屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

10年ほど前に読んだのですが、今回映画化されるということで、書棚の奥から救出して再読。
初読時、それまで読んだ東野作品(といっても10冊程度ですが)とは別系統のように感じて心に残り、手元に残すことを決めたものです(解説が真保裕一なのだ!)

自衛隊に納入予定の最新鋭の大型ヘリ「ビッグB」が、領収飛行当日、何者かに遠隔操縦によって乗っ取られる。ヘリは福井県の原子力発電所「新陽」上空で停止し、ホバリングを始める。「天空の蜂」を名乗る犯人は、日本の全原発を停止するよう要求し、従わなければ、爆発物を搭載したビッグBを新陽に墜落させると宣言。無人と思われたヘリには、製造企業の開発当事者の息子が乗っていた。刻一刻とヘリの燃料切れの時間が迫る。果たして少年を救出し、ヘリの墜落を止めることはできるのか――

というのが粗筋。
一応主人公は、ヘリ設計者である錦重工業の湯原かと思いますが(ビッグBに取り残されたのは後輩山下の息子で、原作では、2人がヘリの設計者として「新陽」に赴き事件に対処します)、犯人を追う福井県警の室伏と関根、実行犯の雑賀(元自衛隊開発官、その後原発労働者)、三島(湯原の同期で原発担当)、新陽所長の中塚、その他にも消防、警察、自衛隊と多くの登場人物が入り乱れ、今名前を挙げた人々以外は、すぐに「どこの誰か」が分からなくなってしまい、何度もページを戻る羽目になったのが、ちょっとしんどかったです。最近、もの覚え悪いもんで。翻訳物などによくあるように、見返しに「主な登場人物」一覧を付けてほしかったというのが率直な感想。映画版のHPを見て、思わず「おお、これは分かりやすい」と思ってしまいました。

錦重工業社員の三島が犯人の片割れで、他に1名、実際にヘリを遠隔操縦する仲間がいることは、かなり早い段階で明らかになり、順次、「仲間」の素性、協力者の存在、「原発乗っ取り」を計画した理由などが明らかになっていきます。
犯人探しや少年救出のドキドキ感に比べ、個人的には、犯人の動機がやや弱いかなという感じがしました。作者は、どちらかに特に肩入れする訳ではなく、全編、どちらかと言えば淡々と描いているという印象を受けましたので、余計そう感じるのかもしれません。今改めて読み直すと、私たち自身が「無関心にメリットを享受するばかりでよいのか」と問われているような気がします。

主人公らの奔走が実り、ヘリは原発ではなく海に墜落し、原発は破壊を免れるのですが、作者は、最後に、逮捕された三島に、「『新陽』に落ちたほうがよかった。そのことにいずれみんな気がつく」と言わせています。今になってみると実に重い言葉です。みんな気づいたけれど、実際に何かが変わったのだろうか? 


映画版のHPを少し探検してみました。
時代背景は原作と同じ1995年(その後の技術の進歩には目を見張るものがありますし、ストーリーを踏襲するとなると、時代を現代に近い時代に設定する訳にはいかないのだろうなあと<登場人物が手にする携帯が懐かしい)、ヘリに閉じ込められる少年が、湯原の息子高彦に変わり、山下は登場せず、湯原と三島が力を合わせて難局に立ち向かう(少なくとも表向きは)設定になっているようですが(ストーリー的には、その方がスッキリしますし真相が明らかになったときの衝撃も大きいですから、ここは納得の改変かなと)、それ以外は、だいたい原作に沿っているような感じです。CASTの中には「成長した高彦」も登場し、どのような描かれ方をするのか分かりませんが、震災時に被災地に救助に赴く設定のようです。
長いこと映画館には足を運んでいないのですが、「『新陽』に落ちたほうがよかった。そのことにいずれみんな気がつく」の部分がどう扱われたのか、ちょっとみてみたい気もします(とかいって、結局、地上波放映が初見だったりするのだ)。

題材が題材ですし、重いっちゃ重いですが、エンタテイメント性もあり、原作「天空の蜂」、私は結構好きな部類の小説です。
2015.09.10 20:29 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(4) |

Connyさん、まいどです~。
そうでしたか。映画は今日からみたいですね。ロングランになるといいですね。

2015.09.12 17:21 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

私、何を書いてんだか。

映画はもう公開中なんですね。
私の里帰りは10月初旬で、今はまだバリバリッ時差あります。

お騒がせしました。

2015.09.12 13:42 URL | Conny #- [ 編集 ]

Connyさん、まいどです~。おー、今は時差のないところにいらっしゃるのですね。
映画は結構エンタテイメント性が高いのかなと思います(ヒットもさせなければならないですしね)。
原作が淡々と書かれていたせいか、主役の二人(江口洋介&本木雅弘)に違和感はなかったですが
綾野剛の配役は、個人的には、ちょっと「...え?」でした。もう一人の犯人をどう演じるのか見てみたいです。
登場人物は・・・たぶん、映画の方が、識別しやすい分、わかりやすいと思います。
原作は好き嫌いが分かれるかもしれません(友人の東野ファンは苦手系と言っていました)ので、お好みで(分厚いですよ)。

2015.09.11 17:57 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

こんにちは。

こういう社会性の高い作品は苦手でしたが、ブログを読みトレーラを見て、これは一見の価値ありと思いました。ちょうど里帰り中なんですよ♪

原作も避けてましたが、読もうかな。

2015.09.11 16:53 URL | Conny #- [ 編集 ]













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