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2015. 05. 26  
Angels on the Night Shift」の著者によるノンフィクション短編集。
音読了。

副題に「True Stories from the Front Line」とあるとおり、前作とは異なり、本書の舞台は、消防士、警官、パラメディックらが遭遇する様々な「現場」です。一話完結ですが、同じ人物が(別の話で)登場することもあります。また、前作の登場人物も随所にちらっと登場します。被害者救出(救命)話、(様々な意味で)救命できなかった話、概ね隊員間の少しユーモラスな話(新入りへの手荒い歓迎など)、殉職話など、全19話が収められています(Amazon.comの書評には「泣きました」的なものも多かったですが、前作でかなり免疫のできていたSayoさんは無事最終話まで到達しました)。

あくまで個人的な感想ですが、「ERスタッフ中の麻薬中毒者探し」という1本の幹があり、その過程に様々なエピソードが挟まれるという構成の前作の方が、ミステリー色もあり、面白く感じられました。

誰かこの2作を翻訳出版してくれないものだろうか。
できれば「Angels on the Night Shift」→「Angels and Heroes」の順で。
「Angels and Heroes」には「Angels on the Night Shift」の登場人物も時々顔を出すので、「赤毛のアン」の本編を何冊か読んだ後で「アンの友情」や「アンの友達」を読むような「こんなところでお会いするとは」感があると思うのですね(と強引に関連付けてみる)。
何より、巻頭のER平面図は、医薬翻訳者にとってかなり役に立つのではないかと(<そこか<自分)。

「自分でやりたい」という気持ちももちろんありますが、会話が多用され臨場感溢れる本作を、私よりもっと生き生きとした魅力ある文章で読者に届けて下さる翻訳者の方は、ギョーカイにごまんとおられると思うのです(どちらかと言えば「Philadelphia Chromosom」系の文体の方が得意なワタクシ)。そして、そうやって届いてくれれば嬉しいなあと。

本作はどんな感じかってことで、ほんの一部を引用しておきます。

たまたま正面衝突事故の現場近くに居合わせた2人の警官(Chalie & Cole、これまでそれなりに修羅場はくぐってきた)が、フロント部分が完全にひしゃげた車の中から奇跡的に2人の幼女を救出します(車を運転していた父親は死亡)。その後も少女達の成長を見守った2人が、13年後、長女の高校卒業を見届けた後で会話する場面。

… They were quiet again, and then Charlie asked, "Does it ever make you wonder -- why we were out on that side of town? I mean, that wasn’t our patrol area. And nobody else was available to respond to that goofy call. And if we hadn’t been there right at that very minute … who know what might have happened? If that truck had blown, those little girls …" His voice trailed off into a choked silence.
Cole took a deep breath and slowly let it out.
He turned and put his hand on his partner’s shoulder.
"Charlie, I’ve thought about that a lot of times. And seeing Betsy up on that stage just now … It was no coincidence we were there that morning. We were meant to be there. I know that. We were instruments that day, and just knowing that … overwhelms me."
(P254, "His Hands and Feet"より)

(Sayo注:Goofy call は屋根裏(ウチちゃうで)へのリスの侵入を不審者侵入と勘違いした911 callのこと。その110番に対応したおかげで、2人は自動車事故発生時に現場近くに居合わせることになります。Betsyは2人が救出した幼女の姉の方の名前。彼女のか細い泣き声が聞こえたおかげで、トラックから流れ出ていたガソリンに火がつく前に、2人の少女を無事に救出することができました。イタリック部分は原文どおり。)

最後のoverwhelmは辞書には「圧倒する」とありますが、コイツに出会う度に(<コイツ呼ばわりかい<自分)、いつも、日本語にしにくい単語だなあと思います。本箇所も「圧倒された」より「胸が一杯になった」の方が近いかなと思いますが、それもしっくりこない気がします。で、原文を転記しながら悩んでいるのだけど、なかなか「コレ」という表現が浮かびません。
本書は、文章そのものは平易で、意味を取るのはそう難しくないのですが、こうした「簡単だけれど訳しにくい表現」と会話が満載。そういうの苦手やねん。


実務翻訳の一線を退いた後も、まだ本作の訳書が上梓されていなければ、老後の楽しみにちまちま翻訳しよう(老化防止にもなるしね<発表しようとかそういうことではありません)という密かな野心を抱いていたりするSayoなのでした。
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Re: タイトルなし
Connyさん、まいどです~。おお、独語もされるんですね!しかも、2位ということは適性もあるのでは??
ワタクシも翻訳修行は「出版(ノンフィクション)翻訳」から入りました。自分には無理だわ~と自信喪失していた時に、実務翻訳に出会って流されてきたという感じです。でも、こういう文章の訳語を考えることは、決して嫌いではないので(でもセンスはない)、引退して納期から解放されたら、やってみたいなー、と思ったりはしています(納期がないと永遠に終わらないかもしれないですけどね)。
文芸は意味はわかる、感情も導入できる、でも言葉にならないっていう表現が満載ですもんね。もう10年ほど前になるかなぁ、独語のミステリー翻訳者を募集していてトライアルを受験したんですよ。何度も音読みして、これが1冊分続くのかと愕然としていたところ、2位だったと担当者さんから連絡があり、ホッとしました。

私の場合、だから実務翻訳者になったといっても過言ではありません。老後の楽しみというより、老後の悩みの種になりそうなので、引退したら翻訳とはきっぱり決別して(ウェルネス)旅行三昧です!
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プロフィール

Sayo

Author:Sayo
医療機器の和訳も9年目。
老眼腰痛、最近は膝痛とも闘いつつ
翻訳人生をまっとうしようと奮闘中。
この頃になってやっと翻訳の奥深さ・
難しさ・楽しさが分かってきたような。
記事は「翻訳一般」多め、ときどき読書感想文、本業(医療機器)やや少な目。
(2019年4月現在)

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