屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

先日、女性翻訳者の方々の集まりがありました。
例の、「名刺デビュー」の集まりね。
快く名刺を貰ってくださった皆さん、ありがとうございました。

その時に、その会に参加する方々から募った様々な質問からの抜粋をQ&Aアンケートにしたものに記入致しました。大方は、1日何時間くらい仕事をするのかとか1日平均処理量とか、私の出す数字は、ホント参考にならんよな~と思ってしまうような質問だったのですが(仕事は遅いしだらだら仕事するし、フィギュアスケートの時期はそもそも使い物にならないし、なヒトですから<一応、正直に答えておきました)、その中に、「う~ん」と考え込んでしまった質問がありました。時間もあまりなかったので、ささっと書いて提出したのですが、全然書き足りなかったと思いますので、思うところをこちらにて補足。

というわけで、今日も、実用情報全くなく、我が道を行く屋根裏であります。

その質問は、「翻訳の仕事の醍醐味は? 何が楽しくて翻訳を続けている? 翻訳していて一番面白い!と思えるところは?」というものです。

この質問に答える以前に、まず「醍醐味」の理解があやふやでしたので、「広辞苑」様にご教示を仰ぎましたところ、「深い味わい、本当の面白さ」という回答を頂きました。

・・・本当の面白さ、ねえ・・・

「何が楽しくて」と言われれば、正直、即物的ではありますが、「自分の力で何がしかのお金が稼げるのが嬉しい」という部分は大きいです。あ、これは「楽しく」ではなく「嬉しく」ですね。
そうして、しみじみ考えてみると、「楽しい」と思いながら仕事していることはないような気がします。どちらかと言えば、常に納期様に首根っこをむんずと掴まれておりますんで、正直「苦しい」・・・かも・・・
仕事のない日々が少し長く続くと、「早く仕事ほしいなあ」と思うようにはなりますが、それは、「楽しみを待つ」という気持ちではなく、「自分の仕事はもう評価されないのではないか」という不安感から来るもののような気がします。
決して誤解しないで頂きたいのですが、私は、翻訳という仕事が好きです、たぶん。「たぶん」と言うのは、毎日「納期までに終わるかな~」とため息つきながら机に向かい、お天気のいい日は「ああ外出したい」と空を見上げてため息をつき、夕方郵便物を取りに出て「おお、これが今日初めての外出」と自分に感動する日々は、決して「楽しい」ものではないに関わらず、(期間だけは)長い間、この仕事を続けているからです。だから、たぶん、好きなんだろうなと。

大きなお仕事の打診を頂けば舞い上がりもしますし、直訳するとどう読んでもおかしな日本語にしかならない原文から、意味は違えず「これ」という日本文を導き出すことが出来た時は、ガッツポーズのひとつもしたくなりますし、厳しい納期にそれなりの品質で対応できた時には爽快感がありますが、それらの一つ一つは、一過性の小さな喜びであり、「醍醐味」という語から感じられる「何か大きなモノ」とはちょっと違うような気がするのです。

あ、身体の反応や機械の仕組みなどが「こうだからこうなる」という過程が理解できるのは、「面白い」と感じられる部分ではありますが、それも、「仕事なのでしつこく調べた」結果得られるもので、納期の掛かった仕事でなければ、同じだけの集中力と同じだけのしつこさで物事の調査に当たることはないような気がします。

というわけで。

醍醐味 → よく分からず。
何が楽しくて → 特に楽しい日々ではないが、仕事なので。
一番面白い!と思えるところ → よく分からず。

という、質問者の方の気を挫くような愛想ない回答となりました。その結果を2行に凝縮したので、アンケートの回答はさらに愛想のないものとなっているかと。まとめてくださる方、すいません。

それでも、辞めなければならない「その時」が来れば、私は身を切られるような辛さを感じ、心の隙間を埋めてくれる別の(「コレ」と自分で認められる)何かを手に出来るまでは、身体がどんなに忙しくとも空虚な日々を過ごすと思います。私にとって、翻訳とはそんなものです。なんだ、定年後のおやじじゃん、とフと思ったりしたのでありました。

***

最後になりましたが、「屋根裏通信」のデフォルト(?)の挨拶「まいどです~」ですが、これは、OL時代に、取引先のおっちゃん達(←当時の自分比<言わんでも分かる<自分)の「まいど」攻撃を浴び続けたSayoのデフォルト挨拶であり、決して、ご訪問下さる皆様に「まいどです~」を強要するものではありません、念のため。ご参考までに、「まいど」は「い」音が一番高く強くなるような感じで発音し、最後は「まいどっ」とぴしっと切る感じで勢いよく終えるのが、おっちゃん達の流儀でありました。それでは皆さん、ご一緒に~(以下自粛)。
2013.03.18 19:02 | 翻訳 | トラックバック(-) | コメント(10) |

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2013.07.22 13:37  | # [ 編集 ]

