屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

午後の部開始。

フォーラムワークショップ「めだかの学校」の発表

発表1-若松賤子による小公子の翻訳(明治23年)
漢文訓読調が主流であった時代に、初めて「ですます」調で書かれた。会話が自然で間投詞の使い方も上手く、現在も十分鑑賞に耐える。視点の移動は、発表当時は批判もあったが、賤子が情景(つまり絵)を思い浮かべながら翻訳していた証拠では。
この「小公子」の原文を題材として、程度の副詞(really, actually, in factなど)を、辞書の訳語説明を基に、意味や機能でいくつかに分類し、各所の該当する副詞がどれに当てはまるかを調べるということをやった。整理と分類→法則化→どの分類に当てはまるかを意識しながら訳す→無意識下で分類して訳せるようになる、という手順を踏むことで、最終的に翻訳速度も上がり、語彙の引出しも増えるのでは。

発表2-主述から文のきれつづきへ
(日本語の新聞記事を題材として、述語と主語を明確にし、文を再構成する作業について説明がありました。)
述語を明らかにし、そこから、主語の省略(の有無)や主語がどのように弱められているかなどを分析。主述のあいまいな悪文についても、ねじれ構造を分析。これらを翻訳にも上手く応用することで、よりコンパクトに訳文をまとめることができるのではないか。


今日から使える最新辞書ブラウザ事情(T橋あ)

(T橋あさんの辞書関連のお話は、セミナーで聞いたこともありますし、雑誌やご自身のブログに書かれた記事をいくつも拝見してきましたが、セミナーのたびに新情報が追加されるので、何回聞いても何かしら発見があります。こまめなメンテナンスには、本当に頭が下がります。今回の報告は新情報を箇条書きにするに留めますが、T橋さんのブログのURLを記載しておきますので、もしも未見の方がおられましたらご覧になってみてください。JTFジャーナルや通翻ジャーナル、翻訳事典などにも寄稿されています。)
「禿頭帽子屋の独語妄言 side A」
http://baldhatter.txt-nifty.com/misc/

・物書堂、BIGLOBEのスマホ/タブレット向けアプリは優秀。
・「英和翻訳基本辞典」(宮脇孝雄)の見出しがEPWing化された。元になった紙版の辞書は必要だが、検索が断然楽になった。-ブログ記事あり
・インターネット辞書・事典検索サイトのジャパンナレッジの紹介(有料)。-ブログ記事あり
・お勧めの紙版辞書の紹介(日本語誤用辞典、日本語 語感の辞典、てにをは辞典など)。
・「翻訳訳語辞典」の見出しがEPWing化された。-ブログ記事あり
・辞書ブラウザ上での成句検索のポイント。

(翻訳者の間では、「海野さんの辞書」として知られる「ビジネス技術実用英語大辞典」を編纂された海野さんご夫妻も出席されていて、出版に際しての苦労話などもお聞きすることができました。当日は、他の書籍とともにV5ダウンロード版も販売されました。現在V6の発売準備中とのことで、待ち遠しい限りです。V5版から約1割増しですし、これまでの最新版同様、過去版の誤りその他の修正も反映されるとのことですので、もちろん、発売即購入の予定です。)


述語から読む・訳す(T橋さ)

英日翻訳では、勘で訳せる部分が大きいため、日本語文法は軽視されがち。しかし、意識して維持向上を図らないでいると、得意言語(母語=日本語)の運用能力は下がる一方となる。その事実は、不得意言語(この場合英語)の上達カーブの立上がりが急であるだけに、その陰に隠れて見えにくい。
日本語運用能力を落とさないために、日英の文法のどこまでが共通部分で、どこまで対応させることができるのかをきちんと把握しておく必要がある。そのために、述部を探し出すということをやってみるとよい(述部を見つけ、構文を見える化した衛星図を作成する)。その述部が、動詞述語文、形容詞述語文、名詞述語文のいずれにあたるかを考えながら訳すことを続けているうちに、自分の頭の中で整理ができるようになり、最終的に翻訳スピードも上がる。

(この部分のメモは本当に殴り書きでしたので、上手く報告できるかどうか自信がなかったのですが、「翻訳事典2018年度版」のT橋さん担当記事(P56-57)を読んでみましたら、「そうか、そういうことだったのか」という感じで、当日のお話がすんなり頭に入ってきました。当日のお話と記事の内容から、翻訳は母語の言語感覚を犠牲にする作業なので、気をつけていないと母語の運用能力が落ちてしまう → 母語のスキルアップを図る必要がある → その際、日本語と英語はなるべくパラレルな形で整理する方がよい → 構文の述部に注意する訓練をしよう → 日本語の構文(述部)が問題なく把握できるようになったら、「なぜその構文なのか」という疑問を持とう → なぜ=伝えるための書き手の工夫である → 書き手の工夫が読み取れるようになればそれをどう伝えるかということにも意識が向くようになる=母語運用能力も上がる、という流れなのかなと推測しています。間違っていたらすいません。「翻訳事典2018年度版」をお持ちの方は、是非再読してみてください。)

フォーラム衛星図左90







アウトラインで読む-英文を正確に速く読む(F井)

読めていないものは訳せないはず。読めるとは、書き手の意図(誰に何を何のためにどんな方法でどんな状況で伝えようとしているか)が理解できることである。そのために、英語の書き手がどのように「書き方」を習ってきたかを知ることは重要。このやり方は、小学校から大学まで一貫している。
・まずアウトライン(設計図)を書く。
・Topic Sentence→Supporting Sentence(s) の流れが基本。1パラグラフにトピックは1つ。
この構図を読み取り、同じ構図で翻訳することが大事。最初に構図分析を行うと、最終的に翻訳スピードが上がり、調べものの無駄が減り、誤訳も減り、メリハリのある論理的な訳文を書くことができるようになる。
2017.05.25 18:16 | 翻訳 | トラックバック(-) | コメント(0) |












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