屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

今日は旦那の大腸内視鏡検査があったのですが、痛みに弱い旦那は、鎮静剤で眠っている間に検査を受ける方法を選びやがり・・・失礼、選びました。
よって、ワタクシが、鎮静剤から覚めた旦那を拾いに行くこととなりました。

今預かり中の案件の原稿は持出し不可(社外秘)のものなので、
待ち時間のお供は、届いたばかりの「翻訳のレッスン」と「フィラデルフィア染色体」。


「翻訳のレッスン」は、今日は、「はじめに」、目次、Q&A、「あとがき」の部分だけにしておきました。残りは、時間をかけて少しずつ、味わいながら、よく考えながら読んでいきたいと思います。

「はじめに」は「翻訳を目指す人へ」と始まっていますが、「初心者もプロも必読」とあるとおり、仕事を始める前、始めてから、何かで迷ったときなど、翻訳人生のどの時点で手にとっても、少しずつ違った観点から得るものがある一冊ではないかと思います。というか、ワタクシにとっては、恐らくここが、今後迷ったら(迷わなくても時々)立ち返るべき場所になりそうな気がします。

翻訳について書かれた書籍はこれまでもありましたが、このようにいくつもの視点から書かれたものは初めてかも(単にワタクシが、これまでそうした書籍を手に取っていないだけって話かもしれないのですが)。そのさまざまな視点は「基本」に発し、「基本」に収斂されていく、そんな印象を受けました。

これまでを顧みてまだまだ足りないことだらけだとため息の出る部分も、「これでよいのだ」と背中を押して頂いた部分も、実践しなければと心を新たにする部分も、咀嚼に少し時間が掛かりそうな部分もありました(本文斜め読み段階ではありますが)。とりあえず、自分がまだ翻訳をやっている間にこの本に出会えたことを嬉しく思います。


旦那の大腸には痔と憩室以外の異常はなく、無事に連れ帰りました。
「フィラデルフィア染色体」の読書感想文は、また日を改めまして。
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2016.05.30 20:07 | 翻訳 | トラックバック(-) | コメント(0) |

[5月26日追記]

言葉を扱われる方やそれ以外の方から、いくつか反応を頂きました。
・・・というか、Twitterですが・・・
おおむね、揶揄するような内容や「よう分からんくせにええ加減なこと言うな」(←強い口調にまとめてみるとこんな感じ)的な内容でした。
記事やブログが名指しされた訳ではなく、私が疑心暗鬼になっただけのものもあり、前後の内容から、おそらくこの記事のことだとかなり高い確率で断定できそうなものもありました。
が、凹んでしまうことに違いはありません。文章全体ではなく、ひとつの言葉だけが心に刺さったものもありました。
Twitterは覗きにいくもんやない。

で、自分の記事を、丁寧に読み返してみました。

1つ。
私は記事を書くときは、結構時間をかけます。書いては書き直しを繰返し、不適切な表現や人に嫌な思いを抱かせる言葉がないかどうか、気を配っているつもりです・・・いえ、つもり、でした、が正しいのかも。この記事についていえば、普段よりかなり長い上、近日中に参考書籍を図書館に返却しなければならないということもあり、多少焦って書き、再読もおざなりになってしまったことは否めません。そのため、言葉を選ぶ際、少し吟味が足りなかったり、舌足らずになったりした部分もあるかもしれません(本文を再度読み直し、微修正しました)。ただ、文全体として「今考えていること」であることに変わりはありません。