Yasukoさん、まいどです~。

そうでしたか、Yasukoさんも、色々回り道されて、「在宅翻訳」に辿り着かれたのですね(皆さん、多かれ少なかれそうなのでしょうね)。
時間を掛けて見つけた仕事、お互い大事にしたいですね。老眼腰痛物覚えという点ではキツいですが、いくつになってもできないことはない仕事ですものね。「喜び」と表現できる仕事に出会えるって、なかなかないことと思います。

以下は自戒なのですけれど、「楽しい」「嬉しい」「喜び」「自己表現」という言葉を使えるということ自体、とても恵まれたことなのだ、ということも忘れないようにしたいと思っています。旦那を見ていると、「一家を養うだけのお金を稼ぐ」ということは、本当に大変なことだなと。私の稼ぎは、家計の足し&自分達の老後資金の足しにはなりますが、「一家を養う」だけの金額には、とうてい及びません。

仕事をセーブできるのも、疲れればペースを落とすことができるのも、好きなものだの参考書だのを気兼ねなく買えるのも、「旦那の稼ぎ」というベースがあるからで、会社勤めに付き纏う辛いこと嫌なことを飲み下して毎日あくせく働いてくれる旦那には感謝しなければならないと思っています(という同じ口が、「子供より手が掛かり役に立たん(怒)」と旦那を語るのだった)。

てことで、皆で、仕事が続けられることに(色々な意味で)感謝しつつ、今晩も元気に働きましょ~・・・ってそんな不健康な人間は私だけか。

2013.03.21 19:31 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

Sayoさん、コメントを書かれたみなさま、まいどですっ

私も実は乗り遅れたため、コメントしませんでしたが、Tomokoさんが書いてくださったので、のっかります。

私も境遇はTomokoさんとちょっと似てるかも、です。
翻訳の仕事を始めたのは随分前ですが、途中でいろいろ寄り道をしたため(子育て、外で働く)、出戻ってみて初めて気づいた楽しさがあります。「楽しさ」というよりは「喜び」に近いかな。
一度在宅に嫌気がさして、外に出てみたけど(キャリアウーマンのビジュアルに憧れただけ、という意見もあり)、やはり自分は英語を使って仕事をするしかないのかなあ、と思って戻ってきました。年齢的にも外で働くのはキツクなっていきますし。

寄り道した分、翻訳者としては出遅れたけど、でも今回は腰を据えて挑める気がします。
そして在宅の良さもしみじみわかるのでした。

さらに子供たちの手が離れかけている今、自分が「面白い」と感じられる仕事を持っていることのありがたみを痛感している今日この頃です。

出遅れたあげく、翻訳の「楽しさ」というテーマとはずれたようで、重ね重ねすみませんでした。


2013.03.21 18:38 URL | yasuko #- [ 編集 ]

Tomokoさん、いらっしゃいませです~(と私も違う挨拶で返してみるのだ)。

ブログ読み逃げさせて頂いています(スイマセン)。苦しくも幸せな生活のようで(?)何よりです。あとは、疲れを溜めて、お身体だけ壊さないようになさってくださいな(そこのところの匙加減はなかなか難しいですね)。

誰にでも、**さんのお母さんや**さんの奥さんではなく「Tomoko」や「Sayo」という風に、「自分を自分として認めて貰いたい」という欲求はあると思うんです。私たちの場合は、たまたまその手段が「翻訳」だったわけで(いや、もちろん、「好きな仕事」ではあるんですが)、なおかつ、その欲求自体もかなり強いのかな、と思います。そういったことを色々考えながら、自己表現手段でもある仕事に辿り着くことができた自分は、ある意味とても幸せな人間だと思います(この「幸せ」という感覚も、とても主観的なもので、感じるところは人それぞれと思いますが)。

私は、介護モドキを数年やって仕事をセーブしていた時期があり、この先、また次の介護があるので、今はモラトリアム期間で「好きにさして貰ってますぜ」という感じです。仕事の依頼を断りまくった過去、廃業を決心しなければならない将来を考えると、仕事のできる「今」は、本当に至福の時間だなあと思います。この「仕事をできることは幸せ」感を忘れず、少しでも長く仕事を続けたいというのが、ささやかな望みです。

Tomokoさんは、今、気持ちも身体も充実なさっているように感じます。少し回り道もして見つけられた「私の道」、大事に「がんがん行って」(今そういう時期のような気がする)くださいませ。

フィギュアは、最近もっぱらスポーツニュースとYou Tube様におすがりするようになりまして、すでに末期症状かも…(泣)

2013.03.21 18:31 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

Sayoさん、いつもおおきにです(違う関西弁にしてみました)!
ごめんなさい、忙しくてこの話題にも完全に乗り遅れましたが、一言だけ。
nobaraさんのところでも書きました(私の過去ログにはもっとくわしく書いてあります)が、私は産休中、脳みそがとろけるような生活をずっと送ってきたんです。
でも、それが続くとやっぱり楽しくないんですよ。
楽だから幸せではないんですよね。

それがわかったから今は苦しくても楽しいです。
私もフィギュアが大好きなのですが、全部録画したまんまです(涙)。
今の私にとっては仕事が一番楽しみです。
これは一度思いっきり離れてみないとわからないことなのかもしれませんね。

