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屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

先日、「飲み会に出かける友人に『楽しんでね!』とは言わない」というような話題で、Twitterが盛り上がっていて、私も一連のツイートを、興味深く、楽しく拝見していました。

元になっているのは、こちら ↓ の「最近、衝撃的だったこと」という記事。
ブログ主は、長年アメリカに居住されている方で、楽しい興味深い記事をいくつも書いておられます。
https://ameblo.jp/holeyflower/entry-12455000589.html

かいつまんで言うと、「英語ではそんな風に表現するが、日本語ではそうは言わないよね」という内容です。

確かに、私も「楽しんでね」は使わないかな...と思います(この辺は、もしかしたら年代差もあるのかもしれません)。同じ状況でしたら、「いいな~」「いってらっしゃい」「気をつけてね」あたりで送り出すかなと。「楽しんでね」は、個人的には、何というか...強すぎる。

けれど、同時に「元の英語にそこまで強いニュアンスはないのかもしれない」とも思いました。「楽しんでね」に対応する英語は、「Have fun」や「Enjoy」あたりでしょうか。これらの言葉を、アメリカの方々は、軽い気持ちで(さまざまな状況で)使うんじゃないかというのが、私の印象です(私の滞米歴など知れていますので、長期滞在のブログ主さんとは、もしかしたらまた少し感じ方が異なるかもしれませんが)。つまり、送り出す側の気持ちという点では、日米話者にそれほどの違いはないのではないかと思うのです。元の英語を最初に「楽しんで」と英文和訳で覚えてしまうために、「日本語ではそんな風に言わないよね」と話題になってしまう、ということもあるのではないかと。
皆さんが仰っていた「いってらっしゃい」「気をつけて」あたりが、心情まで汲み取っての、「Have fun」や「Enjoy」の真の訳語と言えるのではないかとふと思ったのでした。もちろん、状況(文脈)によりけりですが。
翻訳は、本当に難しく面白いですね。


(蛇足)

「つまらないものですが」は、また話が違うような...と思って、ちょっと調べてみました。

検索すると、新渡戸稲造がの「武士道」の中にこの言葉に関する記述があるようで、もともとは「精一杯選んだが、立派なあなたの前にはつまらないものに見えてしまう」という意味らしい。「つまらないものですが」には、へりくだると同時に相手を立てるという超高度な分かりにくい奥ゆかしい技(笑)が込められているようなのですね(実際どのように記載されているのか、一次資料(「武士道」)は確認できていません。興味のある方は「つまらないものですが」「新渡戸稲造」あたりでG検索してみてください)。

「へりくだる」部分は日本人的かなと思いますが、「相手を持ち上げる(褒める)」部分は日米共通かなという気もしますので、部分的に「気持ちは同じ」と言えるのではないかと(...て、「思いつき考察」なので、深く突っ込まないでやってください)。

とはいえ、「つまらないものですが」の部分のみが形式的な表現として残ったようでして、特に現代では、「つまらないもの贈ってどうするよ」と、やはりこの言葉には違和感が拭えません。今は「喜んでいただけるといいのですが」や「気持ちばかりですが」などと言うことが多くなっているようです。
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2019.04.28 00:11 | 翻訳 | トラックバック(-) | コメント(2) |