屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。


今日は100%真面目な記事です。どこにもオチはありませんので(たぶん)、悪しからずご了承ください。

...主に、山中伸弥先生の講演内容についてです。
...でもって、「できるだけ忠実に報告」を心掛けましたが、感想部分はかなり主観が入っています。また、一部、ウェブや書籍で確認した内容(薬、HLA、疾患の説明など)を、拝聴した内容と異なる文言で記載している場合もあります。ご容赦くださいませ(それ以外で話された内容と異なる記載はしていないつもりです)。



日本では初開催となるサミットの公開シンポジウム(京都)に参加してきました。
内容はコチラ。iPS研究所の山中伸弥先生が講演なさるという。これはもう、行かねばなるまい。

薬事規制当局によるものとはいえ、一応国際的なサミットということもあるのでしょう、サミット自体はClosed Meetingで行われ、サミットが閉幕した翌日に、サミットの概要を速報するという形で、シンポジウムが行われたものです(と理解しています)。サミットで話し合われた内容を戦略的に実施する組織としてICMRAがあり、来年からは、ICMRA-Summit(名称はこのとおりではない可能性が高いです)として統合して開催されるとのこと。
(ICMRAについては、PMDAに若干の説明があります。そちらからICMRAサイトに跳ぶこともできます)
https://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/icmra/0001.html

各国薬事規制当局の合意内容や、今後の方向性について、もう少し具体的な話が聞けるかなと思ったのですが、(ワタクシの頭がついていかなかったということも大きいとは思うのですが)、大枠の話と目標に終始しているような印象でした。まあ、サミットの翌日だし、それはそれでしょうがないのかも。

山中先生が、現状こういう問題点がある → その問題を打破するためにこういう方法を試みた → こういう成果があったが、まだこういう問題がある → その問題を打破するためにこういう試みを行い今ここ、という分かりやすい具体的なお話をされたあとでしたので、余計そのように感じたということもあるかもしれません。

とはいえ、各国規制当局の今後の取組みについて話を聞く機会など、そうそうないでしょうから、出席してよかったと思っています。
お天気にも恵まれて、京都会館前の庭園はとても美しかったですし(<そこか<自分)
一見座り心地のよい椅子はジツは腰にはあまり優しくなく、腰が異議を唱えたため、最後のパネルディスカッションの前に退出しました。


で、まあ、ワタクシ的には、この日のメインの目的は山中先生の講演だったわけです。

この日、先生は、交通渋滞に巻き込まれて遅れて到着され、そのために発表の順番が前後してしまったのですが、冒頭で「行楽シーズンであることを失念していました」というようなお詫びの言葉を述べられ、「全然偉ぶったところのない方だな」と思いました。そういえば、ノーベル賞を受賞された方でしたね、と逆に思い出す始末です。

上でも書きましたが、先生の講演は理路整然としていて分かりやすく、同時に仕事に対する責任感や静かな情熱も感じられ、45分という時間があっという間でした。当日一番発表時間が長かったにもかかわらず、資料(PPT)の枚数は一番少なかったのではないかと思います(数えた訳ではありませんので、お得意の「体感」ですが)。持帰り用のPPT資料が用意されない場での資料の効果的な使用、ということについても少し考えさせられました。以下、山中先生の講演内容です。


「iPS細胞の研究と応用」(山中伸弥)

この日は、まずご自分のお父様のご病気(C型肝炎)のことから話を始められました。
この肝炎ウィルスが発見されたのは1989年(先生のお父様はそれよりずっと前に輸血で感染されています)、画期的な特効薬と言われるハーボニーが米国で承認されたのは2014年(その後日本でも承認)です。1錠/日を3ヵ月程度服用すると、ほぼ100%の患者の体内からウィルスが消失するそうです。

ここで、先生は、ウィルス発見から新薬承認まで時間がかかりすぎていること、コストが高すぎる(1錠およそ5万5000円!)ことの2点を、問題として指摘され、「いかに早くのみならず、いかにコストを下げられるかを研究段階から意識するのが研究者の責任」と仰います。

