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2017. 06. 28  
(6月29日、若干加筆訂正しました)

4月に、メインの取引先に翻訳レート値上げをお願いし、自分としては期待以上の回答をいただきました。

すぐに記事にしなかったのは、2、3ヵ月はその後の受注状況を静観し、増額が受注に何らかの影響を与えたかどうかを確認する必要があると思ったからです。
(特に影響はなさそうですので、少し時間のできたこのタイミングで記事にしようと思いました)

この会社は、「医薬(医療機器)翻訳」転換を決めて応募・登録した2社のうちの1社で、その後数年にわたって取引が続いています。
(もう1社は、特に大きな不満があった訳ではないのですが、タイミングが合わないということが続き、何となく疎遠になりました)

スタートレートとして提示された額が、分野初心者の自分にとって「可もなく不可もなく」という額でしたのでその額で登録し今に至ります。

コーディネータさんはテキパキと仕事をなさる方ばかりで、こちらから催促したり質問したりということもまずなく、参考資料の質も相対的に高く、たまにいただく校正後の原稿の仕上がりも「おお」と唸らせられるものばかりで、私はずっと気持ちよく仕事をご一緒してきました。請求書が不要であることなども含め、「見えない」部分でストレスや労力少なく仕事ができていたと思います。
また、自分の中に「医療機器翻訳者として育ててもらった」という気持ちもあります。

「だから、単価交渉は止めておこう、今のままでいい」と、私は自分に言い聞かせてきました。多分に「何もしない」言訳だったと思います。現状維持が一番楽なので。
1社専従ではありませんでしたが、売上げに占める割合はかなり高く、賃上げ交渉をしたことでメインの取引先を失うのが怖いという気持ちもありました。

でも、この頃、不満、ではありませんが、ときに若干もやもやした気持ちが湧くことがあったのも事実。
原因のひとつは他社とのレートの差。微々たるものではありましたが、その後に登録した会社の方が翻訳レートが高いという状態になりました。(いずれもこちらからスタートレートを提示できたので、(小心者の自分にできる範囲でということですが)思い切って少し高い額を提示し了承頂いたものでした)
「分野の勉強も重ね、数年前より知識も増え、いろいろ考えながら訳すようになった自分を、この会社でももう一度評価してほしい」という気持ちが強くなりました。

同じ頃、さまざまな要因が重なって「もう、売上げ(年収)の維持や微増を目指さなくてもいいかな」という気持ちになりました。
それでかえって「仕事が切れたらまた次を探せばいい」と気持ちが楽になりました。「次」が軌道に乗るまではしばらく苦しい時期が続くでしょうが、「それでもまた次がある」と思えるだけのものを、自分は身につけたのではないかと思えたのです。もちろん、まだまだ至らぬ点は多々あり、凹むことも多く、決して「デキる」翻訳者とは言えませんが、「医療機器」分野に限っていえば、自分がもっと積極的になれば、またどこかでそれなりに仕事を取っていけるのではないか、と。

とはいえ、そこまでに育ててくれたのは、今回値上げ交渉をした会社です。たぶん、そことのお付合いが始まらなかったら、今の私はない。そこは感謝してもしきれません。できれば、今後もよい関係を続けていきたい。
そんなことを考えながら、交渉メールを認めました。
そのとき気をつけたことは「他社と比べない」ということです(あくまでも、自分の場合、対この会社に限ってということです、ビジネス交渉として考えるなら「うまく他と比較する」ことも必要だと思います)。正直なところを書いて「その会社における翻訳者としての私」を判断してほしいと思いました。

以下、そのときのメールの一部です。

御社は(中略)、フィードバックやさまざまな参考資料を通して「育てて頂いた」と思っており、その点本当にありがたく、感謝してもし過ぎることはないと思っております。
一方で、御社との取引きもXX年目に入り、私も、翻訳・専門用語・医療機器製造販売に関わる制度などについて、スタート時より多少の経験を積みました。今後も翻訳力の向上や知識習得に務めてまいりたいと思っております。当時よりは、多少なりともよい翻訳ができているのではないかと考えております。
(中略)
以上の理由から、最初にご提示頂いたスタートレートからの引き上げをご検討頂けましたら有難く存じます。

(** こちらのブログもときどき覗いて頂いているようなので、メールの文面も当時のものをほぼ踏襲しました)

何の参考にもならないとは思いますが、まあこういう事例もあるということで。

値上げ交渉のタイミングを図るのはとても難しい。
私は、若干遅きに失してしまったのかもしれませんが、自分の中にある程度の自信を持って「駄目なら駄目でいい」と思い切ることができた「今」が、自分の「そのとき」だったのかなとも思います。
値上げを了承頂いたことで、「これからもよい仕事をしていきたい」「期待を裏切るような仕事はしたくない」という気持ちも強くなりましたので、実際的なモチベーションもやっぱり大事(<て最後はそこかい<自分)。

これからも、1件1件きちんとした仕事をし、もっといい仕事ができるようになりたいと思うのでした。
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プロフィール

Sayo

Author:Sayo
医療機器の和訳も9年目。
老眼腰痛、最近は膝痛とも闘いつつ
翻訳人生をまっとうしようと奮闘中。
この頃になってやっと翻訳の奥深さ・
難しさ・楽しさが分かってきたような。
記事は「翻訳一般」多め、ときどき読書感想文、本業(医療機器)やや少な目。
(2019年4月現在)

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