2つ。
本ブログを始めたとき、私は「自分の考えていること、使ってよかったもの、勉強してためになったもの、読んで面白かった本」などを、「私の場合はこうでした」というスタンスで記事にしていこうと決めました。書きたいことは書くけれど、それ以上のことは書くまい。
でも、年月が経ち、同業の知合いも増え、そうした方たちとの交流も盛んになってくると、自らを「平凡ないち翻訳者」と呼び卑下する振りをしながらも、無意識のうちに、「自分をあるがまま以上に大きく見せたい」「力量があるように思って貰いたい」という欲が出てきてしまったような気がします。それが結実(でいいのかな?)したのが、今回の記事だったように思います。記事にできるほど色々なことはきちんと分かっていなかったし、では、実際問題として業界で生きていくために「自分なら」今どうするのかという視点も欠けていたと思います。それなのに、偉そうに上から目線になっていたと思います。恥ずかしいです。その点が、気に障り、嫌な思いをされた方もあるかもしれません。すでに感じた「嫌な思い」を消すことはできませんが、もしもそのような方がおられましたら、私の思い上がりのために不快な思いをさせましたことをお詫び致します。
そんな訳で、恥さらしな記事、記事ごと消してしまうこともできたのですが、「今思うこと」を書いているのは事実ですし、今後、初心にかえってもう一度等身大の記事をかくための、今後の自分への戒めてしてもこのまま置いておこうと思います。


以下、投稿時の本文(一部修正)

参考にした書籍:
「AIの衝撃」(小林雅一)
「クラウドからAIへ」(小林雅一)
「東大准教授に教わる『人工知能って、そんなことまでできるんですか?』」(塩野誠/松尾豊)

この頃、「将来、(機械翻訳により)翻訳者は不要となる(かもしれない)」という物騒な話を耳にすることがある。将来って、いつなんだろう?
「日本語はファジーな言語だから、当面、翻訳という仕事がなくなることはない」と仰る方もある。当面って、どのくらいの期間なんだろう?
「機械翻訳にはそこまでのこと(=人間と同等の翻訳)はできない」という意見もある。これからずっと、本当にそうなんだろうか?
さらには
「機械に置換されない翻訳者を目指して実力をつけよう」という声もあるけれど、それって、いったいどんな翻訳者なんだろう?(の部分は、まあ、自分で考えなければならないことなのだと思いますが))。

ということで、「よく分かんないけど、今のままで大丈夫?」と思っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。ワタクシも思います。チェスも将棋も囲碁も、AIに負けたしね。ただ、ワタクシ自身は(翻訳者としては)老い先短い身ですので、「そーなったら、止めりゃーいいじゃん」と思っている部分はあります。ありますが、できれば、自分なりに将来を考えた上で、できるだけ長く、やりたい仕事がやりたい。というこことで、少し真剣に考えてみました。

私たちは、将来、AI搭載の機械翻訳と伍していかなければならないと思うのですが、「置換されない翻訳者」を目指すには、まずはAIのことを多少は知りたいということで、上記の3冊を斜め読みして、基本的な知識を頭に入れまし(入れる努力をしました)。その後、ワタクシなりに、「では、どの部分でヒトは機械より優れているのか」を考えてみます。おおむね15~20年くらい先を想像してます。

本記事は、あくまでも現時点での考えで、今後、もう少し理解が深まったり翻訳を取り巻く状況が変わったりすれば、多少変わることもあるかもしれません。
また、ワタクシは基本和訳翻訳者ですので、対象として頭に思い描いているのは「英→日」方向の翻訳です。


じゃ、いきますよー(いつものように、前置き長い)。

ワタクシも正確に理解できたとは言い難いのですが、多少強引にまとめてみると、「AIでは、ディープ・ラーニングという手法を用いて大量のデータを解析することで、どんどんハイレベルの判断ができるようになった/今後も進化は続く」「インターネットの発達によって膨大な量のデータが手に入るようになった現代では、AIの『学習』速度も驚異的に向上している」というのが現実のように思います。
現在用いられているもの以外にも、自動運転車、災害救助、介護など様々な分野での実用化が研究/検討されているようです。

上記の書籍には、興味深い箇所が何ヵ所もありました。いくつか上げてみます(順不同)。

・機械翻訳技術開発中に、機械にまず英語と中国語を学ばせ、ある程度語学力が上がったところで新たにスペイン語を学習させると、英語と中国語の語学力も向上した。

・2013年に「現存する職種の47%がAIに奪われる」とする研究結果が発表されたが(危険性を定量的に採点した)、702種類の職種のうち、ワースト3(奪われる確率が高い)は、電話販売員、データ入力、銀行の融資担当者、ベスト3(確率が低い)は、医師、小学校などの教師、ファッションデザイナーという結果だった(翻訳や通訳はどちらの10位までにも登場せず)。

