屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

ワタクシは、「通翻ジャーナル」は基本図書館で読み、不定期の事典は(医学関連以外は)立読みで済ませるという、翻訳者の風上にも置けないヤツですが、今号は実務翻訳の大先輩である(といっても関係も面識もないですが)Iさんの「提言」を読み(←立読み)、購入を決めました(「出版」「実務」「映像」翻訳の3種類の提言がありましたが、どれも読み応えのある内容でした)。

他にも、辞書環境やパソコン基本のツボなど、この機会にきちんと抑えておきたい内容もあるのですが、それはまたおいおいと。

提言からは、あるべき翻訳者の姿、すすむべき道を再確認する糸口を頂いたような気がします。
それだけだと、理想論に終わってしまうのですが、現実を見据え、きちんと実際的な「抑えるべきところ」を言葉にしてくださるのが、いつもながら、Iさんの凄いところだなあと思います。


昨年後半から、ワタクシは迷いの中にいました。
「このまま日々の忙しさにどっぷり浸かって翻訳をこなす毎日でいいのか、自分」。

このところ、翻訳原稿とともに参考資料を渡されて、「訳語はこれに合わせてください」と言われることが増えました。
効率という点からいえば、ありがたいことです。
参考資料の質は総じて高く、「こんな訳に合わせてられるか~い!」(ストレス)という訳ではありません。
どちらかといえば、「おお、こういう表現あったぞえ」とこっそりMy辞書に頂戴するケースが多いワタクシは、翻訳者としては恵まれているのでしょう。

ただ、質のよい参考資料であるからこそ余計かもしれませんが、いつの頃からか、「参考資料の同様表現を確認し、できるだけそれに合わせる形で訳文を作成する」作業に特に疑問を抱かなくなっていたような気がします。「探した→あった→使う」と「探した→あった→他の表現も考慮するが、内容的に変更するほどのこともない→使う」とでは、最終結果は同じでも、ジツは「1回考える」というステップがあるかないかという大きな違いがあるのです。もちろん、納期を考えれば、正直、「いちいち考えてらんないぜ」という場合も多いのですが。
というわけで、ワタクシは、「訳文を考える」「全体を俯瞰する」ことが減っていたような。つまり、「考えることの少ない翻訳者」的方向に流れつつあったと思います。

そうしたことに何となく気付いたからでしょうか、「このままでいいのか」という思いがどこかにあったような気がします。

Iさんは「ツールの(功)罪」という話をしておられましたが、訳文作成支援ツールを使用していなくとも、「考えない」翻訳は可能で、(特にワタクシのように、染まりやすい人間は)それだけで翻訳の基礎が危うくなる可能性があるのではないかと、そのことに思い至り、それまで自分の中にあった漠とした不安の源はこれだったのかと納得できた思いです。まあ、納得できたからといって、事態がすぐに解消される訳ではないですし、まだ、その部分を今後どうしていこうという確たる考えがあるわけではありませんが。


Iさんの「そもそも、なにがしたくて翻訳を仕事に選んだのか-その目標を見すえて進む必要があります」という言葉は忘れずにいたいと思います。
訳文だけではなく、様々なことを自分の頭で考え、最後まで、最終的には自分で判断する「考える翻訳者」でありたいです。
2016.02.04 15:11 | 翻訳 | トラックバック(-) | コメント(2) |

Tomokoさん、まいどです~。
お返事遅くなってすいません(昨日ワタクシは広島だったんです)

ワタクシは、自分はツールは(たぶん)使わない方向になるかなとは思っていますが、「考えることが少なくなる恐れがある」ということを忘れずに使う分には問題はないのかなと思います。Tomokoさんのように、もともとの力もあり、暫くフツーに翻訳をやって来られた方が、「繰返しの多い文章なので、ツールを使った方が効率的」と考えてツールを導入されるということは十分ありだと思っています。それに、Tomokoさんは「あ、考えてない」ということにご自分ですぐ気付かれるじゃないですか。そういう修正力もある方がツールを使うのは全然アリだと。
そうではなく、「最初からツールありき」という方向に向かいそうな大きな流れには不安を感じます。

個人的には、例えば疾患名等、状況が変わっても変わらない語句の一括置換、文章内での訳語統一(これも文脈によって変更すべきところがあったりするので絶対ではないんですが)、括弧書き(不)等号表示の全・半角一致といった部分では、かなり機械に任せられる部分があるのかなあと思います。やり方は違っても、「考えべきところはきちんと考える」ことは忘れずに行きたいですね。お互い、頑張ってまいりましょ。

2016.02.22 15:19 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

「ツール(参考資料の同様の表現に合わせる形での訳文作成も同じですかね)の功罪」は確かにあると思います。文脈に沿った訳であるかどうかはこちらが判断しなくてはならず、その作業を怠ると、「考えていない訳」になるのでしょうね。
私も最近そのことを仕事で痛感し、「考えるべきところ」をどこに置くか、それにどれだけ時間(意識)をかけるかを再考しようと思っています。
人間にしかできないことって、今のところは「俯瞰」や「状況判断(TPOと言ってもいいですかね)」なのかなあと思います。それ以外の作業は能率よくすませて、人間にしかできないところは手を抜かずやれたらいいですね。

2016.02.21 08:16 URL | tomoko #- [ 編集 ]













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