この2点の問題に対処できるもののひとつが、先生の研究されているiPS細胞です。

***
iPS細胞について詳しく知りたい方は、CiRA(Center for iPS Cell Research and Application)のコチラのページが分かりやすいと思います。
こんがらがりがちなES細胞とiPS細胞の違いについても、分かりやすくまとめられています。
(この部分はSayoが勝手に挿入した、講演とは無関係の部分です)
***

iPS細胞やES細胞は、高い増殖能を有しており、ほぼ無限に増やすことができ、増やしたあとで分化させることも可能です。この性質を再生医療や創薬に応用できないか(どのように応用できるか)というのが、先生の研究の内容です。再生医療の方は、すでに臨床応用が始まっていて、理研の高橋政代先生が、加齢黄斑変性の患者に、自己iPS細胞由来のシートを移植する手術をなさっています。3年が経過した今年3月、1例目の患者の状態が、癌化も免疫低下もなく良好に推移しているという結果が発表されたそうです。

ただ、この研究を進めるなかで、自家移植(患者自身の細胞から作製したiPS細胞の移植)は準備に時間がかかり、患者単位のコストも膨大であるという問題点が明らかになったそう。

この問題を克服する方法として、現在、先生が所属するCiRAが取り組んでいるのがiPS細胞をストックするというプロジェクト。免疫反応は、平たくいえば(<ワタクシも詳しいことは分かっていない)、患者とドナーのHLA型が一致しないために起こるわけなんですが、非血縁者でこのHLA型が一致する確率は非常に低い。ただ、HLAホモ接合体は、HLAヘテロ接合体より一致する可能性が高い。だから、このHLAホモのドナーに細胞を提供してもらってiPS細胞を作製し、安全を確認して保存し、必要に応じて医療・研究機関に提供していこう、というのがこのプロジェクトの骨子です(あくまでワタクシの理解したところです)。

そのためのスクリーニングに必要なボランティアも費用も現実的ではないため(全人口の90%をカバーするためには、10億人のボランティアと数十億円の費用が必要なのだとか)、日赤の協力を得て、倫理的に問題のない方法でドナー探しをしているそうです。具体的に何個のiPS細胞がどの状態まで進んでいて、いくつの機関に配布しているというような具体的な数字も挙げられていました。

このようにして進められているiPS細胞ストックプロジェクトですが、やはりそこにも問題はあるそう。ひとつは、ドナーのRecruitmentで、今後はどうしても国際間の協力が必要になってくるとのことでした。もうひとつは、やはりコストの問題。いずれの場合も、国毎の規制が大きな壁となっているということを、やんわりと、でもはっきり仰っていました。

さて、もうひとつの応用分野である「創薬」ですが、iPS細胞は、薬に付きものの神経毒性その他の毒性がまずないことから、再生医療以上に守備範囲が広いそうです。さまざまな分野で研究が進められていますが、特に、患者が少なく研究さえ進めてもらえない難病への対応が期待されています。

たとえば、FOP(Fibrodysplasia Ossificans Progressiva:進行性骨化性線維異形成症)。これは、筋肉や腱などに骨組織ができてしまうという難病なのですが、iPS細胞を用いて、原因物質を特定し、ラパマイシンという既存の薬剤が骨化の抑制に有効であることを確認することができたそうです(蛇足ですが、ラパマイシンは薬剤溶出型ステントに用いられることも多いため、個人的に割りとお馴染みの薬剤です)。

マウス実験で効果が確認され、先月から、ラパマイシンと偽薬を用いた臨床試験が開始されたとか。効果が確認されれば、半年後からは全例にラパマイシンが投与されるそうです。あるFOP患者の方の特集をTVで見たことがありますが、彼もこの薬の恩恵を受けてほしいと願わずにはいられません(臨床試験には参加しているそうです)。

企業とコラボする形の研究も進んでおり、今後、協力を求める機会も増えると思いますが、協力を宜しくお願いしますという言葉で、先生は講演を締めくくられました。

決して情熱的に語られる訳ではありませんが、逆に「研究者としてどうしてもやらなければ」という秘めた情熱のようなものが感じられ、最後はうるうるしてしまったのでした。

以上、記憶が新しいうちにと、記事にしました。
「行きたいけど行けなかった」方たちにも伝わるものが何かあれば嬉しいです。
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2017.10.28 18:11 | 翻訳 | トラックバック(-) | コメント(7) |
11月8日追記:
開催時間が変更(延長)になりました。


鈴木さんから、「3時間ではとても語り尽くせない」とのありがたいお申し出があり、勉強会の開催時間を延長しました。
開催時間が若干繰り上がっております。ご注意ください(開場同じ)。
ゆっくり来阪されるのは本当に久し振りとのことです。この機会を逃せば、また何年、何十年とお待ち頂かなければなりません(<ホンマか)。
時間の都合のつく方は是非!

