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2018. 10. 05  

届きました~。
業界の動向はやはり気になりますから、毎回購入するようにしています。

2年前の号とあまり変わらないつくりですが、その時点で「これから」の方を主な読者とする雑誌としては、これはこれでいいのかなと思います。
それなりに勉強してきたハズの私も参考になる部分はまだまだたくさんあります。

医療機器の扱いが小さいのは、ちょっと悲しいですが、まあ毎度のこと。
法律は「医薬品医療機器等法」に変わっても、メディカル翻訳の分野では、まだまだ添えもの的扱いなのだと感じます。
電気機械やITが絡んでくるので「メディカル」で括りにくいということはあるかもしれません。それで、どうしても包括的な説明だけになってしまうのでしょうが、いつか、少し違った切り口からの医療機器翻訳に関する説明を読んでみたいものです。今後需要が増えこそすれ、減ることはない分野だと思います。

今回、一番興味深く読んだのは、メディカル専門の翻訳会社の方による「AIの時代がやってくる-メディカル翻訳におけるMTの可能性」という記事でした。巻頭特別企画のひとつです。
短納期で言い回しが決まっている(定型書式)文書にSMTを利用する、という考え方には頷けるものがあります。
今後、メディカルの分野でも、人手による翻訳と機械翻訳が併存するという流れは避けられないのかなと思います。寄稿者の方も「MTは確実に普及する」と言っておられます。

ひとつ気になったのは、「MTをツールとして上手に活用していくためには、より高い専門性、翻訳スキルが求められる」「MTを仕事を奪う競争相手と考えるのではなく、効率化のツールと考えていただければ」と書いておられること。(間違っていたら申し訳ないのですが)これは、「知識の豊富なスキルの高い翻訳者にこそPEをしてほしい」とも読めます。
文書の性質にもよるでしょうが、確かに、アウトプットされた訳文に(内容的に)間違いがないかどうかをチェックするには、特にメディカルの分野では、かなりの専門知識が必要になると思います。専門的正確性を担保しつつ、読むに耐える訳文にeditするには、高い翻訳スキルも必要でしょう。
けれど、PEという作業は、翻訳者をアウトプットされた訳文の範囲でしか翻訳できなくしてしまうのではないかと思うのです。自分で一から考えるからこそ、さまざまな方向から翻訳に取り組むことも可能です。でも、どんなに優秀な方でも、「すでにある訳文の範囲で直す」という作業ばかりしていると、その範囲で考えることしかしなくなり、最終的には、その訳文のレベルの翻訳しかできなくなってしまうのではないでしょうか。それは言いすぎとしても、本来の翻訳力がある程度低下するのは否めないと思います。少なくとも、何かと流されやすい私はそうなってしまうと思います。

とはいえ、PEが、高い専門性とスキルを必要とする作業であるのも確か。
ですから、翻訳会社には、優秀な方は、その技術に対して、金銭的に正当な報酬で報いてほしいと思います。
そして、もしも自社登録の優秀な翻訳者の方をPEに抜擢しようと考えているのであれば、そうすることで――人によっては――その方本来の翻訳能力を低下させてしまうおそれがある(翻訳会社的にみれば、優秀な翻訳者を失うリスクがある)のではないか、という点も今一度考えてみて頂ければ嬉しいなと思います。


*「翻訳能力の低下」に関しては、周りの影響を受けやすい自分の目線で「こうではないか」と考えているものです。「そういう可能性もあるかも」と捉えて頂ければ。
それはそれとして、翻訳者自身も「この先自分はどうしたいか、何をしたいか」をきちんと考える時期にきているのではないかと思いました。
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2018. 10. 04  

翻訳フォーラム・レッスンシリーズの「英語圏の文化・教養・雑学・サブカル~引用に強くなろう~」に出席しました。

当日は台風が接近していて上京も危ぶまれましたが、往復とも予定していた新幹線で、行きは台風から逃げるように(台風を連れてとも言う)上京し、帰りは(翌日午後別の用事があったため)交通網の乱れも解消した翌日夕方に帰阪することができました。ここで今年の運はすべて使い果たしたような気がしています。この先、もういいことはないんじゃないかと不安です。めっちゃ不安です。


