屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

GWですが、ぼちぼちと仕事をしています。
昨日は、懸案事項だった実家の雑草引きと大型ゴミ捨て(清掃工場持込み)が済んだので、今日は気分はだいぶスッキリ。と言っても、ゴミ捨てに関しては「大河の三滴」くらいの感じですが。捨てられるものはかなり捨てたので、そろそろ父の蔵書に手を付けないかんな~と思っています。ハッキリ言って、蔵書が片付いたら、我が家はかなりスッキリしそうな気がする。先日は、蔵書の間から聖徳太子様(古い1万円札)がお出ましになりましたので(ヘソクリかいっ!)、宝探し(?)と思ってぼちぼちやることにします(聖徳太子様は、銀行にて無事諭吉様に変身なさいました)。


さて表題の作品。

「名もなき毒」(宮部みゆき)と並行読みしたので、2作を比べながら読むことになりました。

「比べながら」と言っても、もちろん、どちらが優れているとか、そういうことを比べていた訳ではありません。「告白」という作品そのものは、個人的には「好き」とは思えなかったのですが、それは、主に、終わり方とか、全体を覆う閉塞感とか、救いのなさとか、そういう部分が好きになれなかったということで、湊さんの作品はこれが初読みですが、次々と視点を変えて様々な人物の語りによって物語を作り上げていく構成力とか、そもそもの着想とか、(もちろん文章力も含めて)凄いなあと思いました。文章そのものも、「引掛りなくさくさく読めた」という点で、自分に合った文章だなとも。どうも、「自分にとって読みやすい文章とそうでない文章」というのがあるようで、個人的には、例えば、伊坂幸太郎さんの文章はとても読みにくく、読破するまでに時間が掛かってしまうのです。凄いストーリーテラーだなとは思うのですが。それは多分、特に地の文の文章の癖とか細かな言葉の選び方とか間の取り方とか、そういうことなんだろうなと思います。

で、「告白」ですが。
Wikipediaさんを始め、各所で内容も紹介されていますし、映画化もされましたので、詳しく粗筋を記すことはしませんが、中学校の女性教師が、退職日に「事故死処理された娘は実はこのクラスのAとBに殺された」とクラス全員の前で2人の生徒を糾弾する章に始まり、クラス委員長の女子生徒(後に少年Aにより絞殺)→ 少年B(母を刺殺)の姉 → 少年B → 少年A → 再び女性教師の各人の視点で、話が語られるという構成のお話です。「少年A、Bが犯人である」という事実に疑問の余地はなく、女性教師の糾弾の結果、生徒たち(特に少年A、B)がどうなって行くのかに焦点が当てられていて、それらが当事者の口から語られます。

どんな小説でもひと言にまとめるのは難しいのですが、この小説を読んだ感想は「救いがない」というものでした。ストーリーの性質上ということもあるのでしょうが、登場人物の「闇」の部分が強調されていて、「よかったね」とホッとできる部分がないのは、精神衛生上かなり辛いです。

「その後」の想像を全部読者に委ねるような(本書の場合は、女性教師によって最後の鉄槌を下された少年A、心を病んだと思われる少年B、そして教師自身のその後、ということになるのかなと思います)お話の終わり方は、あまり好きではありません(この作品が、ということではなく、一般的な好みということですが)。個人的には、(ハッピーエンドであろうがなかろうが)一応の解決がなされ、その後の主要登場人物の様子がちょっとだけ描かれ、その後の彼らの人生が読者の想像に委ねられる、という収束の仕方が一番好きです。

この作品の怖いところは、全章が、語りや作文や日記やHP掲載手記といった、読者(聞き手)を意識した「語りかけの形で書かれているため、一人称でありながら、どこまで真実が語られて(書かれて)いるか分からないところ。研究バイアスではないですが、読者を意識すれば、誰でも「自分を正当化しよう」「書きたく(言いたく)ないことは切り捨てよう」という意識が働くと思いますので。そういうやり方は、作者が意識してされたことに違いないので、やっぱり、湊かなえという人は凄いと思います。

で、またまた「名もなき毒」との対比ですが。
こちらの作品でも、人の「闇」は描かれていて、登場人物の中には、闇に食い潰されてしまった人もいるのですが、お人好しで闇が少ない人もいて、「そうだね」「よかったね」な部分も多く、なおかつ好みの(↑)終わり方をしてくれるので、個人的にはこちらの作品の方が好きです。

湊かなえさんの描かれた「闇」は怖ろしいと感じるのですが、宮部さんの描かれた「闇」は哀しくて、読み返していて泣いてしまう時があります。
湊さんは、「今はこんなことが普通に起こるおかしな世の中なんです。おかしくないですか」と、どちらかと言えば問題提起的にお話を書かれているような気がします。これに対し、宮部さんは、「こんなおかしな世の中なので、誠実に正しく生きていくのは難しいし、馬鹿みたいかもしれないですよね。でも、そんなに捨てた世の中と人ばかりではないのかもしれません」という部分を強調されているような。あくまで主観的な感想ですが。どちらがよいとか悪いとか、優れているとかいないとか、そういうことではなく、書きたい思いを形にする場合のアプローチの違いなのかなーと思います。でもって、お人好しなSayoは、どちらかと言えば宮部さんに同調してしまうのでした。