・事故回避時など極限状態における優先順位を自動運転車のAIに判断させるのは極めて困難。

・IA (intelligence assistance)とAI (artificial intelligence)の逆転-20世紀後半から最近まではツールとしてのコンピュータの進歩(マウス、ツールバー、プルダウンメニュー、GUIなど)の方が優勢だったが、プロセッサ速度の向上やビッグデータの登場を追い風に、ここにきて、AIを中心に据えたビジョンの方が優勢になりつつある。


確かに、論文の抄録などをGoogle翻訳にかけて「はあ?」という結果が表示されるのを見れば、「いやいや、機械翻訳まだまだだよね」と思わないでもありませんが、最初のヒトゲノム解析に13年掛かっていた(1990年~2003年)のが、2014年1月には3日以内に解析が可能となり、現在では「数時間以内に解析する」ための研究が進められているという現実をみれば、そう安穏ともしていられないような気もします(まあ、最初の解析では、「どう解析する?」の研究から始まったことも加味しなければなりませんし、遺伝子と言語を一緒くたにすることもできないとは思いますが)。
それから、「超優秀な翻訳用AIが一般企業でもそれなりの価格で利用できるようになるのはいつか」という実用化の問題もあるのかなとも。

では、「機械翻訳」がそうやってどんどん賢くなっていっても、ヒトとして譲れない部分はあるのか?

それはやっぱり「判断」の部分なのかなと思います。
もちろん、ある程度の判断はAIがするようになると思います。1つの英単語を文脈によって訳し分けるということも、前後の単語との関連で「この場合はこう訳している」という膨大なデータが手に入れば、将来のAIなら、ある程度できるようになるかもしれません(それだけのAIが実用化するのがどれくらい先か、ということは、何とも言えませんが・・・)。
ただ、文書全体を俯瞰し、作成者の全体的な意図を読み取り、対象読者を考慮し、「全体をこのToneで訳す」ということを決め、訳語として複数候補がある場合は、先に決めたToneに即したものを使用する、ということは最後まで人間の手に残るのではないかと思います。文や文節単位ではきちんとした訳文は作れても、全体の流れを理解しそれに沿って全体を適切に訳すということは、将来のAIにもなかなか困難なのではないかと(ワタクシが理解したと錯覚している「AI」について考えれば、てことですが)。

だから、翻訳者として生き残ろうとするのであれば、「全体として、その文書の持つ意味をぶれずに適切な言葉で伝えられる翻訳ができる」力は蓄えておく必要があるのではないかと思います。少なくとも、ワタクシは、そこは覚えておきたい。

・・・というのは、理想論かもしれません。
実際問題としては、AIによる翻訳の質が飛躍的に向上した将来において、それ以上のヒトによる翻訳を必要とするクライアントが、実際どれだけ存在するかという現実も直視しなければならないだろうなあ、という気もします(必ずしもクライアント=最終対象読者ではありませんし)。その点を考え出すと、「じゃあ、そういう現実の下で生き残るにはどうすればよいのか」という話になり、正直なところ、ワタクシには、自分の中でも、その点はまだうまくまとめられていません。そうした未来では、一部翻訳エージェントさんでは、その仕事内容も大きく様変わりしているかもしれませんし。

でも、どんな時代がきても、何らかの形で翻訳に携わろうとする限り、最後に自分を助けてくれるのは、他の多くの分野についてもそうであるように、やはり「確かな基礎力」なのではないかと思います。それは、「この場合はこの単語を選ぶ」という知識の集積ではなく、「この基準に拠ってこの訳文を作る」という判断が正しくできる力なのではないかと、今はそんな風に考えています。そういう土台の上に、日本語(英訳の場合は英語)運用能力だったり、英語(日本語)読解力だったり、専門知識だったりを積み重ねていくしかないのかなと。

