屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

タイトルから想像される内容とはちょっと違うかも。


年のせいか、昔を思い出すことが増えまして。

20年前、私は、派遣翻訳者として某メーカー工場の品質保証部で働いていました。
という話はもうあっちこっちでしてますね。

その時、担当者からよく言われたのがこの言葉。

当時はメインのやり取りはFAXという時代で、午前中は、時差の関係で夜中に入ってきている海外販社/工場からの、せつせつと不具合を訴える英文FAXをひたすら和訳し、午後は、技術や開発のまとめた回答をひたすら英訳する(その頃は「英作文」と呼ぶのが相応しい情けない英語でしたが)毎日でした。

担当者は、一刻も早く不具合内容を把握し、関係各部に連絡して、そちらの尻も叩かなければなりませんから、「きちんと訳さなくていい、意味さえ分かればいいから(一刻も早く和訳して)」となる訳です。

まだ若くて青かった当時の私は、毎日の殺人的忙しさもあって、「書いてあることをきちんと訳すんが翻訳じゃ」とその言葉に(脳内で)度々ブチ切れていたものですが、今なら、かの担当者が本当に言いたかったこと、ほしかったものをもう少し整理できそうな気がします。

部品や動作の名称は、(定訳として適切であろうがそうでなかろうが)全部カタカナでも、時には英語のままでもよかったのです。担当者が知りたかったのは「どういう順序でどのような操作をしたら不具合が起きたのか」「どの部品がどんな状態になっているのか」という部分で、逆に言えば、そこは決して誤訳してはならない部分でした。その部分の訳が間違っていたり逃げの直訳だったりすると、現地に頓珍漢な質問や回答が行ってしまい、無駄なFAXが何度も行き来して、結局解決も遅れることになってしまうのです。
という訳で、「とにかく意味が分かればいいから」という、1回さらっと聞いただけでは「テキトーな翻訳でええから」と誤解してしまいそうな日本語は、実は、ある程対象機器について理解していなければできない、かなり難易度の高い翻訳を求めていたのだなあと、今になってしみじみ思います(息絶え絶えになりつつも、その要望にそれなりに応えることができたのは、ひとえに、「品質保証」という部署柄、周りに実機や実機を操る歩く社内辞書的な人たちがごろごろしていた、という環境のおかげです)

(在宅翻訳者としては、もちろん、きちんとした翻訳を納品するのが当然だと思いますし‐そんなことはないと思いますが‐そもそも「意味さえ分かれば」と打診されるような案件は引き受けないでしょう)


・・・という訳で、「意味が分かれば」という言葉にも実に多くの言外の意味が含まれていたに違いないのです。恐らく、担当者は、そのひと言で自分の真に欲する翻訳が得られると考えていたと思うのですが、まだまだ今よりずっと人間のできていなかった当時のSayoには、きちんと伝わらなかったのでした(つうか、やっぱり言葉足りんやろ<まだまだ人間ができていないようです←自分)。

伝える方は、「自分の言いたいことはきちんと伝えられているか」を自問し、伝えられる方も「相手は、何を言いたいのだろう」「何を欲しているのだろう」と考えることが、仕事でもそれ以外の場でも必要だよな~としみじみ思う今日この頃。何となく、20年前の「意味が分かればいいから」という担当者の言葉を思い出したりしたのでした。
もちろん、相手の真意を慮ったからといって、常に相手を満足させる行動ができるとは限りませんが。ただ、そうすることで、「自分はどうしたいのか」「何かできるのか」をきちんと考えることはできるような気がします。まあ、私の場合は、そうやって立ち止まって考えてることが多くて、それはそれで問題かもですが。

と、何だかよくワカラナイ記事になってしまったのでした。
でもって、いちおー、「翻訳」カテゴリにしていますが、カテゴリ不明。
2015.02.19 12:20 | 翻訳 | トラックバック(-) | コメント(2) |

Connyさん、まいどです~。

ありがとうございます。
「調べ得た限りの正しい語句、フレーズを用いて、原文の意図するところを、一読して理解できる日本語で正確に伝える」のが翻訳だと個人的には思っていますが、「一刻も早く不具合を解決し解決策を呈示する」ことが必要とされた当時の部署では、英語、カタカナ混じりの和訳や要約的和訳も、実際問題としてアリだったよなということが今なら分かります。

今は、何もかもの速度が速くなってしまったせいもあるんでしょうか、様々な場面で、自分の言いたいことだけを言い、相手のことは考えない方が増えたような気がします。と書きながら、私も、「自分もこういうことあったよなー」と反省することしきりなんですけど。どちらの立場に立っても、相手の存在をきちんと考えられる人でありたいです(と言うのはタダなのだー)。

2015.02.20 20:30 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

すみません。ハンドル前と違うかも。

まさにその通りです。翻訳だけでなく対人関係も。そして言われる側としても言う側としても。

さすがに仕事では定訳使わないとまずいですけど、基本は「わかる」文章ですもんね。

ブログ・オブ・ザ・イヤー!!

2015.02.20 17:53 URL | Conny #- [ 編集 ]













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