屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

前作「名もなき毒」が、とても丁寧に作られていたので、続編(続々編?)の本作がドラマ化されると聞いた時は、とても嬉しかったのでした。

主演の小泉孝太郎さんが、もう「杉村三郎」という主人公そのもので。
これまで、この役者さんは、よくも悪くも、アクの薄いヒトだと思っていたのですが(注:演技が上手下手ということではありません<念のため。それから「八重の桜」の徳川慶喜役を見て、「むむむっ」と思ったことも申し添えておきます)、そのアクのなさが杉村三郎という人物像にぴったり嵌った感じでした。

というわけで、放映が始まる前、「どんな作品なのかな~」(図書館では予約待ち多数の状態です)と検索の旅に出かけ、「ネタバレ」で「衝撃の結末」に触れ、「そ、それは、あまりにご無体な」と書店に走り、最後の部分を立読みしたのは、このワタクシでございます。

という訳で、脚本の方が、この「衝撃の結末」をどのように料理されるのかという部分にも興味がありました。結末を変えてほしいような、ほしくないような。
小説の結末って、作家の方の「こう持ってきてこう終わりたい」という思いの詰まった部分だと思うので、「そこは原作踏襲してよ、しないなら、せめて原作と呼ばないで」というのが、私のドラマに対する基本姿勢なのですが(←注:あくまで個人的なものです)、一瞬変節しそうになってしまいました。

「妻が不倫した結果、主人公夫婦が離婚」というのがその結末です・・・と書いてしまうと、ありきたりに聞こえるかもしれませんが、杉村夫婦がそこに行き着く、ということは予想だにしていなかったもので。
さらには、妻・菜穂子が不倫に走った理由も「離婚してほしい」という理由も「?」な部分は多かったのです。まあ、「1つの(間違った)思いだけに囚われて思考が永遠にループした」のかな?と思える部分はあり、そういう「永遠の負のループ」は経験なくもないので、その意味では、多少菜穂子さんの気持ちが分からないでもありません。
杉村三郎の方も、謎の多い同僚の間野京子に惹かれるような描かれ方をしていましたが、原作では、どうもそうではないようです。原作どおり(菜穂子さんだけ暴走)では、視聴者には受け入れられがたいとの配慮が働いたのかなと、ちょっと勘ぐってしまったり。ただ、この間野京子という人物、謎の女性として描かれたために、最後まで「何を考えているか分からない」感が残ってしまい(少なくとも私にとっては)、最後の「並木道で杉村さんを待っていました」風の場面も含めて、「このヒト、何なの?」というもやもや感が残りました。まあ、杉村さんは何事もなく通り過ぎて行きましたけど。

初回は、息を詰めて見なければならないようなバスジャックの場面から始まったので(バスジャック犯の長塚京三さんが秀逸でした)、謎解き物語を期待された方には肩透かし、というか物足りない思いの残るドラマだったかもしれません。どちらかといえば、それがきっかけとなった人の心の動きを描いた作品だったと思います<というか、宮部みゆきさんは、そちらの方を重点的に描きたかったのではないかと。そういう点では原作をよく踏襲した作りであったと思いますが、一般的には「ハッキリ」したものの好まれる連ドラの題材としてはどうだろう? という気もします。

諸手を上げてメデタシ、メデタシな人は誰もいない感じなのですが、考えてみれば、宮部みゆきさんの作品は、だいたいそうではないかという気がします。今、「楽園」を読んでいて、その流れで「模倣犯」を再読したのですが、考えてみれば、どちらもやり切れない結末なのです。私にとっては、「それでも頑張って真面目に生きて行かないといけないよね」という気持ちにさせてくれる、不思議な作家さんです。それは、「終わった後」が丁寧に描かれることによる余韻のせいなのかもしれません。

ドラマにも余韻がありました。
あくまで、個人的感想ですが、よくできたドラマであったと思います。

で。
最後に「To Be Continued …」の一行が。

「ペテロの葬列」系列の続きの作品はまだなかったと思います(連載中だったりしたらすいません)。
ということは、今後は、「杉村三郎」成行き探偵を主人公とするオリジナル作品になるってことでしょうか。あくまで勝手な想像ですが、この物語の続きが書かれるとしたら、原作でも、杉村三郎は、今後、傍観者として様々な人生を見ていく形になるのではないかと思います。様々なしがらみを断ち、彼をその方向に向かわせるには、「離婚」も必要だったのかなと思わないでもありません。物語の展開的にってことですが(いつまでも「巻き込まれ」という訳にはいかないでしょうし)。ですから、方向的には合っているのかもしれませんし、これまでの2つのドラマは、素晴らしいものであったと思います。が、原作あっての「名もなき毒」であり「ペテロの葬列」であったのも事実ではないかと。「To Be Continued」が、これまで構築されたものを破壊しない形のものであることを切に願うSayoなのでした。
 