尻切れトンボ気味ですが、今日のところはこのへんで。
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2016.05.25 21:38 | 伝える | トラックバック(-) | コメント(4) |
先日の「翻訳者のためのパソコン超入門」講座では、当日用のスライド以外にも、講師手作りの資料を頂きました。
あまりにも素晴らしい資料でしたので(hardware & OS-Phobiaのワタクシにとっては、てことですが)、後日、蛍光ペンを片手に復習しなおしたくらい(本講座の回し者ではありません<念のため)。

他の方もブログで書いておられましたが、早速、HDDの健康状態を診断してくれるフリーウェア「Crystal Disk Info」をダウンロードし、「正常」の力強い文字にホッと胸を撫で下ろしました(後日聞いてみましたら、ワタクシのような方、結構多かったみたい)。

さて。
ワタクシがもう一つやろうと決心したのが、「システムイメージの作成」。

これまでも何回か言及してきたと思いますが、ワタクシは、少しダウングレードした同じWindows 7のサブ子を、辞書や検索ソフトも含め、メイン機とほぼ同じ構成にしているので、万一メイン機が就業を拒否した場合は、データさえ移せば、とりあえず仕事は続けられる状態です(データは毎日USBにに保存しています)。

なので、これまで、「システムのバックアップは、ま、ええか」と思っていたのですが、今回、「念のために取っておくか」と考え直しました。

ということで、まず、外付けHDDを購入(I-O DATAさんのHDPE-UT 1.0)。
最近の外付けHDDって、なんて可愛い大きさなの。

しばらくバタバタしていて、「システムイメージ作成」に挑戦する心準備が整わなかったのですが、今日、少し気持ちに余裕ができましたので、トライしてみることにしました。

ワタクシは、何か新しいものを導入する場合は、まずサブ子で試し、問題なさそうと分かってからメイン機に導入するという手順を踏みます(常に実験台にされる可哀想な子なのだ<というわけで根性だけはあるようです)。というわけで、今回もまず、サブ子でシステムイメージを作成し、特に問題なかったので、メイン機でも同じ操作を実行しました。そして・・・

サブ子のデータが上書きされて消えました・・・

PCを同じ名前にしていたもので(で、いいのかな?)、メイン機のデータがサブ子のデータに上書きされてしまったようです。
「そ、そうか、パーティション作って分けておかなきゃダメなのか(軽くパニック)」。
まあ、その時点で、外付けHDDにはメイン機のシステムイメージが保存されているわけで、当面問題ないっちゃなさそうですが、できれば、サブ子のシステムイメージも取っておきたいものです。ていうか、次にサブ子のデータをとったら、メイン機のデータ消えるよね?
という訳で、パーティション作りに初挑戦することにしました。

ドライブの分割方法は、頂いた資料にも書かれていますが、こちらのブログの懇切丁寧な説明を参考にさせて頂きました。今のワタクシのために書かれたとしか思えない素晴らしい説明です。
http://dsouls.net/partition

保存したシステムイメージは吹っ飛びましたが、「システムイメージの作成」作業自体は10分も掛からないので、再度2分割した外付けHDDの片方にメイン機のシステムイメージを保存し直して終了(続けて「システム修復ディスクも作っときやー」と聞いてきよりましたが、修復ディスクはあるので、そこは「ダイジョブ(のハズ)だよ~ん」とパス)。サブ子のデータは、後日保存します。

てことで、またまた、(たぶん)素人的ミスから敢然と立ち上がり(←大袈裟です)、ひとつ成長した(ハズの)Sayoなのだった。
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2016.05.23 14:55 | 翻訳 | トラックバック(-) | コメント(0) |
暫く真面目に翻訳に関する記事を書いてきたため、髪がかなり薄くなってしまったのでした。
というわけで、今日は読書感想文です。

我ながら、統一感に欠ける2冊。

「約束の海」(山崎豊子)