さて。
この講座は、今年の翻訳フォーラムシンポジウムの中のT橋(あ)さんの「ヲタクじゃないけどサブカル講座」が好評を博したため、レッスンシリーズとして独立したものです。
「参加できなかった方のために報告を」を信条とする屋根裏と致しましては、いつものように詳細にレポートしたいのですが、ジツは、来年1月20日(日)PMに、大阪でも、基本的に同じ内容の講座を開催して頂くことが決まっています(「大阪でもレッスン」招致事務局「臨時」スタッフから足抜けできないSayoなのだった)。
ということで、今回は、大阪版に参加される方の楽しみを奪うことがないよう、ごく簡単に、奥歯にものを挟みつつレポート致します。悪しからずご了承ください。
あ、これだけは言っておきますね。T橋(あ)さんは、やはりとても楽しそうでした。


講座は、大きく分けて、サブカル以前とサブカルの2部構成でした。
サブカル以前では、聖書やシェイクスピアを中心に、シンポジウムでは言及されなかったさまざまな作品について、サブカルでは、映画やTVドラマを中心に音楽や文学作品にまで言及がありました。しかも、それぞれ「知っておくとよいキーワード」付きという親切さ。
さらには、いわゆるサブカルチャーが花開く時代背景、米国でスターウォーズよりスタートレックの方が引用元として好まれる理由の説明なども。

私は、普段、引用とは無縁の毎日を送っていますので、正直ついていけないものもありましたが、それでも、最初から最後まで楽しく話をお伺いすることができました。

「引用される可能性があるもの」として、タイトルだけが挙げられたものも含め、本当に多彩な作品に言及頂きましたので、それだけでも収穫だったと思っています。今後、英語の文章を読むとき、それらが記憶の片隅からよみがえってくれるやもしれません。講座では、「鼻がきくようになる」という言葉が使われていました。ただ、F井さんの仰った、「アンテナを立てておかなきゃと思いすぎても、間違った道にはまり込んでしまうので注意が必要」という言葉も忘れずにいたいと思います。

参加者には課題が出され、それに取り組みながら、「どんな風に、どこまで引用を活かす訳文を作ったらいいんだろう」とずっと考えていたのですが、同じことを考えていらっしゃる方が何名もいらしたようで、講座の中でもそうした質問が出ました。

それに対する回答をまとめると、読者層(英語文化に慣れているかどうかなど)、素材の種類(どんな文章なのか)をよく吟味しつつ、最終的には訳者責任で訳文を作っていくということになるでしょうか。
実は、私は、「日本の読者が読むのだから、日本語に似たような引用があれば、それを使ってもいい場合もあるのではないか」と考えていたのですが、その点については、原文の世界観が変わってしまうような訳語を用いるのは望ましくないのではという回答があり、ナルホドと思いました(それはそれとして、日本文化についても、もっと知っておかなければならないという思いを新たにしたのでした)。
この点が、ある程度明確になったのも、自分の中では収穫でした。

引用とは関係ないのですけれど、「どう訳す」という話をお聞きする中で、自分(訳者)のスタンスを決めるときにどんなことに注意すればよいかについて書かれた記事を思い出しましたので、参考までにURLを記載しておきます。
ノンフィクションや雑誌記事の翻訳をなさるI坂彰さんが書かれたものです。
http://aiwasaka.parallel.jp/webmagazine/WEBマガジン出版翻訳 岩坂彰の部屋-翻訳者が伝えるべきもの.htm

翻訳フォーラムのイベントブログでは、今回の講座で紹介された書籍や資料が、一覧できるようになっています。ありがたいことです。
http://fhonyaku.blog.jp/archives/77115808.html


...というような、盛りだくさんな内容の楽しい講座を、大阪でも開催して頂きます。
翻訳フォーラムさんから、11月頃案内される予定です。興味のある方は、今からまるっと予定表にしるしだけお願いできたらと思います。
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プロフィール

Sayo

Author:Sayo
医療機器の和訳も9年目。
老眼腰痛、最近は膝痛とも闘いつつ
翻訳人生をまっとうしようと奮闘中。
この頃になってやっと翻訳の奥深さ・
難しさ・楽しさが分かってきたような。
記事は「翻訳一般」多め、ときどき読書感想文、本業(医療機器)やや少な目。
(2019年4月現在)

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