そうそう、嫌なヤツでしたが、広報室に飛ばされてきた井出という人、凄い存在感のヒトでした。何というか、登場しただけで、場の空気が、言葉がちょっと悪いですが、下卑たものに変わるというか・・・全然知らない役者さんでしたが、調べてみたら、舞台経験が豊富で演出もなさる方のようでした。ナルホド。
2014.09.16 22:03 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(4) |

Kyokoさま、まいどです~。

おお、そうでした。Kyokoさんも「ペテロの葬列」ご覧になっていたんでしたね~。私も、実は、原作はラストさくっと立読み状態で、ドラマの感想を書いておりまする。

おおっ、Kyokoさんが、孝太郎ファンとは知りませんでした!(お聞きしたのに失念しておりましたらお許しを)。確かに、品の良さ、ありますよね。同系統の役者さんって、今すぐに思いつかない。私的好感度は高い役者さんなのですが、その品の良さというかアクのなさが、これまで少しくハードルになっていたような気がします(←素人の勝手な解釈ですが)。それが、ご覧になったかどうか分かりませんが、「八重の桜」の慶喜がちょっと毛色の違う役どころで、「おおっ、こんな役も」と思ったものです。でも、やっぱり杉村さんの方がしっくりきますね。

続編があるとすれば、続投は睡蓮のマスターくらいでしょうか? 広報室の面々や義父様ともお別れかと思うと寂しいですね~。このテイストでやるなら、別の時間帯にしてほしいですね。「月8」なので軽いテイストにみたいな改悪だけは辞めてほしいです。

ではでは、また~。

2014.09.17 13:31 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

sayoさま~、しばしご無沙汰しています。

「家族狩り」はレビュー書いたのですけどペテロの方は原作を読んでいないので一応書くのを辞めてみました。

ご存じかどうか知りませんが、以前から私小泉孝太郎氏のファンを名乗っております。いつもの好みからは外れるのですけど、どんな役柄でも何とも言えぬ品の良さが漂ってくるところは、今の若手男優の中では珍しい存在なような気がします。アクはないんですけどね・・・。

井出氏役の俳優さんも名演でしたねぇ。広報室の面々&睡蓮のマスターも皆良い味を出していました。8時台のドラマにするには勿体なかったと思います。

ではでは~。

2014.09.17 09:04 URL | KYOKO #- [ 編集 ]

Connyさん、まいどです~。
私、実はあんまり連ドラは見ないんですよ。宮部作品のドラマも、過去に「うーん、違う・・・」と2~3回で視聴を止めてしまったものが多々ありました。でも、この作品は、後味がよいかどうかは別として、原作に沿って丁寧に作ってあったと思います。奥さん不倫事件も(先に結末を知ってしまったからかもしれませんが)、まあまあ許容できる感じの描かれ方であったような気がします(共感はできないけど)。天童荒太さんの作品はあまり読んだことがなく、今回のドラマも見ていないので何とも・・・コメントできなくてすいません。ただ、ネットを検索した限りですが、視聴率的にはアレでしたが、ご覧になった方の評価は悪くないようですね。

2014.09.16 23:36 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

こんにちは。
ペテロは1話を見た後にSayoさんと同じくネタバレを探して読んだ後で見るの辞めることにしました。基本的にハッピーエンドが好きなのです。それに奥さんの不倫っていうのも苦手で……。

宮部氏の作品はSFものを除き全作好きです。最近読んだ小暮写真館も読み始めたらすっかり世界にのめり込んでしまい、納期前だったもんで冷や汗もんでした。

ただ彼女の作品が映像化されると、どうも世界観が変わってしまいなかなか全部見ることができません。反対に天童荒太の作品は、映像化されると生き生きとして、別の意味で面白くなります。今回の家族狩りもキャストも良かったのでしょうが、毎回楽しみでした。見られましたか?

2014.09.16 23:20 URL | Conny #- [ 編集 ]













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