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屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。


2月7日、「翻訳を勉強する会」定例勉強会終了。
疲労困憊し(脳が)、よれよれになって帰宅。まだ本復せず(脳が)。

公開勉強会と同じ課題"They All Just Went Away"(Joyce Carol Oates, 1995)に取り組みました。
Oatesは、私たちが使用しているテキストThe Best American Essays of the Centuryの編者でもあります。この短編は同書に収載されたものですが、The New Yorkerでも読むことができます。
https://www.newyorker.com/magazine/1995/10/16/they-all-just-went-away?verso=true

今回の課題は、冒頭7段落の要約(基本1文)と全体要約(400文字以内)。
ここ暫く、課題は指定箇所の翻訳ばかりでしたので、要約は本当に久しぶりです。そして、全体要約は、私たち勉強会メンバーにとっても初めての試み。

課題が結構長く、「これをどう400字にしたらよいのか」と、最初は途方に暮れました。
書かれている「できごと」を追っていくのは、そう難しくはありません。分からない単語も多いけれど、そう難解な文章でもない。けれど、「全体を通して何が言いたいのか」ということになると、分かるような分からないような。ネットでOatesの著作の書評をいくつか読み、その生い立ちについてもある程度知識を得ましたが、自分の解釈ではまだ不十分だという感覚がありました。
ネットでOatesの著作の書評をいくつか読み、その生い立ちについてもある程度知識を得ました。

(ちなみに、Oatesは、2016年に、その生い立ちを綴ったThe Lost Landscapeという自伝を出版していまして、その中にこの"They All Just Went Away"も含まれています。ページ数からすると、今回の課題にかなり加筆されているような感じです。Amazonの「なか身!検索」で、書籍のさわりの部分とあとがきを読むことができます)

そうして、何度も原文を読み返したのち、やっと「原点に返ろう」というところに辿り着きました。

何のための要約なのか?

要約の目的は、そのあとで著者の意を正しく汲んだ適切な訳文を書くための土台をつくること――少なくとも、当会の要約の目標はそこだったはず。訳文全体のトーンをどうするか、段落間の繋がりはどうなのか、段落のどの情報を重要視するのか、言葉選びに迷ったときにどの言葉を選ぶかといったことをきちんと決めることができる、背骨になるようなもの――そういう「全体要約」を目指すべきなのだということに、やっと思い至りました。それまでは、「綺麗に要領よくまとめるにはどうすればよいか」に力点を置いてしまっていたような気がします。
(それが上手くできたとは言いがたい、読みの足りない結果になってしまいましたが、そういう考え方にシフトすることができたのは、ひとつ収穫だったかなと思います)

今回の勉強会で、自分はまだまだだと気づかされたことが、もうひとつありました。それは「きちんと言葉にできないこと」です。管理人さんに「それはこういうことではないですか」と言われて、「ああ、私はそういうことを言いたかったのだ」と思ったことが何度かありました。もやっとしたままでは、分かっているとは言えない。きちんと言葉にするためには、「よく調べ、よく考え、整理し、書いてみる」、この繰り返しだろうかと考えながら、今、この記事を書いています。

*****

さて。
以下は、「公開勉強会」の課題に七転八倒されている方向けの内容です。
もちろん、この部分が不要な方もたくさんいらっしゃるに違いないと思いますが、今回、翻訳学習者の方も相当数ご出席下さるということで、なにがしかの「考え方の足し」のようなものになればと思って書いています。

*要約とは「著者の言いたいことを浮き彫りにする」ためのもの。
*翻訳のための要約(=しっかりと読み込めていることを確認するための要約)であることを意識する(要約自体が最終目的にならないこと)。
*全体を部分に分けて考えてみる(まず各パーツの内容を理解する)。
(ウエブページのプリントアウトでは少し分かりにくいかもしれませんが、本エッセイは全体が6つの大きな部分に分かれています。以下に、各パートの最初の段落の冒頭部分を記載しておきます。参考になさってください)
 1 I must have been a lonely child.
2 A house: a structural arrangement of space, ...
3 There is a strange and profound and unknowable reality ...
4 Shall I say for the record that ours was a happy, ...
5 I remenber the night of the fire vividly, ...
6 As a woman and as a writer, ...

(勉強会で話し合われた内容を基に私がまとめたもので、自分なら、このあたりを意識するかなというものです。これが「たったひとつの正しいやり方」ということではありません<念のため)

課題提出リマインダ(「翻訳を勉強する会」ツイッター)の中で管理人さんが「(要約文や訳文は)どう取り組んだか、疑問や不明な点などを話し合うための材料です。不完全なままでも十分です」と書いておられますが、誰もが感嘆するような素晴らしい(要約/訳)文を書く必要はありません(いや、もちろん、書ければ一番いいんですけど)。実務一辺倒で来られた方の中には、そもそも、こういう文章に接するのが始めてで、どう対処していいか分からないという方もおられるかもしれません(最初は私もそうでした)。はじめから周りを唸らせる訳文が書けなくて当然だと思います(少なくとも私は、かなり実務っぽい文章を書いてました)。それよりも、原文を前に(時間の許すかぎり)たくさん考え、悩むことが大切ではないかと、私は思っています。

「公開勉強会」当日は、学習者や経験の浅い方も、「学習中だから」「経験が浅いから」と萎縮してしまうことなく、疑問に思ったことや、その訳文をつくるに至った経緯などを、臆さず発言していただきたいと思います。ベテランの方にも「目から鱗」の内容があるかもしれません。また、不慣れでうまく訳文が作れなかった方も、皆と意見を交換する中で「これからどうすればいいのか」「自分には何が足りないのか」に気づくことができるかもしれません。私たち勉強会のメンバーも、「どれだけ新たな気づきがあるだろう」とワクワクしています(勝手に皆の気持ちを代弁しましたが、たぶん、な)。何より、そんな風に、たくさんの翻訳者と、同じ課題についてface-to-faceで意見交換できる機会はそうないのではないかと思います。有効活用してください。

また、「公開勉強会」には、それぞれの分野でベテランと呼ばれるほどの経験を積んでおられる方も、多数出席されます。時間のある方は、懇親会までご出席いただき、そのような諸先輩方を質問攻めにしていただければと思います(幹事は死んでいると思いますので、優しく扱ってやってください)。

当日、お会いできるのを楽しみにしております。
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2020.02.09 16:59 | 勉強会 | トラックバック(-) | コメント(0) |