が生じた場合の人体へのリスクに応じて、I~IVの4クラスに分かれていて、数字が大きくなるほどリスクが高く、たとえば、クラスIVの機器は、「患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結するおそれがあるもの」と定義されます。クラスIII、IVの機器(改正後の医薬品医療機器法ではIIIの一部とIV)については、PMDAの審査/承認が必要となります。機器自体がどれだけ複雑であるかということよりも、人体とどのように接し、どれだけ血液や体液に触れ、どのような生体反応を惹起するか(しないか)の方が問題となります。

たとえば、医用検体検査機器である血球分析装置はクラスI、画像診断システムであるCTやMRIはクラスIIに分類され、ともに承認は不要ですが、人工関節、コンタクトレンズ、歯科インプラントなどはクラスIII、ペースメーカ、植込み型補助人工心臓、カテーテルやステント(III又はIV)、脳動脈瘤用クリップ、人工心臓弁(←「下町ロケット」後半はコレよ、コレ)などはクラスIVに分類され、承認が必要となります(改正法の下では、一部承認が不要となる可能性あり)。

クラス分類に興味のある方は、分類表をご覧ください(ただし、老眼には優しくない)→
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/24267/00165601/classlist.pdf
PMDA画面上でも、クラスを確認することができます(名称入力の必要あり)→
http://www.std.pmda.go.jp/stdDB/index_jmdn.html

補助人工心臓、ステントグラフト、人工関節等については、国内メーカ製造のものもありますが、輸入超過と述べたとおり、海外メーカのものがほとんどです。
ということで、ざっくり乱暴にまとめると、クラスIII、IVの(外資系企業)製品では、PMDA承認関連の英文資料の和訳案件が多く発生すると思われます。

では、画像診断システム等の海外輸出時に、FDA提出資料は発生しないのかといえば、必ずしもそうとは言えず、クラスII機器*については510k(市販前届)の提出が必要となります(ので、たぶんそれに伴う各種資料の英訳も)。
なので、日本製の大型医療機器については、おおむね510k用資料や膨大な量の使用説明書の英訳案件が多いのかなと、個人的には思っています。
これは、あくまでウエブページや紙版資料のみに基づく机上の類推で、実務は経験がありませんので、「ほおお、そんな感じかい」程度で流して頂ければありがたく存じます。

* 米国では医療機器はI~IIIの3種類に分類され、クラスI機器は510k免除、クラスII機器は510k届出、クラスIII機器は市販前承認申請要となります。510kは、ざっくり言えば、「米国で上市済みの同種製品と同等以上だよん」ということを証明する届です。

FDA画面上でも、クラスを確認することができます(名称入力の必要あり)→
https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfpcd/classification.cfm


で、えーと、何でしたっけ。「今度の動向的な?」でしたね。

経済産業省は、輸入超過の現状に鑑み、日本メーカの優れたものづくり技術の医療機器分野への応用を勧める医工連携事業化推進事業を打ち出し、実際、一定の成果も出ているようです(経済産業省の政策に興味のある方は→
http://www.med-device.jp/html/state/policy.html)。

この動向自体は、医療機器翻訳者としてはありがたいものなのですが、高度管理医療機器(III&IV)では、精度はもちろんですが、それ以上に「生体と長期間接触させても悪させえへんで」ということがとても重要になりますので、個人的には、中小メーカや医療現場に(ここでは主に医師や研究者とお考えください)、医療機器という特殊な機器の開発製造、さらには、PMDAやFDAの承認申請についてのノウハウがあるヒトがどれだけおるんやろ、ということが不安ではあります。

外資系企業は、医療機器メーカとして大手の企業も多く、多くの場合、ひとつの企業が、循環器、整形外科、脳神経外科、医療用消耗品など複数の事業を展開しています。このため、承認申請も含めて「医療機器を開発・製造・販売する」ノウハウの蓄積も大きいのではないかと思います。
対して、国内企業は、大手メーカの一部門として「医療機器部門」が存在するというケースがほとんどです。技術力は高くとも、「医療機器製造」という点では、まだ外資系企業の後塵を拝する部分も多いのではないかなあと、素人は考えるわけです。そこに、新たに参入しようというのですから、医工連携の体制が整い、高度管理医療機器を「輸出超過」の状態に持って行くまでには、まだ暫く時間が掛かるのではないかと、個人的には思っています。


というわけで、英訳より和訳が好きなワタクシの個人的願望も含め、「当面現状維持」と今後の動向を占ってみました。
ただ、「当面」というのがどれほどの期間になるかはなんとも言えません。

ワタクシは、「もう和訳ひと筋で朽ち果ててもいいぜ」という年齢なので、希望としては、和訳者のまま朽ち果てたいですが、別に「特に英訳が嫌い」というわけではありませんので、一応、日々、脳細胞の老化を遅らせる意味もこめて、仕事以外の英語をインプットし、たまにアウトプットもして、有事(?)に備えています。ただ、もし、あと15歳若ければ、今後の業界の動向を考慮し、現在の「植込み型機器」(クラスIII又はIV)中心という状態を維持したまま、実際に英訳案件の比率をもう少し上げていく方法を模索したかもしれません。
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2015.11.08 00:19 | 伝える | トラックバック(-) | コメント(0) |