11月9日追記:
鈴木さんからメッセージをいただきました。


鈴木さんから、案内に以下の説明を追加してほしいとのメッセージを頂きました。
しかも「可能であれば、関西弁に翻訳して掲載せよ」との超手強い課題つき(ご無体な~)
畏れ多くてとてもそのようなことはできませんので、原文のまま、引用させていただきます。悪しからずご了承ください。

(以下、鈴木さんからのメッセージです)

===
1点補足しておきますと、翻訳ストレッチ体験は、参加者の皆様に実際にいろいろな学習作業をやっていただきますので、最初の10分程度簡単な説明をし、「よ~い、始め!」のかけ声の後は、5~10分ごとに「はい、次に行ってください」というかけ声と皆さんの音読(または朗読)の声だけが約70分ぶっ続けとなります。これまで3回やりましたが、遅れて入ることも、途中でトイレに立つこともできません(というかそうしてしまうと、自分がどこにいるかわからなくなってしまう)。
したがって参加される皆様へのお願いは二つ・・・

①開始時間に遅れないでください。
②事前にトイレに行っておいてください(当日もそう申し上げます)。

というわけで、一つ(あ、いや二つ)よろしくお願いします。
===

(以下、掲載時の本文-会場・開催日時等の必要情報を太字にしました)

***

来年早々、金融翻訳者の鈴木 立哉(スズキ タツヤ)さんをお招きして、大阪で「十人十色」勉強会を開催する運びとなりました。
詳細は以下のとおりです。

なお、申込み要領は、12月初旬に、FBの「十人十色」グループで発表され、申込みも同じ頃に開始される予定です(メールでの申込みとなります)。
 * グループ外の方の申込み等については、本記事の末尾をごらんください。

日時:
 2018年1月6日(土)  13:30 ~ 16:30 13:20 ~ 16:50 (開場13:00)
場所:
 神戸大学学友会大阪クラブ・大阪凌霜クラブセミナールーム(大阪駅前第1ビル11F)
 アクセス
 
内容:
1 翻訳ストレッチを始めようと思った理由&翻訳ストレッチの内容の変化etc.
2 翻訳ストレッチのやり方の説明(トイレ休憩)+翻訳ストレッチ演習+翻訳ストレッチに関するQ&A
3 出版翻訳を始めた経緯&産業翻訳との両立・どのような流れで翻訳を行うかetc.
4 全体Q&A
 * 全体Q&A以外の内容は、お話し頂く順番が前後する可能性があります。

勉強会後、17時30分より、懇親会も予定しております



ご存じの方も多いと思いますが、鈴木さんは金融分野の実務翻訳をされながら、出版翻訳もなさっています。訳書に「Q思考―シンプルな問いで本質をつかむ思考法」(ウォーレン・バーガー)、著書に「金融英語の基礎と応用 すぐに役立つ表現・文例1300」などがあります。勤勉実直で...お話していて楽しい方です。

「翻訳ストレッチ」は、鈴木さんが、毎朝、仕事を始める前にルーチンでされている勉強法で、2016年のJTFセミナー(東京)で、その内容を惜しげもなく公開してくださいました。その後、セミナーに出席できなかった方の要望に答える形で、「十人十色」勉強会(ワークショップ)が2回開催され、2回とも満席の盛況ぶりでした。

2回目の勉強会に出席したおり、「ぜひ関西でも」とお願いしたところ、「喜んで」と快諾頂き、今回大阪編として開催できる運びとなりました。お願いした責任を取って、臨時スタッフを務めさせて頂いています(なので、全力宣伝中)。「翻訳ストレッチ」の内容は時間とともに進化しているようですので、今回「最新バージョン」をお聞きできるのを楽しみにしています。

鈴木さんのようにストイックにルーチンをこなすことはなかなか難しいと思いますが、どなたも「ここは自分の勉強に取り入れられる」という部分が見つかるのではないかと思います。
また、大阪では、(鈴木さんは「あくまでも自分の場合ということで」と断っておられますが)出版翻訳に関する話を聞ける機会も少ないですから、そうしたお話も参考になるのではないでしょうか。