「約束の海」は「訃報・山崎豊子」でもちらっと書いた山崎豊子さんの未完の遺作。
連載された1部+2、3部の構想ノート(プロット)が収められています。

山崎さんの文章は本当に久し振りだったのですが、「ああ、山崎節(?)ってこうだったわね」という感じ。上手く説明できませんが、昭和感満載の固い文章というか(まあ、第1部は1980年代後半年が舞台なんですけど)。台詞部分の口調が些か古めかしく感じられないでもないですが、全体的な重厚感、個人的にはキラいではありません。ちょっとしたやり取りの中に、舞台となる海自の潜水艦の仕組みや内部事情などを挟み込んでくるやり方は、緻密な取材に基づいて本を書かれる山崎さんならではと思います(なので、ホント、あとは、この重々しさに立ち向かう気力だけなのよ)。

第1部では、海上自衛隊の潜水艦「くにしお」所属、将来を嘱望される花巻二尉が主人公。
実際に起こった潜水艦「なだしお」の衝突事件をモデルにしています。
衝突事故に続いて、衝突で亡くなった相手方の船の乗客遺族への謝罪、事情聴取、裁判の模様などが描かれ、責任を感じ一時は辞任を考えた花巻が、ハワイでの新たな任務を与えられたところで第1部は終わります。亡くなる前に完成していたのはここまで。

内容については、文藝春秋の2014年の対談にうまく纏められていると感じましたので、興味を持たれた方は一読なさってみてください。
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/1041

2部では、第二次大戦の日本人捕虜第一号、酒巻和男氏をモデルにしたと言われる、花巻二尉の父(の当時の回想?)を中心に話が進むはずだったようです。
3部では、舞台は再び現代(21世紀初頭)に戻り、東シナ海での日中の衝突が描かれる予定だったようですが、3部の構想ノートは、本当に粗筋+α、という感じで、これからさらに取材を進めるということでしたから、社会情勢も睨みながら、(キモの部分は変わらないとしても)また異なる描き方をなさったかもしれません。主人公の恋の成就についても、結末は決めておられなかったようですから。

様々に想像を膨らませる余地を頂いた分、個人的には意外に満足の「約束の海第1部+構想ノート」でした(でもって、くたくた)。
小説の構想の練り方は小説家の方によって千差万別でしょうが、そうした「構想手法」の1例としても興味深かったです。


「何者」(朝井リョウ)

年齢的には「息子」と呼んでも差し支えない若い世代の方の作品を初読み。
この小説で、平成生まれとして初の直木賞を受賞されたそうですね。

少しネットを彷徨ってみましたら、今秋映画化されるということが分かりました。
人間関係やら粗筋のまとめがなかなか素晴らしかったので、さくっとお借りしてきました。
https://www.toho.co.jp/movie/lineup/nanimono-movie.html

5人の学生の就活を中心に話が進み、その中に、Twitterでのツイート文が効果的に挟まれます。
イマドキの若者はこんな風に喋るんだろうなという感じで、会話部分がリアル。リズムもよくてさくさく読めてしまいます。
その中にふと「香ばしく苦い香りが、ふと、俺の頭の中に陰を作る」などという表現が混じり、雰囲気だけではなく吟味した上でその表現を選んでいるのだとすれば、凄すぎる。

内容の方は、油断しているとパンチを喰らうような、なかなかに深いものでした。

内定を得るため、建前でツイートし、就活仲間と相談し合い励まし合いするけれどそこに100%の本音はなく、「痛い」と思われていると分かっていながら「痛い」努力を続ける。
(これだけネットが発達した現代だから、これはもう、やむを得ないことなのかもしれませんが、)自分もある程度の情報を発信することを強いられ、他人の情報も目に入り、その情報がまた不安をそそる。

就活とは、まず、自分が何者なのかを、自分で自分をごまかさずに、きちんと見つめるところから始まるのかもしれません。その上で、「痛い」努力をする、逃げる、ありのままの自分をさらけ出す、相手の求めるものを見極め合わせられる部分を合わせる、などなど、人によって様々なやり方がある、ということなのかな(小説の主人公達が、これら全てを体現しているということではありません<念のため)。

