屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

聴了。

プレストンの「ホットゾーン」、長らく絶版になっていましたが、昨年来の再流行を受けて復刊されました。てことで、Audio Bookで購入。CD3枚という短いものでしたし、冒頭からぐっと引き込まれる内容でしたので、あっちゅう間に聴き終えてしまったのでした(その前にKen Follettの「Fall of Giants」全24CDという大作に息も絶え絶えになったので、リハビリにちょうどよかったです<「Fall of Giants」の読書感想文はまた後日)。

「The Hot Zone」後に書かれたPrestonの作品を何作も読了し、導入部で、患者の側から感染症の症状が悪化し周りの医療関係者などに伝染していく様を克明に描いて、徐々に読者の恐怖を煽り、病原菌と戦う側からの描写に切り換える、という手法に慣れてしまった今では、導入部の患者の描写も含め、本作にはちょっと物足りない感が残らないでもなかったですが、それでも、ドキドキしながら最後まで読み(聴き)ました。最初に本書を読んでいたら、鳩尾にパンチを食らったような衝撃だったかもしれません。

冒頭の患者の病状の描写は結構グロテスクで、「Micro」(Michael Crichton & Richard Preston)の時も思いましたが、日本語訳されたものは目から入って脳に抜けた(文章を読み状況を想像した)時の刺激がきつ過ぎて、読み進められなかったかもしれません。ホラー小説的な描写がダメな方は、原語のまま読まれることをお勧めします。Prestonの作品は、どれも読み/聴き易いと思います。

実験室内での“事故”や封じ込め作戦の描写にも迫力があります。「Panic in Level 4」という作品には、Prestonが、実際にbiohazard suitを来て科学者とともにLevel 4実験室に入室し、実際に作業を行った体験や、Intervieweesから真実や事故当時の感情の描写を引き出す取材手法も書かれていて、そうした、時には身体をはって「とことん取材する」という姿勢から、このような迫真の描写が生まれるのかなと思います。

1点残念なのは、本書が20年以上前に書かれたものであるということ。
薬剤やワクチン開発、封じ込め努力も含め、その後の進展についても読んでみたいなというのが正直なところです。
ただし、Prestonが主に取材を行った1980~90年代は、連邦機関施設のセキュリティも今ほどタイトではなかったようですが、特に同時多発テロ&炭疽菌騒動以降は、様々な意味でセキュリティがかなり強化されているようで(Prestonも、「今ではcivilianがLevel 4 Labに入室することはできない」と書いていた記憶があります)、以前同様の臨場感溢れる描写は難しくなるかもしれません。

昨年来(一昨年だっけ?)の流行は鎮静化の方向に向かっているのかなと思いますが(「国境なき医師団」でも使途指定寄付はもう募っていないようでした)、早く完全終息することを祈ります。
2015.03.15 13:18 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(0) |












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