まだ少し先のことになりますが、カレンダーに印をつけて予定を空けておいて頂ければと思います。


ご参考まで ↓

・2016年の鈴木さんのセミナー内容
https://www.jtf.jp/east_seminar/list_e.do?fn=search&archive=2016
(第4回「いつまでもアマと思うなよ 8年後の逆襲(?)~金融翻訳者が語る自立するための心がけと具体的な方法2~」)

・2017年4月に第2回十人十色ワークショップに参加した際の報告記事
http://sayo0911.blog103.fc2.com/blog-entry-524.html


「十人十色」について:
「十人十色」勉強会はFB上の翻訳者・翻訳学習者のためのクローズドグループです。
勉強会も、通常はグループ内で実施されますが、オープンで実施されるものもあります。
そのような勉強会やセミナーは、申込み方法も含め、こちらのページでご確認頂けます。
(メンバー加入を希望される方は、以下のFBページの「メッセージを送る」からメッセージをお送りください。その際翻訳者または勉強中であることを明記してください。)
https://www.facebook.com/jyunintoiro

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2017.10.26 20:16 | 翻訳 | トラックバック(-) | コメント(0) |

その日、ワタクシは、Amazonに参考図書探しの旅に出たハズでした。
「急がないけど、なんかいい参考書ないかな」という、気分転換的に出る旅。
ジツはこれが一番ヤバい。

「そういえば、しばらく買ってないよなあ」と思った瞬間、同業者の多くが罹患していると聞く「慢性Amazon購入したい病」が急性転化したのでした。
だいたい毎年10月か11月にやってくるので、個人的には「季節性」と名付けています。この時期に「来年のCD」を購入する(楽しい)習慣がついてしまっているのよね。

ワタクシは、ネットショッピングには極力カードは使用しないようにしています。でないと「ぽちの罠」に堕ちてしまうのは必至。
なので、こういうときはまずAmazonギフト券を買いに、コンビニに走ります。
そういう余計な行為をひとつ噛ませることで、一過性の発作が治まることもないわけではないわけで。

幸か不幸か、アパートの前の横断歩道を渡ったところにあったコンビニは閉店し、今では一番近いコンビニと我が家の間には「雨だと面倒くさい」ほどの距離が横たわっています。台風が近づいており、外は連日雨模様でした。
でもだがしかし。
日曜日は荒天でも投票に行くんだもんね~(旦那の運転で)。投票所の近くにコンビニあるもんね~。

というわけで、無事にAmazonギフト券を手に入れました。
そうすると、これはもう買わないでは収まらない。翻訳者の(?)哀しいサガです。

前置きが長くなりましたが、以下の書籍を購入し、「買いたくてたまらない病」はまた慢性期に戻りました。
この「予算の範囲で本を選ぶ」という行為、これが楽しいのよね。止められないのよね♪


「てにをは連想表現辞典 」(三省堂、2015年)
ジツは、「てにをは辞典」(三省堂、2010年)も所持していないという、「『日本語力を底上げしたい』と目標を語る和訳者としてどうよ」な現状がありまして、どちらにするか悩みましたが、今回はこちらを。

「英語辞書マイスターへの道 」(関山健治 、ひつじ書房、2017年)
内容紹介から
「紙の辞書はもちろん、電子辞書、スマートフォンの辞書アプリなど、最新の辞書メディアも含めた辞書の活用法を、練習問題を解きながら身につける」
翻訳界の辞書マイスター(と勝手に呼ばせて頂いております)帽子屋さんがブログで紹介されていたもの。
http://baldhatter.txt-nifty.com/misc/2017/10/post-5921.html
某翻訳祭で著者のセッションがあるので、予習の積もりで。
とはいえ、著者が発表される時間帯は、他にも話を聞きたいセッションがあるので、たぶん最後の瞬間までどなたの話を聞こうか迷うと思いますが(何事もなく大過なく上京できることが先決なんですが...)

