FC2ブログ

屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

翻訳フォーラム・レッスンシリーズ「カンマとコロンとセミコロン~パンクチュエーションのひみつ~」を聴講してきました。

ルールに則って、適切な記号を正しく使う――日英翻訳でこれができている(OR やろうと努力している)方は多いと思うのですよね。

では、英日翻訳ではどうだろう。
たとえば、「,」「;」「:」の違いを正しく理解し、「( )」「— —」「カンマで挟む」をきちんと訳文に反映できている方はどれくらいいるだろう。
かくいう私も、つい1年前までは、特に後者の3種を、そのときどきでどう訳すのが最適かというところまで、意識が向いていませんでした。

記号の大切さに気づき始めたタイミングで、パンクチュエーションに特化したフォーラムのレッスンが開催されるという。これはもう、下心全開で聴講しにいかねばなりますまい。
イベント情報:https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01nbxg1024ek4.html

講師のF井さんは、「翻訳するとはどういうことか」を説明する際によく使用される「双眼鏡(=読解力)で遠くにいる動物を認識する」図を用いて、詳細情報をきちんと入手するためには、記号の理解も欠かせないというところから説明に入ります。
この「記号」については、(私もそうだったんですけれど)中高できちんと自分のものにしておられない方も多いかもしれません。けれど、2022年度からは、句読法(コンマ、コロン、セミコロン、ダッシュ)が外国語指導要領に組み込まれるということで、翻訳者も、いつまでも「いい加減にしか知らない」では済まされないようです。
(4月7日23:30 2020年度→2022年度に修正)

最初に、
● 参考書籍
● 句読点の使い方の流派(The Chicago Manual of Styleがpopularだが、ひとつではない)
● 何のためにパンクチュエーションがあるのか
について簡単な説明があったあと、いよいよ各論に入ります。

● 文末にくる記号-「.」「!」「?」
● つなぐ記号-「,」「;」「:」 
 音楽の休止符にたとえての説明が分かりやすかったです。
 ここで説明された「Oxford comma」問題、commaの有無が訴訟の結果を左右したということもあったとか。興味深いお話でした(興味の湧いた方は「Oxford」「カンマ」等で検索してみてください)。
● 脇に置く記号-「( )」「— —」「カンマで挟む」
● 日本語の全角ダーシと2倍ダーシ、英語のハイフン・nダッシュ・mダッシュの違い
● 引用符
(いずれも「明日から絶対役に立つ」情報が満載でしたが、オトナの事情で各論の詳細は割愛します。)

休憩後の後半は、当日配布資料を使用しての演習でした。
こちらもオトナの事情で詳細な説明は控えますが、パンクチュエーションだけが異なる2つの文の何がどう違うのかを問うものです。
いずれも(見た目は)簡単な単文なのですが、間違ったものや迷ったものがあり、「こんなに難しいのか」というのが正直な感想でした。
単文ですから、いずれも、前後の文脈が与えられれば、おそらく迷うことなくきちんと回答できたに違いありません。でも、それは、普段文脈に頼って細部をおろそかにしていることの裏返しでもあるのではないでしょうか。文脈がなければ正しく解釈できない――すくなくとも、違いをきちんと識別できないということは、やはり問題とすべきことではないかと思います。

翻訳では、「なぜそこにその単語が用いられているのかを考えることが大切」という言葉をよく耳にします。これは、記号にも当てはまることなのではないでしょうか。何らかの意味をもって、「あるべき位置にあるべき記号が置かれている」はずなのです。記号に対する「なぜ」をないがしろにしては正しい「絵」は描けないということを、演習を通じて痛感しました。

演習に思いのほか時間を要してしまい、最後に駆け足で、英語を書く際に気をつけることと、間違いをしない/見つけるための対策について言及があり、予定時間を少しオーバーして、セミナーは終了しました。

(和訳では)「記号についての理解は大雑把だが、英語の記号なのだからそんなに気をつけていなくてもよい」あるいは、そもそも気にかけていないという方もそれなりにいらっしゃるかもしれません(白状しますと、数年前までは私も(特に「脇に置く記号」の使い方が)そんな感じでした)。けれど、全然そんなことはないし、そんな風に考えることで損をしていることも多いのではないかと考えさせられるセミナーでした。

私の知るかぎり、特に英和訳の視点からパンクチュエーションを体系的に説明してくださるセミナーは今までなかったような気がします。
一人でも多くの方に(昨日の私のように)「実は思っているほど分かっていない」ことを実感してほしいと思い、大阪での再演をお願いして東京をあとにしました(下心全開って言いましたやん)。

* フォーラムの皆さんはそれぞれお忙しい身でいらっしゃいますので、すぐに実現することは難しいかもしれません。気長にお待ち頂けると嬉しいです。
関連記事
2019.04.07 18:01 | 翻訳祭・フォーラムetc.報告(2016-) | トラックバック(-) | コメント(0) |