観察者の立場に身を置いて、「きちんと見つめる」ところから逃げていた主人公拓人ですが、ラストでは「ありのままの自分をきちんと曝す」形で面接に臨みます・・・たぶん、落ちると思いますが。でも、彼は、「自分は○○」という、今の時点で「拠って立つもの」を手に入れたような気がします。

この読書感想文を書いていて、ふと思い出した小説がありました。
それは「女と男の肩書き」という、藤堂志津子さんの小説で、頑張って2行にまとめると、「一般職として入行し三十路に掛かろうとする女性行員が総合職転換を打診され、紆余曲折あるが、試験を受けようと決心する」というお話で、「総合職になるなら女の幸せはあきらめないといけない」みたいな、現代なら世の女性から回し蹴りくらいそうな表現も出てきます。でも「そうだよね~」と、あっしのような平凡な女性がフツーに納得してしまう、そんな時代のお話です。

主人公は、悩み迷いながらも「自分」は持っている女性だと思うのですが、小説では、組織で働く限りは「会社で自分がこう見せたい、こうありたい」という姿に自分を合わせていくのだ的な悟り(?)を開き、それを社会人の「鎧」と表現し、「自分は女性らしいしなやかな鎧を身にまとおう」と決心します。ラストでは、どういう形を取るかは分かりませんが、「仕事も女性の幸せも?」が軽く暗示されています。
と書くと、爽やかなお仕事成功物語のように聞こえますが、どうしてどうして、不倫あり、行内スパイあり、恋愛からの刃傷沙汰ありと、結構どろどろした内容です。
(うろ覚えなんで、多少間違っているかもしれません)

何でこの小説を思い出したかというと、ただただ、もしかしたら、就活は、「自分」というものを持った上で「会社の求める社員像」に合わせられた場合に内定でやすいのかも、とふと思ったりしたからに過ぎないんですが(汗)。それはもう、あっしが勝手にそう思っただけで。
もちろん、内定は就活のゴールではあっても、人生のゴールではない訳ですし、就活にも人生にも正解はないと思うのですが、「わたしは」と1人称で自分を語ることができれば、少なくとも(そう)後悔しない人生は歩めそうな気がします(と錯覚しています)。
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2016.05.19 15:22 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(2) |
決してWildLightさん家の回し者ではございません<念のため。
賄賂も頂いておりません<念には念のため。

5月15日追記あり(記事末)

週末、大阪で開かれたWildLight&翻訳チェックのセミナーに参加してきました。

WildLightは、Sさん(世間ではTさんの方が通りがよいのでしょうが)が開発されたWordへのアドインです(でいいのかな)。
(ご存知ない方はWildlightで検索してみてくださいませ)。

Sさんは翻訳会社でコーディネータをされながら、実名で翻訳者のために飛び回ってくださるという、日本的日本メーカーの製造ライン育ちのワタクシには、「その活動、ありえんやろ」という活動をなさる方です。
さくっと乱暴にまとめると、「イージーミス(ヒューマンエラー)をなくす」という観点から翻訳品質を語られることが多い方です。でも、その根本には「翻訳者は、本来、翻訳文そのものの質の向上に取り組むべき」という考えがあるわけで、そのため、翻訳そのものに注力できる時間を捻出するため、転記ミス、訳漏れの確認など、機械による支援でラクになる部分はとことんラクにしてしまおう! というのがWildLightを設計された動機のかなりの部分を占めるのではないかと、今回お話をお聞きして思いました。同時に、翻訳者は「ヒューマンエラー」というものにも、もっと敏感たれ、とも仰っているような気がしました。

ヒューマンエラーについてのお話も興味深かったですが、今、軽く修羅場っているので、今日はそれについては割愛します。「自分のチェック能力を高めるための、自分なりのチェックフローを考えるべし」「チェックも鍛錬」と仰った部分が心に残りました。

で、WildLightでございます。
ジツは、ワタクシ、WildLightさん家は、ときどきお訪ねしておりましたが、インストールはしていませんでした。「英訳にはすごく役に立ちそうだな~」と思う反面、和訳者の自分がどのように活用できるのか、という点が、イマイチよく分からなかったのです(実際、Sさんは、仕事の8割が英訳と仰っていました)。

