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2017. 01. 15  
タイトルによる期待度と内容の乖離8:1くらいの覚悟(?)で読み進めていって頂ければと思います。す、すいません。

***

「彼女」とは中田久美久光製薬スプリングス総監督(バレーボール)のこと。
今シーズンのVリーグ終了後、全日本女子監督に就任する予定だ。

Number 1月14日特別増刊号に、彼女へのインタビューをまとめた記事が掲載されていた。執筆は「日の丸女子バレー」の吉井妙子氏。
だからだろうか、記事はよくまとまっている上、中田総監督の言葉からも「かなり本音で話しました」的な感じを受ける。
(私は、バレーボールは観戦するだけの素人なので、あくまでも素人の感想だけれど)

中田総監督は「厳しい監督」というイメージがあり、全日本女子監督内定のうわさを聞いたときは、「選手がついていけるかな」とちょっと心配してしまった。選手には失礼な言葉だということは承知しているが、それだけ総監督には「厳しいひと」というイメージがあったということだ。

でも、昔の記事を読み返していると、次のような一節が目についた。

(選手生活の晩年、怪我に苦しみ、約1年間手術とリハビリの生活を送ったことに触れたあと)「復帰してよくいわれたものだ。『上げるトスがやさしくなったね』と。確かに人にやさしくなった。人のミスを許せるようになった。人間、だれでも辛いときがある。それを知ったことはプレイヤーとしても決してマイナスではなかった」(佐藤正治、Number349号、1994年)

私は、一度だけ彼女のプレーをなまで見たことがある。W杯だったか日本リーグ(当時)だったか。まだ17、8歳の頃だったと思う。当時の日本人女子セッターとしては長身の中田選手があっという間にボールの下に入り、速いトスを上げていたのを覚えている。当時すでに「天才セッター」と呼ばれていたと思う。だが、それが「天賦の才」だけでないことは、「日の丸女子バレー」を読めばよく分かる。確かに非凡な才能はあったに違いない。それでも、中田久美は努力の人だったと思う。そして晩年「やさしい」と表現されるトスを上げるようになったのだとしたら、ただやみくもに厳しいだけの監督ではないはずだ。

今号のNumberから拾った彼女の言葉をいくつか載せておく。

「国際大会ごとに少数の選手の入れ替えはあるでしょうが、合宿などに大勢集めて試すというようなことはしません。選抜から漏れた選手の気持ちを考えたら酷なことですし、しょっちゅう選手を入れ替えていたらチームは固まりませんから」

(注目する若手の名前を何名か挙げたあと「ただ、全日本は育成の場ではありません。もちろん、東京五輪の先を考えたら今から育て、東京五輪で経験を積ませるという考えも必要でしょうが、私にとって東京五輪は勝負の場。これまでのバレー人生すべてを賭けた闘いに出ますので、選手の育成に時間をかけていられません。育ててもセッターと若手数人という感じですかね」

(久光では選手に常に「なぜ」と問いかけ、自分で正解が見つけられるように導いた)「時間のかかる行為ですが、コートで判断するのは選手たち。勝利は、一瞬一瞬の正しい判断の積み重ねの結果ですから、地頭(Sayo注:じあたま)がしっかりしていなければ勝負に勝てません」

「私は時々、周りに『びっくりした』と言われるような采配をすることがありますが、私にとってはすべて想定内。常に選手の練習態度や取り組む姿勢をしっかり見ていますから、ここでこういう手を打てばこうなる、というのは予想できるんです」

「先ほどから選手に130%の力を出させると言っていますが、決してはったりで語っているのではありません。どんな方法かはまだ言えませんが、今回の全日本には科学の力をふんだんに持ち込みます。データバレーではもう勝てません。データはあくまで結果に過ぎない。結果を分析して作戦を立てるのではなく、選手らが頭をフル回転させて試合の流れを先読みし、どんな場面でも対応できる予測能力を磨く練習を重ねていくつもりです」

(以上、Number 1月14日特別増刊号「東京へ。」から、文:吉井妙子)

彼女の思い描くやり方が必ず奏効するとは言えないかもしれない。発言の一部に異を唱える人もたぶんいるだろう(私は素人なので、納得できる点もあり何とも言えない点もあるというのが正直なところだ)。ただ、ひとつ言えるのは、中田総監督はすでに自分の中に確固たるイメージを持っているということだ。
インタビュー全体を通してもうひとつ感じたことは、中田総監督は、周りも選手も本当によく見ているということ。「よいときも悪いときも努力も取り組む姿勢もすべて見てくれている」-そう思えるからこそ、久光の選手たちは厳しい監督についっていったのではないか。
また、彼女は「データバレーではもう勝てない」と言っているが、それは決して「データバレーは間違っていた」ということではないと思う。長身でパワーもある外国勢が、これまでは日本選手の方に分があった守備力や組織力を身につけつつある今、これまでと同じやり方ではもう勝てないということだと理解した。

「どんな方法かはまだ言えませんが」と聞くと、もうそれだけでワクワクするではないか。
中田全日本の今後を密かに楽しみにしているSayoである。
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プロフィール

Sayo

Author:Sayo
医療機器の和訳も9年目。
老眼腰痛、最近は膝痛とも闘いつつ
翻訳人生をまっとうしようと奮闘中。
この頃になってやっと翻訳の奥深さ・
難しさ・楽しさが分かってきたような。
記事は「翻訳一般」多め、ときどき読書感想文、本業(医療機器)やや少な目。
(2019年4月現在)

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