屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

前々回の今年の抱負でちらっと触れた「Clinical Physiology」とは
どんな書籍ぞやというお問合せを頂いたのでした。

ソイツの本名は「Textbook of Clinical Physiology」と申しまして、
「ガイトン生理学」というタイトルで邦訳も出ています。

私が持っているのは10th editionです。
滞米時に安く仕入れました。

初版は1956年、著者のGuyton先生は既に亡くなられ、
現在はHall先生が改訂を行なっておられるようです。
なので著者はGuyton-Hallとなっています。

基本2段組の本なのですが、
全て同一のポイント数ではなく、
老眼のSayoが「年寄りのことも考えろや」と切れてしまうくらい
ポイント数が落としてある箇所もあります。
Guyton先生が初版を書かれてから、
医学の進歩に伴って、様々な追加変更がなされているのだと思います
(にも関わらず、これ以上頁数を増やさないでおこうという
涙ぐましい努力が行なわれているようなのだった<たぶん)。

ソイツが医薬翻訳に必要ですか、と問われれば、
優先度は限りなく低いかと思います。
が。
人体の生理を理解するにはよい本だと思います。

この本は「Physiology」の授業を取った時に、
先生が「医薬関連分野に進む積もりの学生は読んでおきなさい」と
副読本として生徒に勧めてくださったもの。
ちなみに、この時の授業のテキストは、
「Human Physiology – from Cells to Systems」(4th ed.) Sherwood, L
カラー図解も豊富で、なかなか分かり易い教科書でした。
(でも授業のtextでなければ踏破できなかったろうとは思いますが)

Clinical Physiologyは、2色刷りだし文字は多いし、
視覚的に学生を惹きつけようという意味の「やる気」は全くないようです。
(最新版はカラーになったという噂あり)
内容的にも、「解剖生理の基礎を学んだ学生が読む」ことを前提に、
説明が端折られている部分もあったりするので、
「最初の原書」とするにはちょっと苦しいかもです。
私も、授業が始まった頃に勇んでattackし、1度討死しています。

それから、Human Physiologyは片手で何とか持ち上げられる重さですが
(上腕2頭筋の鍛錬には程よい重さです)、
Clinical Physiologyは、非力なSayoは両手でないと5秒以上保持できません。
(索引入れると1000頁超えているのだった)
(いや、重さは関係ないんですが・・・)

Clinical Physiologyの特徴は、
よく言えば説明が丁寧、
悪く言えばしつこくくどい。
(時々音読挫折しそう)
翻訳書を読んだら、睡魔に襲われることは間違いなさそうです(←自分の場合)。

でも、Clinical Physiologyはよい本だと思うのです。
まず英語が平易(専門用語以外で辞書を引く必要はまずありません)
(医学の教科書ってこんな平易な英語で書けるんだなあと、ちょっと感動も)
しつこいが分かり易い(心臓電気生理はこの本ではじめて理解できました)。
しつこさの程度で生理学的重要度が類推できる。
「こうだからこうなる」という因果関係(?)が分かり易い。
正常な状態→異常な状態(=疾患)の順で説明がなされるので、両者が比較し易い。
ホメオスタシスを維持しようとする人体の精巧さを
しみじみと感じさせてくれた教科書でした。

あと、何といっても1000頁ですから。
か~な~り~読み切った達成感はあります。

とはいえ。
たとえば一生ものの生理学的知識を得るために
中長期的な期間を設定してコツコツ勉強するにはとても良い本と思いますが、
今現在医薬翻訳を勉強している状態で、その中に割り込ませるには、
「・・・」
な本ではあります(それなりに高いし重いし)。

私もエセ学生だったので通読できた(した)と思います。
今、いきなり「読め」と言われれば挫折するかと。
音読は自分にとって最早毎日の習慣なので、
特にコイツのために時間を取って復習しているという感覚は、
自分の中にはないので、続けられてますが。

殆ど参考にならなくてすいません。
Clinical Physiologyはそんな(それなりに可愛い)ヤツです。


SayoのBackgroundについては「はじめに」カテゴリの記事をご参照ください。
2012.01.11 21:32 | 辞書・参考書 | トラックバック(-) | コメント(4) |

ひろゆさん、こんにちは。

ガイトンの新版、注文されたのですね。
多色刷りになってるといいですね~(多少はやる気も湧くかと←とにかく、ハンパない厚さですから)。

私見ですが、ガイトンの英語は、論文の英語などよりかなりシンプルと思います。
医薬翻訳では、英文でも日本文でも、(例えば機械関係の文書などと比べて)文書独特の表現が多いような気がします。なので、英訳の実践は、最初は英借文で行くのがいいのかなと思いますが(すいません、医薬の英訳は未経験なもので)、長い目で見れば、シンプルな英文表現を知っていて損はないかなあと。

