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2017. 08. 15  
医薬の分野ではお馴染み、治験関連文書のinclusion criteriaの訳語です。

治験対象として適格かどうかを判定するための基準として、「この基準をすべて満たす場合は適格」とするinclusion criteriaと、「この基準のいずれかに該当する場合は不適格」とするexclusion criteriaがあります。exclusion criteriaの訳語は「除外基準」で統一されているようなのですが、inclusion criteriaには「選択基準」と「組み入れ(組入れ)基準」のふたつの訳語があって、私はいつも、「で、どっちやねん」とちょっともやっとしていたのでした。

クライアントさんの参考資料がある場合は、それを第一選択肢とするのですが、そうでない場合、自分の中の第一選択肢はこれまで「組入れ基準」でした。

確か、昔、Inclusion criteria / exclusion criteriaの上位の見出しとして「治験対象母集団を選択する」という意味でSelection Criteriaが用いられている場合もあるので、この2つを明確に訳し分けるためにSelection Criteriaを「選択基準」、Inclusion Criteriaを「組み入れ基準」とする、というような話をどこかで読んだか誰かに聞いたかした記憶があるのよね。どちらかが絶対に正しい、ということではなく、あくまでも自分の中の決めごととその根拠、ということですが。

ところが。
この頃では、「組み入れ基準」という参考資料にお目にかかったことがない。
世の中はSayoの与り知らぬところで(Sayoにひと言の断りもなく)変化しているのか。

ということで、ちょっと調べてみました。

「組み入れ基準」の根拠になっているのは、「治験総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」(平成8年5月1日薬審第335号)だと思われます。これは、ICH E3(Structure and Content of Clinical Study Reports)の日本語版で、文字通り「治験総括報告書を作成する場合はこのようにするように」というガイドラインを示したものです。URLは以下のとおり。
https://www.pmda.go.jp/files/000156923.pdf 
「ICHでは『組み入れ基準』になっている」というのは、おそらくこれを指しているのだと思います。

しかし、医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)のガイドライン(ICH-GCP E6)の日本語版では「選択基準」が使われています。「ICHが『組み入れ基準』としている」という理由付けはちょっと苦しいかも。ていうか、もとの語句はInclusion Criteriaで統一されているわけで、ICH的には何の問題もないわけなんですが。
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/ICH-GCP.pdf
*参考:PMDAのICH E6(GCP)に関するページはこちら。
https://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/ich/0028.html

念のため「ICH-GCPナビゲーター-国際的視点から日本の治験を考える」(治験国際化研究会編、じほう)も確認してみましたが、Subject Inclusion Criteriaは選択基準で特に問題なしとされています。

うーむ、やはり、世の趨勢は「選択基準」なのか。

ということで、今後はMy第一選択肢として「選択基準」と「除外基準」を採用し、上位大見出しがある場合は「被験者選択のための基準」(今考えた仮訳)のようにして差別化しようかなと考えています。

とはいえ、「申請」という点からみれば、「1セットの文書の中で訳語が統一されており、審査者の誤解や混乱を招かない」という点が一番大事ではないかと思います。なので、まずは参考資料準拠、が基本かなと。
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プロフィール

Sayo

Author:Sayo
医療機器の和訳も9年目。
老眼腰痛、最近は膝痛とも闘いつつ
翻訳人生をまっとうしようと奮闘中。
この頃になってやっと翻訳の奥深さ・
難しさ・楽しさが分かってきたような。
記事は「翻訳一般」多め、ときどき読書感想文、本業(医療機器)やや少な目。
(2019年4月現在)

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