「茨木のり子詩集」(谷川俊太郎編集、岩波文庫、2014年)
新聞に詩の一節が紹介されていて興味を持ちました。
ちょっとググってみると、かなりの詩をウェブ上で読むことができる(まあ、出典が明記されているので、それもありなのかな)。
それでもう少し興味が深まりましたので1冊手に取ってみることにしました。

以下は、来年用のCD Bookです。

「Forensics: What Bugs, Burns, Prints, DNA, and More Tell Us About Crime」 (Val McDermid 、2015年、CD)
邦訳「科学捜査ケースファイル―難事件はいかにして解決されたか」(ヴァル・マクダーミド著、久保 美代子訳、化学同人、2017年)
邦訳は積ん読してます(積ん読している場所も分かっています)。聴いてから読むことになりそうな予感がしています。
著者は本業(?)は推理作家ですので、ストーリー展開は飽きさせないはず。綿密な取材に基づいているようですので、事実関係もしっかり書かれているはず。
ということで、選んでみました。

「When Breath Becomes Air」(Paul Kalanithi、2016年、CD)
邦訳「いま、希望を語ろう 末期がんの若き医師が家族と見つけた『生きる意味』」(ポール カラニシ著、田中 文訳、早川書房、2016年)
著者は大学で文学も学んでいたとか。英語も味わってみたいと思います。

本当は、カズオ・イシグロさんの「The Buried Giant」か「Never Let Me Go」も聴いてみたかったのですが、みるみるうちに「出品のみ」の状態となり、ことCDに関していえば、ここ暫く、原価の2倍以上という状態が続いているため、今回は諦めました。そのうち適正価格に戻ると思うので(希望的観測です)、随時チェックしていこうと思っています。


若干散在しましたが(屋根裏比)、発作がおさまりましたので気分は晴れ晴れ。
そして仕事はビハインドなのだった...(ありがち)
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2017.10.24 12:02 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(0) |

「足音もなく不意打ちで冬が背後に立っていました」感のある今日この頃ですが。


夏以降、「医療機器だけど何やねんそれ」的な案件を2、3回担当しました。
そのときにお世話になった辞書たち。いずれも、フリーでウェブ上で参照/ウェブからDLすることができます。

「鉄道技術用語辞典」(公益財団法人鉄道総合技術研究所)
http://yougo.rtri.or.jp/dic/

グラフィックデザイン用語英和辞典
http://www.fishtailstudio.com/pages/gd.html

上の辞典は、提供元から考えて信頼度はかなり高いのではないかと思いますが(紙版も出版されています)、何しろ鉄道案件は初めてでしたから、勘が働かず、いちいち「辞典にある訳語は案件の文脈に照らして適切かどうか」を確認しなければなりませんでした(鉄道も奥が深そうなのだった...)。

下の辞典は個人の方の提供ですが、説明が分かりやすく、相互参照も豊富で、適宜裏取りしながら使用する分には問題ないと思います。

上は確認に時間を取られ、下は「マーケティングもどき案件」でしたので訳語選びに呻吟し、疲弊度はハンパなく時間単価も低かったのですが、終わって思い返してみればなかなか面白い案件でした(とはいえ、こんな案件ばかりでも収入的にツラいので、ときどきがいいかなと思ったりしますが)。
今後は、医療機器をベースに「循環器分野が得意だが、医療機器関連であれば、広くさまざまな内容・分野に対応可能」というスタンスでいくのも悪くないかなと思ったりしています。読者を想定し、文体を考え、どのレベルの言葉を使用するかを考えるのって、結構楽しかったり(量的に一番多い報告書はあまりそういうことを考えることはないので...ラクっちゃラクですが)。

そんなわけで、日本語辞書環境と使うヒト(ワタクシ)の性能をもう少し強化したいなと考えている秋の夜なのだった。
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2017.10.18 23:56 | 辞書・参考書 | トラックバック(-) | コメント(0) |

そして2年の時を経て、「チームII」に辿り着いたSayoです。
(「チーム」の感想文はコチラ

前回は「箱根駅伝予習」として「陸上もの」を読み始めたにも関わらず、2月の声を聞いた頃やっと山登りの5区まで辿り着くという「どんだけ遅れてんねん」な状態でした。
同じ失敗はしないもんね-、もっと早くから読み始めるもんねー(入手したのはGWなんですが...)
ちょうど秋のドラマ「陸王」も始まるではありませんか。おお、なんとタイムリー。そして、なぜ仕事が絡まない本はさくさく読めるのだろう。

ということで、「チームII」を読破したわけですが、今回は逆に「どんだけ早すぎるねん」な状態で、箱根駅伝の号砲を聞く頃にはすべてが記憶の彼方に飛んでいそうです(結局、どこまでもタイミングを外すヤツなのだった)。


