屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

プチご無沙汰です。

例の「初盆」の用意に励むあたりから、何となく調子が悪かったのでした。
何となく身体がだるいというか、疲れが抜けないというか。
大型偏頭痛後も軽い頭痛が続くし。
で、先日、はたと思い当たりました。

「こ、これが、『夏バテ』というヤツだったのかっ・・・」

これまで夏バテとは無縁で来た私ですが、さすがに寄る年波には勝てないようです。
早く涼しくなってほしい酷残暑。

そのご無沙汰明けの記事が「翻訳じゃねえのかよ~」と仰られてしまいそうなんですが、
翻訳じゃねえんですよ、すいません。

「幸福な生活」(百田尚樹)は、何の前知識もなく、図書館から借り出しました。表題を含む短編集なのですが、1編15頁強という長さが、気分転換にはちょうどいいかな、と。そしたら、これが、(個人的に)思い掛けないヒットだったのですね。

ミステリーもあり(←コレが一番多い)、心暖まる話もあり、哀しい話も切ない話もあり、なのですが、全編、最後の1行がどんでん返しの台詞という構成になっているという趣向。

例えば、「母の記憶」という作品では、「ぼく」が認知症で施設に入居している老母を訪ねます。この母親は、「ぼく」がまだ子供の頃、酒癖の悪い父親が大暴れした夜に突然家出をした後、女手1つで「ぼく」たち兄弟を育てた気丈な母親です。その母の脈絡のない話に相槌を打ちながら、「ぼく」は、父が作ってやると言っていた金魚用の池を、父の家出後母が代わりに作ってくれたことを回想します。そのモルタル造りの池跡の割れ目から、「ぼく」は、最近、長いこと行方不明だった自分の怪獣のおもちゃを見つけています。そんな「ぼく」に向かって、母は、昔語りの続きのように、ふと、そのおもちゃを父が掴んで放さなかったから「一緒に埋めちゃったのよ」と言うのです。その母の言葉が最後の1行です。

実際、母が父を殺したのかどうかは謎のままなんで(母は、妄想の中で、そりの合わなかった「ぼく」の奥さんも勝手に殺してしまっています)、よけい不気味だったりします。

全編を通じて、話のキモとなる最後の1行だけが、ページをめくった後に書かれているのが、これまた凄い。そうなるように長さを調整して書いているわけですから。やっぱり、モノカキさんって、只者じゃないのね、としみじみ思ったりしたのでした。あ、当たり前か。十数編あると、中には、半分も読めば着地点が予想できる話もあるのですが、表題作のように、最後までその話の向かう方向が分からずドキドキする話もあって、結局、気分転換ではなく、一気に読んでしまったのでした。で、仕事→睡眠時間に支障が出たのでした。

作者の百田尚樹さんは、以前「探偵!ナイトスクープ」のメイン構成を担当されていた方とか。う~ん、ちょっと(かなり)納得。

てことで、ですね。
「どんでん返し」つながりで思い出したのが、William Katzの「恐怖の誕生パーティ」(ウイリアム・カッツ/小菅正夫訳)(Supprise Party written by William Katz, 1984)。新潮文庫から1985年に出版されていますが、現在は絶版のようです。
「また絶版ものかよ~」って話なのですが、片手に余る古書店売り飛ばしbingeを経て手元に残った本なので、現在手持ちの書籍(辞書・参考書除く)は、その殆どが絶版本なのです。お許しください。

で、「恐怖の誕生パーティ」ですが。
この話は、ミステリー好きの方の間では、「最後にどんでん返し」ものとして(最後の1ページで「ええっ」となります<たぶん)、ちょっと話題にもなったようです。でも、今回の記事を書くに当たって、ちょっとGoogleを探索などしてみると、「全く伏線がなかったので、そこが評価できない」というような意見もあり、確かに「いきなりなどんでん返し」感がないでもありませんので、その当たりが最高/今イチの評価の分かれ目かなという気が致しました。

この話は、暫くの間、2本の柱で進行します。

1本の主人公は、新婚の妻サマンサ(サム)。夫マーティを驚かせ喜ばせようと、その40回目の誕生日(12月5日)のパーティーを、本人に内緒で企画するのですが(てことで、原題Surprise partyです)、古い友人達を探し出そうと夫の過去を辿るうちに、夫の語った過去はどこにも存在せず、しかも夫(の名前を持つ人物)はベトナムで戦死していることが分かります。では、私は、いったい誰と結婚したの?

もう1本の主人公は、NY市警警部クロス=ウェイド。彼は、過去数年、年1回決まった日に同じ手口で鳶色の髪の女性を殺害する「カレンダー殺人狂」連続殺人犯を、ずっと追い続けているのですが、何の手掛かりも掴めないまま、今年も問題の12月5日がやってこようとしています。

マーティ=カレンダー殺人狂ということは、読者にはかなり早い段階で明らかになり、彼が、着々と殺人の準備を進める様子も描かれます。

悩み抜いたサムがNY市警の失踪人係を訪ねたことから、2本の柱は1本となります。
サムは、クロス=ウェイドから「夫は実は連続殺人犯で、次に自分を殺そうとしている(かもしれない)」ということを聞かされるのですが、あくまでも「容疑」でしかないため、証拠を得るため予定通り計画を進めるよう依頼されます(警察としては、現場を押さえて逮捕したいのですね<もちろん、サムの身に危害が加えられないよう万全の態勢を取ると約束しますが)。

その後も、話は、2転、3転、4転くらいするので、クライマックスに至るまでのストーリーも、(多少冗長かなと思う部分もありますが)とてもスリリングです。
そして、全てが解決し、ホッとしてエピローグに進むと・・・最後にして最大のどんでん返しが待っています。ううっ、書いてしまいたい。個人的には、このラストがかなり衝撃的でしたので、「伏線? ンなもんどうでもいいわよっ」という感じでした、ご参考まで。

当時の私は、いったんある作品が気に入ると、同じ作者の作品を探して読みまくる、という生活(?)を送っていましたので、その後、カッツさんの作品も何作か読みましたが、「恐怖の誕生パーティ」を超える作品には出会えませんでした。それだけ衝撃的だったのね~。
ってことで、暑い夏に涼を取るには宜しいかと(怪談じゃないんだから<自分)。

古書店で遭遇し、ふと興味が湧きましたら、手に取って頂ければと。たぶん、105円くらいで投げ売られているかと思います(某Amazonさんでは1円で売られてましたが)。
2012.08.23 21:20 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(0) |
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