屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

今回と次回の記事については、記事内容に鑑み、屋根裏恒例の独りぼけツッコミは(ほぼ)ない状態となっております(<それでもあるんかい<自分)。予めご了承ください。

さて、本文。

先月末の西日本医学英語勉強会には、東京から、常々、適切な抗がん剤使用の必要を説いておられる、腫瘍内科医のKa先生が来てくださいました。
勉強会は、前半が、抗がん剤治療一般についての「抗がん剤治療の誤解を解く」、後半が、同会の性質にご配慮頂いた「医学論文の正しい読み方」の2本立てです。

ジツは私は、1月に地元で、主に患者とその家族を対象とした、がん患者会主催のシンポジウムで、Ka先生の基調講演を拝聴しています(そのときの記事はコチラ)。
前半は、そのときとほぼ同じ内容でした(休憩時間に、ご著書にサインを頂いた折り、以前シンポジウムに出席したことがあるとお伝えしましたら、先生ご自身「新しい話はなかったでしょ、ごめんね」的なことをと仰っていました)。

とはいえ、収穫はありました。

一つ目は、先生が患者に寄り添う治療をされる方であることが、よく分かったこと。
地元の講演では、かなりアグレッシブに、エビデンスのない免疫療法や、抗がん剤治療はするなと唱えられている医師の方を批判しておられまして、正直、少し辟易しました(患者が対象のシンポジウムでしたので、余計アグレッシブでいらしたのかもしれません)。ですので、講演後半の「大切にしたいことを医療者と話し合おう」の部分も、「そうは言っても、最後の最後まで標準治療するのでしょ」と、素直に受け止められない部分がありました。ですが、今回、話の中で「現在のがん治療は抗がん剤を使いすぎ(と個人的には思う)」と仰るのをお聞きして、患者一人一人にとって何が一番大切かを真剣に考えてくださる方なのだな、と考え直しました。そのような会であっても、抗がん剤治療を行う医師自らが「使いすぎ」と言い切るのは勇気のいることではないかと思うのです。

二つ目は、さまざまな立場からの質問が聞けたこと。
地元の講演では、「自分はこのような治療を受けているが/受けようと思っているが、それについてどう思うか」のような質問が殆どだったのですが、広島では、医療職者の立場からの質問も相次ぎ、市民講座とはまた異なる視点から、抗がん剤について考えるきっかけになりました。

また、後半の「医学論文の正しい読み方」は、時間がおして駆け足になりましたが、「そのエンドポイントは本当に適切か」という批判的な視点を忘れずに医学論文を読むことの大切さを教えて頂きました。臨床試験では「ITT(Intention-to-treat)解析」という言葉によく遭遇するのですが、恥ずかしながら、その日初めて、ITT解析の定義と重要性が自分の中で明確になりました。

私は、お好み焼きを食し、講義を受けてさっさと帰阪したのですが(それでも疲れました~)、先生は、懇親会まで出席され、その日のうちにとんぼ返りで帰京された由。「適切ながん治療について話をするためなら、どこへでも伺います」と、広島での勉強会の講師を即決快諾してくださったその姿勢には、本当に頭が下がります。

時間があれば、先生に「『死すべき定め』は読まれましたか」とお聞きしてみたかったのですが、もちろん、時間の都合で適わず。
次回は、生きること、死ぬことについて深く考えさせられた1冊「死すべき定め」の読書感想文です。
2016.11.07 21:13 | 翻訳 | トラックバック(-) | コメント(3) |

ヨシダヒロコさん、まいどです~。コメントありがとうございます。
いろいろ情報ありがとうございました。
地元のシンポはいわゆる市民講座でしたし、出席者も恐らくは患者とその家族が殆どだったと思いますので、先生も「インチキにつかまってはいけない」という部分を強調されたのかもしれません。
患者が「とにかく藁にでもすがりたい」という気持ちになるのは、私にも多少は想像できますし。
そこを「まずはきちんとした治療を受けて、これからを話し合いましょう」に持っていくのは、やはり医師と患者の信頼関係なのかなと思います。でも、今は、ネット上にもさまざまな情報が氾濫していますし、ネット検索に長けている患者も多いので、なかなか難しい部分もあるかもですね。勉強会では、信頼できる情報についてのお話もありました。

心身症の話は納得です。

2016.11.08 11:27 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

追記です。

「心身症」をなくすということは、つまり「心身症でない疾患などない」ということです。

2016.11.07 23:43 URL | ヨシダヒロコ #lMBqkpAs [ 編集 ]

Sayoさん、行けなくて残念でした。

先生はどこかで読みましたが患者の立場になったことがあるのです。がんではなかったと思いますが。

著書にも患者さんの気持ちが分かっていなかったと反省するくだりがありました。精神医学と組み合わせた学問を学んだときです。他にも告知を受けたときから緩和療法は始まっているとか。受けたらもう終わりが近いのではないんだとか。

わたしが放送大の前期に習ったのは、精神科のガイドラインでは「心身症」という概念をなくすと既にWHOで決まっているということで、自分の経験でも心身はすごく密接に結びついています。がんと「闘う」という言い方はやめましょうとおっしゃったのもこの先生だったかと。

そのアグレッシブだったのも、それだけ現場で大変なことになっていたのかもしれませんね。わたしも「そのナントカは嘘」とか言って、ただでさえない人望をなくしているので、人ごとに思えません。

2016.11.07 23:39 URL | ヨシダヒロコ #lMBqkpAs [ 編集 ]













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