で、「チームII」です。

「チーム」で学連選抜のメンバーとして箱根駅伝を走ってから7年、天才ランナー山城は、東海道マラソンで日本記録を樹立(「ヒート」)後は、故障に悩まされ、2年間レースを走ることができず、焦燥を募らせていた。折りしも、所属する実業団チーム、タキタの廃部が決まる。「唯我独尊わが道を行く」山城は、誰かに頼ることをよしとせず、心密かに五輪記念マラソンを引退レースに決める。とはいうものの、練習環境の確保さえままならない。
山城の真意を察したかつての学連選抜メンバー浦や監督の吉池、さらには東海道マラソンで最後まで山城とデッドヒートを繰り広げた甲本(「ヒート」)らが、「チーム山城」を結成し、故障明けの山城をバックアップしようとする。

というのが粗筋。
これに、学生連合(以前の学連選抜)の監督として浦が寄せ集めチームをまとめていく過程がサイドストーリー的に挟まれます。「走る」場面は、主に、箱根駅伝と(チームタキタとしての最後の出場となる)全日本実業団対抗駅伝(全実)。全実でからくも勝利しながら、自分らしくない無様な姿に失望し、五輪記念マラソンへの出場を断念するかどうかで揺れる山城が、当日、スタート・ゴール地点に姿を現すところで「チームII」は終わります。

なので、「チーム」や「ヒート」に比べると、レースの場面は若干少な目。
「チーム」や「ヒート」では、(特に山城の)心の動きがあまり読めない状態でいきなりレースに場面転換した感があったので、小説的にはこれくらいの方がよいのかも。もっとも、前2作ほどのド迫力は感じられず、どちらがいいとも言い難いです。まあ、好みかな。
延々とレースの場面が続くのですが、視点が走者と(伴走車からのものも含め)応援者の間を行ったりきたりするので、退屈することはありません。走者の心理や走者同士の駆引きの描写が続くと、ふと自分もレースを走っているような感覚に捕らわれたりします。そう、持久力皆無のワタクシでもマラソンだの駅伝だのを走れちゃったりするのだよ。堂場さんのレース描写の場面は秀逸だと思います(あくまで、個人的意見です)。

本書の(たぶん)主人公、山城悟は、ホント傲慢なヤツなんですよね。
故障するまでは、国内ではぶっちぎりの強さを発揮してきたので、そんな態度でもすべてが「山城だから」で許されてきたわけなんですが、故障で結果は残せない、練習環境が奪われるなど「走ること」以外の部分で悩まなければならなくなると、弱さも垣間見られるようになってくる。本人も、すべて自分一人でできると思っていたのがそうではないことが分かってくる。
浦たちがそれぞれに忙しい時間を割いて山城を援助しようとしたのは、甲本が言ったとおり「あいつが何をやるか見てみたかった」というのが大きいと思うのですが(それほど規格外の選手ではありました)、学連選抜でのレースを通じて、弱さや「実は自分のためだけでなく他人のためにも走れる男だ」ということも何となく分かっていたからかもしれません。

その孤高の選手山城が、浦のペースに巻き込まれて、学生連合の一員として箱根を走ることになった浦の教え子の荒井にアドバイスする場面があります。「誰のために、何のために走るのか」が分からずモチベーションが上がらずにいた荒井ですが、「全員が自己ベストを更新することだけを考えて次のランナーにつなげばいい」という山城の言葉に、何か掴んだものがあったようで(発想を転換することで、悶々としていた気持ちが楽になり、新たな目標ができたって感じでしょうか)、このアドバイスを期に、バラバラだった学生連合のメンバーは何となく緩くまとまっていきます(「チームII」は「チーム山城」の話なので、このあたりは軽く語られるだけですが)。何とも山城らしいアドバイスに、ワタクシも、浦じゃないですが、ハッとさせられました。


全実の前に、タキタ監督の須田が、山城に「日本の長距離を何とかしたい」と夢を語る場面がありました。山城は何とも思わなかったみたいですけど。
でも、読み流していたこの部分を再読したとき、これまでとは形を変えた「チームIII」があるかもとちらっと思いました(とにかく、堂場さんは多作の方だし)。それまで、「チーム」シリーズはここで終わりかなと思ってたんですけど。まあ、山城が指導者になっている姿は想像できませんが...


てことで、箱根駅伝の(早すぎる)予習は無事終了したのだった。
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2017.10.11 23:29 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(2) |