で、デモ画面を色々見せて頂いて分かったことは、

意外に簡単そう
提供辞書が豊富(Sさんが様々な種類の辞書を提供してくださっています<和訳に活用できそうなものもあります)
置換や修正を行う、というより(それもできますが)、チェックすべき箇所を強調して(蛍光ペン)示してくれる点がありがたい(←たぶん、あっしのような初心者向け機能)<これも、自分仕様で和訳に活用できる(はず)

ということ。

個人的には、スタイルガイドを指定してくるエンドクライアントさんの案件で、間違える(チェックで間違っていたことを発見する)ことの多いスタイルのチェックが、一気蛍光ペンでかなりラクになりそうな気がしました。

おお、これは、試してみるしかないではありませんか。
ということで、今日、PCにインストールして、自分で「蛍光ペンをつける」辞書を作ってみましたですよ。でも、残念ながら、100%という訳にはいきませんでした。

今回、ワタクシが蛍光ペンで確認したかったのは、(1)全角括弧を拾う(半角括弧は拾わない)、(2)全角の大小記号を拾う(半角の記号は拾わない)、(3)全角%を拾う(半角%は拾わない)、(4)数字と単位の間にスペースがあるものを拾う(ないものは拾わない)という4つの内容でした。
9246さんという親切な同業者さんの助けもお借りして(メモの裏にワイルドカードを使った検索語を書いてくださいました)、






[0-9] [A-Za-z]
[0-9] [A-Za-z]
ヵ月

という辞書を作ってみました。そう、このアナログな小心者のワタクシが、やってみようと立上がり(でもコケたけどな)、それなりに作れてしまうくらい(一部ひとさまに作って頂いたけどな)簡単なのです(蛍光ペンだけだけどな)。

が。
なぜか、ワタクシが作った辞書を適用すると、(1)~(3)は全角半角両方のものを拾ってしまい、(4)はまったく認識されず、(5)は成功という事象が発生してしまいました。同じものを9246さんの環境で実行して頂くと上手くいくのです(お付合いくださった9246さん、お忙しいところありがとうございました)。
というわけで、今、個人的に一番ヤバい括弧と<>と%については、とりあえず(拾わんでいいものも含めて)拾ってくれる、ということは分かりましたので、時間ができたら、また、ちまちま試してみようと思います。
注:記事末に解決編を追記しております。

たぶん、PCをよくご存じの方なら「当たり前」として素通りしてしまう入口のどこかで、何かを間違っているのだと思います。
ピンと来られた方がもしおられましたら、お気が向かれましたら、「これ試してみた?」的な質問を投げて頂ければと思います(FBの方でも結構です)。ただし、当方、超初心者のアナログ人間です。OSはWindows 7、64bit、Word2013を使用しています。辞書作成には秀丸を使用しました。


というわけで、軽くSOSを意識した記事になっておりますが、WildLightは、「自分が何をほしいか」を考えて、ほしいものを使った(OR作った)とき、本当に威力を発揮するのだと思いました。
結局、いつも「自分の目」でやっているチェックを助けて貰うわけなので、よく考えながら、少しずつ導入してみようと思います。
どんなツールもそうですが、「自分はそれが本当にほしいのか」「それは本当に今の自分を助けてくれるのか」を考えることが大事なのだと、今さらにして思う今日この頃なのでした。

追記:
昨晩、FBの方にソッコーお返事を頂きました(くらい簡単なミス<たぶん)。「最初にWILDCARD:ONが抜けていませんか」。はい、もちろん、抜けていました。追加して再度試したら、うまくいきました。そういえば、その話、セミナーの中でもちらっと聞いたような・・・素人的ミスで皆さまには大変ご迷惑とご心配をお掛けしました。相談に乗ってくださった方、本当にありがとうございました。正しくは、

WILDCARD:ON





[0-9] [A-Za-z]
[0-9] [A-Za-z]
ヵ月

となります。


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2016.05.15 23:42 | 翻訳 | トラックバック(-) | コメント(0) |