屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

Clifton Chroniclesシリーズ3作目CD聞き流し終了。

1作目「Only Time Will Tell」の感想はコチラ
2作目「The Sins of the Father」の感想はコチラ
本作「Best Kept Secret」の粗筋(英語)はコチラ

本作では1945年~1957年の12年間が描かれます。

本作は、特に、「過去にも読んだ」感のあるエピソードが多かったのが少し残念でしたが(下院議員選挙(「めざせダウニング街10番地」)、オークション(「チェルシーテラスへの道」など)、それでも最後まで読ませてしまう筆力はさすがと思います。

3作の中では、一番中だるみ感を感じてしまったのですが、中年に差し掛かり、すでに作家としてそれなりの成功を収めているHarryは、自らの手で何かを切り開いていくのではなく、一家に降りかかる災難の解決に奔走する日々を過ごしており、本作でteenager&主要登場人物の1人に成長する、彼とEmmaのひとり息子Sebastianも、(今のところ)父親に比べると魅力が薄い(苦労をしていないのだから当然かもしれませんが)という現状では、それも仕方のないことなのかもしれません。
ラスボス(?)が、Clifton/Barrington familiesの過去の敵も取り込んでひと暴れ(?)する予感のある次作に期待です。

その(たぶん)ラスボスDon Pedroですが、金も力もあり暴力で敵を滅ぼすことを厭わないという、なかなかの大物で、本作の最後では、身から出た錆とはいえ(まあ「身から出た錆」とは考えないと思いますが)、今後さらにClifton/Barrington familiesに恨みを抱きそうな出来事が起こる(起こった)暗示もあり、次作では、かなりパワーアップして、主人公たちを苦しめてくれそうです。

Archerの作品では、たいていの場合、善人はどこまでも善人で、悪人はとことん悪人です。悪行に手を染める人々の葛藤や、善人の心の暗闇などが描かれることもあるにはありますが、どちらかと言えば、善は善、悪は悪とすぱっと分けて、ストーリーで読者を魅了していくタイプの作家ではないかと思います。
このClifton Chroniclesに登場する小悪党のMajor Alex Fisherや、特にGilesに憎しみを抱きあの手この手でClifton/Barrington familiesを苦しめようとする彼の前妻Lady Virginiaなんかも、そう。Fisherは、学校の先輩として登場した瞬間から「港湾労働者の息子」という理由だけでHarryを目の敵にして苛め(1930年代前半の英国の上流階級ではそれが普通だったのかもしれませんが)、その敵意はHarryの親友のGilesにも及びます。小悪党で小心者なので、自分より大物の悪党に縋りつつ(?)、どこまでも彼らの敵として立ちはだかります。ある意味、小物ながら天晴れですワ。Lady Virginiaも、最初からいきなり、「金と地位だけが目当ての嫌な女」という立ち位置で登場し、今のところとことん嫌な女です。彼らも、最終的に、こてんぱんにされて舞台から退場するのでしょうが、恐らく、その性格を形作った背景や人間関係などは、最後まで描かれることはないでしょう。
それでも、とにかくストーリーが面白いので、つい一気に読んで(聴いて)しまうのですが、時々、物足りなく思えることがあるのも事実です。
だからこそ、善人ながら闇を抱えたOld Jackにとても魅力を感じたのかもしれません。

本作も、過去2作同様、「え、どっち?」という「ヒキ」の1文で終わります。本作が発表されたのは1年前ですので、すでに4作目の「Be Careful What You Wish for」が発表済みで、英語版の粗筋を読むこともできるのですが、この「え、どっち?」の結末が分からないよう、巧妙に書かれておりまする。

本作の題名「Best Kept Secret」、本文中に、このフレーズが使われている箇所もありましたが、たぶん、それ以外も含めて、いくつかのことについて「Best Kept Secret」と言っているのだろうなあと思います。邦題は「裁きの鐘は」になるようです。分からないこともない題名なのですが、個人的には、ちょっとビミョー、かも。かと言って、「どんな邦題がよいか」と問われれば、答えに詰まってしまうのですが。
ちなみに、1作目の邦題は「時のみぞ知る」。2作目の邦題は「死もまた我等なり」。宗教家清沢満之(きよざわまんし)氏の著作の「生のみが我等にあらず、死もまた我等なり」という文から取ったものではないかと思われます。2作目の内容を考えた時、「・・・おぬし、なかなかやるのう」(←自分にはできないが、どこまでも上から目線のSayoです)と思いました。

というわけで、正直「寝ても覚めても続きを待つ」状態ではないというのが現状ですが、来春までには「Be Careful What You Wish for」を読んで(聴いて)、最終巻に備えたいと思います。
2014.03.27 13:30 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(0) |












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