もう戻れないと思っていたところから戻ってこれたこの世界は私にとってはバラ色です(もちろんいっぱいトゲはありますが)。

まだ仕事が終わっていないのに、少しだけ見通しがたったので、ちょっと気が抜けて、一言だけのつもりがつい長々とコメントしてしまってスミマセンでした。


2013.03.21 17:49 URL | tomoko #- [ 編集 ]

レモネード様、ちょりーた様、mariko様、皆様まいどです~。
(レモネードさん、今度「正しいおっちゃん的発音(?)」ご教示させて頂きます)

最後にあの超弩級の質問は、ちょっと引きました(回答が困難、という意味で<同時に、皆さんの回答が怖くも楽しみでもあります)。

確かに、あとで思い返してみると、「あの案件は面白かった」とか「あの続き来ないかな」とか「あの分野もうちょっとやりたいな」とか、色々あるんですよ。決して好きではない「管理」という仕事に日々悩殺され(現場の仕事自体は嫌いではないようですが<根っからのブルーカラー)、飲んで歌ってお馬さんと遊んで(注:決して「飼っている」という意味ではありません<念のため)憂さ晴らししている旦那を見ると、こんな風に前向きに仕事を捉えられるということは、やっぱり「好き」なんだろうなとは思うのですが、どう振り返ってみても、仕事をしている時に「楽しい」と感じたことはないような気がします。どっちかと言うと「できん~」(納期が)「無理~」(内容が)、「休みて~」とへたばりつつPCにかじりついているというか・・・

でも、時々間を置きながらも、次々やって来る仕事をこなしているうちに、日々が過ぎて行く…というあたりは、ちょりーたさんと一緒ですね。でも、仕事ってそんなものかも。あと、たぶん、私もMかと。

この質問、考え出すときりがない深い質問のような気がします。ので、「楽しくはないぞ~、でも、たぶん好きだぞ~、やるぞ~」で〆てみます。

Marikoさん、やっている最中に「楽しい」は羨ましいかもです。でも、「火サス」の方がもっと楽しいというの、分かります。私も、フィギュアスケートの時間は至福の時間です(でも、フィギュアばかり堪能していると、脳味噌が溶けてしまうような気がする(?)ので仕事もするのだ~)。

と、まとめコメントにしてしまってすいませんです。
皆様、コメントありがとうございました。

2013.03.19 11:40 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

Sayoさん、ちょりーたさん、marikoさん、おはようございます。連コメ失礼します。

うーん、marikoさんはそうなのですねー^^。メディカル組は「干される?」という心配が常にあるからなのでしょうか? 案件毎にプレッシャーを過剰に感じてしまったり、なんとなく安定していないから? 人生の多くを占める仕事が楽しいにこしたことはないし、実際にそう思っている人も少なくはないのでしょうね。

2013.03.19 10:16 URL | レモネード #7av6LuR2 [ 編集 ]

あれ?そうですか?
私は「仕事自体が楽しい」と書きましたが。うーん、そうなのか。確かにサスペンスドラマを見ているともっと楽しいですけど。

2013.03.19 09:22 URL | mariko #Xnq8k9Uo [ 編集 ]

Sayoさん、レモネードさん、どうも~。

お二人とも私の気持ちを代弁してくださってありがとうございます(<おい!)。まさにそうなんですよ。仕事をやってるときはとても楽しいとは思えず、納品した後は「もっとよいものができたのでは」と気になるし、仕事が途切れれば「干された?」と不安になるし。しんどいことの方が多いように思うのですが、根がマゾなのでしょうか。スポ根物全盛期に育ちましたから(「巨人の星」とか「ドカベン」とか)、わりと打たれ強いかも…。

いろいろ思うところはありますが、目の前の仕事をこなしているうちに月日が経ってしまったというのが本音かもしれません。あ、別に嫌々やってるわけではなくて、常に良い仕事をしようと心がけてはいるのですが。一言で言えることではないので難しいですね。

2013.03.19 08:58 URL | ちょりーた #- [ 編集 ]

Sayoさん、まいどです~(PC前でアクセント練習した!)

私もその質問への回答で手が止まりました。事前にある程度答えは用意していったのですが・・・。
私も仕事そのものは別に「楽しくない」のです。むしろ辛く苦しいことの方が多いと回答しました。
よい成果物を生み出せたときの達成感はたしかに大きいものですが(これがやりがい?)、それも単なる自己満足に過ぎないような気がしますし・・・。で、なぜ続けるのかというと、私の場合、何かしら仕事をして自ら生活費を稼ぎ、周囲を納得させなければならず、仕事選びも消去法でいったら自分に合いそうで、嫌いでない仕事がこれだったという感じです(実際には、消去法ででも、とりあえず進むべき道がみつかってよかったな-、自分、としみじみ思います)。定年後(?)のことはまだ想像がつきませんが、自分の定年はいつ?と考えると気が遠くなります・・・(´д`)

滋味あふれる仕事の域に達するのは産業翻訳では難しそうですね。

2013.03.19 06:10 URL | レモネード #7av6LuR2 [ 編集 ]













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