というわけで。「告白」(湊かなえ)。面白いと思います。でも、好みは分かれるかな~、とも思いました。以上、勝手な読書感想文でした。
「名もなき毒」(+その他宮部みゆき作品)については、またそのうち日を改めまして。
2013.05.02 14:56 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(6) |

Yasukoさま、いらっしゃいませ~。

お気持ち少し分かります。Yasukoさん、確か同じお年頃のお嬢さんおられますものね。私も、旦那の仕事関係があまりに大変だった頃、「沈まぬ太陽」を読めなかった時期がありました。山崎豊子さん好きだったんですけど。今じゃ、体力的にあの長さが読めず(山崎さんの作品は、精神的体力も必要な気がするのでした)、未読のままです。自分以外の大事な人に強く関係する内容のものは、年とともに読むのに根性がいるようになってくるのかもしれませんね。宮部さんの江戸ものは、不思議・妖怪(?)系が多いですかね~。あと、少し古いですけど、不思議系としては、個人的には、タイムトラベルものの「蒲生邸事件」も心に残ってます。あ、また、色々読みたくなっちゃった。いかんいかん。昨日嫁しておりましたので、今日は仕事頑張ります。

2013.05.04 12:49 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

まいどです~。また来ちゃいました。

先日のコメントを読み返すと「模倣犯」を思い出しながら書いたため、なんだか少し暗い感じです。
以前は小説の被害者が理不尽な目に合おうが惨い事件に巻き込まれようが、本をぱたんと閉じれば何とも思わなかったのですが、最近はリアルな世界で小説まがいの事件が起こったりするからか、歳のせいか(なんでもとりあえず歳のせいにする)切り替えがうまくできなくなったような気がします(これは自分の娘がお年頃になったことも少なからず影響しているような気もします。世の中危険がいっぱい。自分がお年頃の時にはへっちゃらだったのに。)。そんなことなら読まなきゃいいのに、という話なのですが、でもミステリー好きなんでやめられないのですよね。うう、矛盾。
自由にあっちの世界、こっちの世界と行き来できる小説ももちろんあるのですけどね。

あ、宮部さんの江戸ものはあんまり読んだことなかったです。読んでみま~す。超能力系もすき。

2013.05.04 10:45 URL | yasuko #- [ 編集 ]

Yasukoさん、まいどです~。

「告白」の映画版は(未視聴)、原作とはビミョーに違う部分もあるようですが(ネット情報)、今のところ「映画はいいかな~」という感じです。

「模倣犯」、内容の面白さで一気読みしましたが、確かに、被害者家族に関して言えば、救いがなかったですね。「名もなき毒」にも、そんな感じの部分や人物が登場します。宮部さんの現代ものはわりとそんな感じでしょうか。好みもあると思いますが、個人的には、宮部さんの江戸もの(ミステリというよりは不思議系ですが)は、わりと軽い気持ちで読むことができます。扱う内容が重いものもあるのですが、時代が異なるために、気持ちを切り離し易いような気がします。

2013.05.03 22:32 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

ちょりーたさん、まいどです~。
今日はしっかり嫁しておりまして、返信遅くなりました。

おおっ、湊さんの本は殆ど読まれましたか。仰るとおりで、確かに、「告白」、内容的には面白く一気読みでしたが、後味はよくなかったです。他の作品も同じ調子(後味悪し)なのであれば、暫くはいいかな~という感じです(図書館の書架にもいつもないし)。

宮部さんは、全てではありませんが、かなり読んでいる方だと思います。いつになるか分かりませんが、最新読破の「名もなき毒」を中心に(とか言っといて、違う方向へ飛ぶような気がする)頑張りま~す。

2013.05.03 22:22 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

「告白」は映画しかみていていないので、なんとも言えませんが、宮部みゆきさんは大好きで結構読みました。が、「模倣犯」を読んで、拉致監禁された女性たちと被害者家族の絶望に打ちのめされて、その後パタリと読まなくなりました。まだ読んでいないのがたくさんあるのでまた読もうかな。明るく軽快なミステリがいいな。

2013.05.03 17:20 URL | yasuko #- [ 編集 ]

湊かなえさんの本、ほとんど全部読んでますが(図書館で借りて(^^ゞ)、どれも後味が悪いというか、読み終わった後に何とも言えない脱力感があります。文章が読みやすいし、ストーリー自体はものすごくひきこまれるので、読み始めるとほぼ一気読みなのですが、もう1度読みたいとは思わない…。「告白」は私も面白いと思ったけど、やはり好きかどうかと聞かれればあまり好きではないかも。

宮部みゆきさんはわりと好きな作家さんです。ずいぶん前ですがすごくはまってしまって、読みまくってた時期がありました。宮部作品の感想も楽しみに待ってま~す。

2013.05.03 09:01 URL | ちょりーた #- [ 編集 ]













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