屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

著者の他の作品同様、一度勢いがつくと一気に最後まで読めるのですが、何とも釈然としない「中途半端に放り出された」感が残りました。

前半は浪速府浪速市という架空の市で起きた、「インフルエンザ・キャメル」という新型インフルエンザ騒ぎが中心なのですが、後半は、時間が少し遡り、そのような騒ぎが起こるに至った政治的背景(?)が描かれ、再び「現在」に話が戻ります。「じわじわ恐怖が広がっていく」的な描写もあり、新型インフルエンザ流行との戦いが中心かと思って読み進めたのですが、著者の最も言いたいことは、(お馴染みの面々が登場する)後半部分にあったのだろうと思われるような終わり方でした。

この方の作品は、(読んだ限りですが)どの作品も登場人物の誰かがどこかで繋がっています(もちろん、その繋がりが分からなくてもそれなりに面白く読めるのですが)。今の日本とそっくりな架空の日本を舞台に、ひとつの大きな物語を創造されていて、次々に発表される作品は、その物語のピースの1つであるような印象を受けます。特に、最近の作品にその傾向が強いような気がします。それを、「最後にどんなパズルが完成するのか」とわくわくしながら新刊を待つ、という楽しみ方もあるのでしょうが、私は、1冊の本は(それなりに)きちんと完結してほしいと思う方なので、インフルエンザ騒ぎの中の人たち(実際に対応した医師家族)が途中でどこかに行ってしまった本書には、冒頭にも書いたとおり、何となく釈然としない感が残りました。もしかしたら、それは続編(があるらしいです)の中で語られるのかもしれませんが、1つの作品として、この「ナニワ・モンスター」の中で、もう少しきちんと描いてほしかったです。

とはいえ、面白かったことも確かで。
後半、浪速共和国(だったかな?)の独立を唱える浪速府知事相手に(実にタイムリーというか何というか・・・)、本書の主要登場人物の1人である彦根が、より実現可能なものとして日本三分構想を披露する場面があります。かーなーりー尖鋭的な意見ではあるのですが、「なるほどね」と頷く部分も多かったです。
別の道州制を唱える知事を、彦根は「素晴らしい発想だが、実現に向けた理念に欠ける」と一蹴します。別の場面では「市民社会が欲するのは公平感です。たとえ不幸でも、みんなが等しく不幸であれば耐えられる。そうした納得は中立的、客観的情報が適切に流されることによって担保される」とも(これは、監査を受けない司法の独裁について語る場面なので、ちょっと違うcontextなのですが)。

もちろん、きちんと「今の生活」ができなければ未来がないことは確かなのですが、次の世代全体の未来に明確な光が見えれば、「皆で今の不便を我慢していこう」という、もう少しだけ住みよい世の中になっていくのかなとフと思ったりしたのでした(とりあえず「今の生活」ができているから言えることなのかもしれませんが)。*例によって、あくまで個人的な感想です。

というわけで(と強引にまとめる)、
医療ミステリー&ストーリーとして・・・微妙。
医療など諸々考えさせられる・・・ちっとばかししみじみと考えた。
という感じでしょうか。
2014.02.04 22:03 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(2) |

Tomokoさん、まいどです~。
そうなんですね。私も図書館組です。ネットで検索すると、続編に連載が始まるだか、始まっただか、みたいですね。何とも中途半端に終わってしまった感があるので、きちんとカタをつけてほしいなと思います。

ついに、(大騒動とともに??)オリンピックが始まりますね~。全部生で見たいですけど、すべて強烈な時間帯ですので、ハイライトと録画を駆使しながら、できる範囲で頑張りたいと思います。体調管理、体調管理。

2014.02.06 17:45 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

これ、うちにはありませんでした。ダンナは図書館で借りて読んだらしいです。

もしかして今仮眠中ですか?いよいよ今夜からですね!

2014.02.06 16:18 URL | tomoko #- [ 編集 ]













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