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2012. 12. 11  
物理で赤点を取っていたこの私が
「疲労破壊試験」の仕事をするというのだから、
世の中変わったというか、だから異常気象というか。

「医療機器」の試験報告書では疲労破壊試験は結構よく登場しますので、
別に今回が初めてって訳じゃないんですけど、
今回は、これまでのようにウエブ上の知識の寄せ集めでは対処できそうになく、
参考書を購入して対処しました。

その前に「疲労破壊試験」についてですが。
特に植込み系医療機器(ステントとか人工関節とか)は、身体中に植え込む前に、
「長期間使用しても壊れない」ということを立証しなければならないわけで、
そのために、例えば、人工関節なら、歩行に相当する動作を規定回数行なって、
その間関節が破壊されないことを確認するわけです。
何百万回って話なので、試験機さんにやって貰うんですけど。

そういう破壊試験報告書だと、延々、物理、物理、物理~な内容が続いて、
「どこが医薬なんじゃい」という場合もあったりするんですが、
私自身は以前の分野(機械)でも破壊試験には時々遭遇していましたので、
「圧縮曲げ」とか「降伏強度」とか攻めてこられても、
たぶん、全く初めての方よりは多少耐性も興味もあるかなと思います。
(その分薬理や生化学関連の知識が薄いですが)

それでもやっぱりいつもギリギリの理解でお仕事をしているので、
「物理、物理、物理~、参ったか~参れ~」と攻めてこられると、
もうパニックになってしまう訳です。何と言っても、元赤点生だし。


というわけで、今回お世話になったのは、

「材料強度学」(境田 彰芳編著、コロナ社 2011年)

これは「機械系 教科書シリーズ」という工学系の大学生(たぶん)を対象とする教科書シリーズの中の1冊です。この本で特に良かったのは、説明の中で、多くの単語が、日本語(英語)と日英併記されている点。日英両INDEXが充実していれば言うことはなかったのですが、英表記と基本的な説明にはかなり助けて貰いましたしたので(案件が終わったらささっと忘れましたが)、2600円というお値段は、個人的には、十分以上に元を取ったでと感じられるものでした。

その他に、これは以前入手した参考書たちですが、

「金属バイオマテリアル」(塙 隆夫・米山隆之共著、コロナ社 2010年)

この本については前にも書いたかなと思うのですが、植込み系の医療機器に関する文書には、時々、材料や結晶構造に関する記述もあったりしますので、ぼちぼち助けて貰っています。2400円。

「ここまできた人工骨・関節‐バイオマテリアルから再生医工学へ‐」
(立石哲也 編著、米田出版 2012年)

その分野の案件で苦しんだ後に読むと、「おおっ、これのことを言っていたのか」と理解できる箇所が何箇所もあるのですが(<ハッキリ言ってそれでは遅いんですけど)、あまり予備知識なく「知識を仕入れとこう♪」的に読むと睡魔に襲われること間違いなしの、ある意味安眠のお供です。でも、たまにこの分野の案件に遭遇した時は、それなりに助けて貰っています。INDEXはそこそこ。3700円は許す(誰もSayoの許しは待っていないという説もある)。

というわけで、昨晩は海外向けクリスマスカード書きに勤しみ、
今日はブログ・・・じゃなかったわ、お仕事に戻ってきました。


本題とは関係ありませんが、ここ2~3週間、
日曜日夜9時は旦那と訳もなく「東京エアポート」にハマっています。
先週(今週か?)は別所哲也さん(管制官のエラいさん役)が英語を喋る場面があり、
「やっぱ、発音もリズムも違うよね~」と感心していたのですが、
旦那的には、「英語はやっぱりCoCo塾のヒトが凄いでしょ」とのこと。
伊勢谷友介さんって言うんだよ、覚えてあげてね。
で、Wikipediaで伊勢谷さんのプロフィールを確認したら、
特に海外に長く住んでおられたという訳ではないんですね。
すごっ。
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Comment
Re: タイトルなし
Yasukoさま、まいどです~。今日はちょっと蒸し暑いですね。

「ここまできた人工骨・関節‐バイオマテリアルから再生医工学へ‐」役に立ちましたですか! よかったです! 実は私、この本、一番最初は苦しんだ関連案件が終わってからたまたま見つけたもので、「あの時この本を知っていれば!!!」と歯軋りしたものでございます。ま、その後も時々助けて貰っていますのでよしとしましょう。医療機器だけではないのかもしれませんが、新しい材料、技術、機器が次々に登場するので、書籍が追いつかないのが悩みの種です(ネット情報は、「・・・ホンマか?」て時もありますものね)。Yasukoさんのお役にも立ててうれしゅうございますだ。
お仕事頑張ってくださいませ。
Sayoさま、まいどです~。まだまだお暑うございます。

先日新規の会社からトライアル的にいただいた案件が、やったことも見たこともない分野でして(←断れよ)、パニックした頭によぎったのがSayoさんの「辞書参考書」でした~。(確か、見た気がする!と思い出した自分をほめてあげたい。)「ここまできた人工骨・関節‐バイオマテリアルから再生医工学へ‐」参考にさせて頂きました。一部の章だけではありましたが、玉石混淆のネットの情報とは違う信頼性があり頼ってよかったです。
ありがとうございました。昔の記事にコメントしても見てくれると信じてこちらにお礼をかかせてもらいますね。

あとは次の仕事につなげるだけ。むむ
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プロフィール

Sayo

Author:Sayo
医学・医療機器和訳から
医療関連の書籍翻訳にシフト中
『患者の話は医師にどう聞こえるのか』共訳
『医療エラーはなぜ起きるのか』
現在3冊目と格闘中
還暦を過ぎて(やっと)
翻訳は楽しく苦しく難しいと実感
老体に鞭打って勉強に励む日々
翻訳関連の雑感・書籍紹介・セミナー感想など
(2023年5月現在)

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