期間を切るのは、現実にはなかなか難しいですよね。自分の生活も家族の生活も変化して行きますし。
1~2ヶ月の期限を切って、その間に「1日必ず5分は読む」とか「必ず1パラグラフは読む」とか決めて、暫くやってみるのもありかなと思います。私は「1日必ず手に取る」派ですね。性格的に「これだけ」と量を決めてしまうと、しんどくなって挫折してしまうので。ご参考まで。

ではでは。
ガイトンさん(←まるで知り合いのよう)がひろゆさんの役に立ってくれますよう祈ってます!

2012.01.18 21:50 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

遅くなりましたが…色々と教えて下さってありがとうございます!おかげさまでAmazonで見つけることができました(お手数をおかけしてすみません)。新版が出ていましたのでそれを購入しました。ちょっとドキドキします。
「今後1~2年の間に何を優先したいか?」、なるほど~。英訳に結びつく練習をしたいので、それに向けて使おうかと思っています。言葉の使い方や用語に馴染みたいと思っています。
期間も決めた方がいいようですね。どうしようかな…
雑誌論文は難しいです。どうも私はいつも一言足りないようで、すらすら読んでいるわけではないのですよ~。(翻訳ではありませんが)仕事に使っていて、意味のわかる部分だけ活用している状態なのです。
英語の専門書第一号(!)が届くのが楽しみです。
色々とありがとうございました♪

2012.01.16 14:22 URL | ひろゆ #eq4badRo [ 編集 ]

ひろゆさん、こんにちは。

ホントだ。洋書でいきなり「clinical physiology」検索すると出て来ないですね。
私は「ガイトン臨床生理学」の頁から飛んだので、気付きませんでした。
Clinical PhysiologyのURLは
http://www.amazon.co.jp/Textbook-Medical-Physiology-Guyton/dp/072168677X/ref=pd_sim_sbs_b_5
です。翻訳版より安いと言えば安いですが、それでも躊躇するお値段ですよね。

雑誌論文読まれてるんですね。すごい! 教科書よりずっと難しくないですか? 私も時々NWJMの無料論文を斜め読みしたりしましたけど、「その分野の知識がある人」が対象読者なだけに、ちんぷんかんぷんなことが多かく、いつもすぐ挫折してしまってました。

その点、textbookは体系的に書かれているので理解するにはいいですけど、勉強に時間が掛かってしまうので、勉強が目的なのか、翻訳の仕事をしたいのか、自分でも曖昧になってしまったりする怖さ、ありますよね(そんなこんなあんなで10年かかった私)。
分からなかったことが分かってくるのは楽しいですけど。それに、解剖生理が体系的に分かっていると、翻訳の調査の過程で、書いてあることがすっと分かったり、必要な情報とそうでない情報の選別が多少早く出来たりということはあるかな、と思います。・・・って、私も医薬は駆出しなので、偉そうなこと言えませんけど。

「翻訳の仕事を得る」という観点からすれば、直接的に役に立つものではないと思いますので、「トライアルに合格する」を優先して、原書textbookはばっさり切る、というやり方もありと思います。
読まれるのでしたら、自分で「半年だけ」とか「1年だけ」とか時間を区切って、ノートなど取りながら集中して勉強された方がいいかなと思います(老眼来ないうちに)。

結局は、自分は今後1~2年の間に何を最優先したいのかってことになるんでしょうか。

ひろゆさんは、勉強方法などご自分でかなり工夫なさっているようなので(いつも読み逃げですいません)、ばばあの寝言くらいに聞き流しといてくださいませ。

こちらこそ、今年もどうぞ宜しくお願い致します。

2012.01.12 20:34 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

こんにちは。
英語の専門書はNature系雑誌しか読んだことがないのでとても気になります。
Amazonで買おうにもどれがいいのかわからないので、買う気もおこらず…という状態だったのですが、なるほど、こういう類の本を購入すればよいのですね。貴重な情報をありがとうございました!ちょっと探したのですが日本のAmazonでは見つけられず。
でも、ちょっとお高いので躊躇しています…

先回(といってもだいぶ前です)「トライアル現場主義」を教えていただいてありがとうございました。えいっと購入してしまいました。未だに読めていないのですがそろそろ読み始めます!

今年もよろしくお願いいたします。

2012.01.12 15:51 URL | ひろゆ #eq4badRo [ 編集 ]













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