屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。


そして2年の時を経て、「チームII」に辿り着いたSayoです。
(「チーム」の感想文はコチラ

前回は「箱根駅伝予習」として「陸上もの」を読み始めたにも関わらず、2月の声を聞いた頃やっと山登りの5区まで辿り着くという「どんだけ遅れてんねん」な状態でした。
同じ失敗はしないもんね-、もっと早くから読み始めるもんねー(入手したのはGWなんですが...)
ちょうど秋のドラマ「陸王」も始まるではありませんか。おお、なんとタイムリー。そして、なぜ仕事が絡まない本はさくさく読めるのだろう。

ということで、「チームII」を読破したわけですが、今回は逆に「どんだけ早すぎるねん」な状態で、箱根駅伝の号砲を聞く頃にはすべてが記憶の彼方に飛んでいそうです(結局、どこまでもタイミングを外すヤツなのだった)。


で、「チームII」です。

「チーム」で学連選抜のメンバーとして箱根駅伝を走ってから7年、天才ランナー山城は、東海道マラソンで日本記録を樹立(「ヒート」)後は、故障に悩まされ、2年間レースを走ることができず、焦燥を募らせていた。折りしも、所属する実業団チーム、タキタの廃部が決まる。「唯我独尊わが道を行く」山城は、誰かに頼ることをよしとせず、心密かに五輪記念マラソンを引退レースに決める。とはいうものの、練習環境の確保さえままならない。
山城の真意を察したかつての学連選抜メンバー浦や監督の吉池、さらには東海道マラソンで最後まで山城とデッドヒートを繰り広げた甲本(「ヒート」)らが、「チーム山城」を結成し、故障明けの山城をバックアップしようとする。

というのが粗筋。
これに、学生連合(以前の学連選抜)の監督として浦が寄せ集めチームをまとめていく過程がサイドストーリー的に挟まれます。「走る」場面は、主に、箱根駅伝と(チームタキタとしての最後の出場となる)全日本実業団対抗駅伝(全実)。全実でからくも勝利しながら、自分らしくない無様な姿に失望し、五輪記念マラソンへの出場を断念するかどうかで揺れる山城が、当日、スタート・ゴール地点に姿を現すところで「チームII」は終わります。

なので、「チーム」や「ヒート」に比べると、レースの場面は若干少な目。
「チーム」や「ヒート」では、(特に山城の)心の動きがあまり読めない状態でいきなりレースに場面転換した感があったので、小説的にはこれくらいの方がよいのかも。もっとも、前2作ほどのド迫力は感じられず、どちらがいいとも言い難いです。まあ、好みかな。
延々とレースの場面が続くのですが、視点が走者と(伴走車からのものも含め)応援者の間を行ったりきたりするので、退屈することはありません。走者の心理や走者同士の駆引きの描写が続くと、ふと自分もレースを走っているような感覚に捕らわれたりします。そう、持久力皆無のワタクシでもマラソンだの駅伝だのを走れちゃったりするのだよ。堂場さんのレース描写の場面は秀逸だと思います(あくまで、個人的意見です)。

本書の(たぶん)主人公、山城悟は、ホント傲慢なヤツなんですよね。
故障するまでは、国内ではぶっちぎりの強さを発揮してきたので、そんな態度でもすべてが「山城だから」で許されてきたわけなんですが、故障で結果は残せない、練習環境が奪われるなど「走ること」以外の部分で悩まなければならなくなると、弱さも垣間見られるようになってくる。本人も、すべて自分一人でできると思っていたのがそうではないことが分かってくる。
浦たちがそれぞれに忙しい時間を割いて山城を援助しようとしたのは、甲本が言ったとおり「あいつが何をやるか見てみたかった」というのが大きいと思うのですが(それほど規格外の選手ではありました)、学連選抜でのレースを通じて、弱さや「実は自分のためだけでなく他人のためにも走れる男だ」ということも何となく分かっていたからかもしれません。

その孤高の選手山城が、浦のペースに巻き込まれて、学生連合の一員として箱根を走ることになった浦の教え子の荒井にアドバイスする場面があります。「誰のために、何のために走るのか」が分からずモチベーションが上がらずにいた荒井ですが、「全員が自己ベストを更新することだけを考えて次のランナーにつなげばいい」という山城の言葉に、何か掴んだものがあったようで(発想を転換することで、悶々としていた気持ちが楽になり、新たな目標ができたって感じでしょうか)、このアドバイスを期に、バラバラだった学生連合のメンバーは何となく緩くまとまっていきます(「チームII」は「チーム山城」の話なので、このあたりは軽く語られるだけですが)。何とも山城らしいアドバイスに、ワタクシも、浦じゃないですが、ハッとさせられました。


全実の前に、タキタ監督の須田が、山城に「日本の長距離を何とかしたい」と夢を語る場面がありました。山城は何とも思わなかったみたいですけど。
でも、読み流していたこの部分を再読したとき、これまでとは形を変えた「チームIII」があるかもとちらっと思いました(とにかく、堂場さんは多作の方だし)。それまで、「チーム」シリーズはここで終わりかなと思ってたんですけど。まあ、山城が指導者になっている姿は想像できませんが...


てことで、箱根駅伝の(早すぎる)予習は無事終了したのだった。
2017.10.11 23:29 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(2) |

Connyさん、まいどです~。
おお、帰国されていたのですね。お疲れさまでした。帰りは台風大丈夫でしたか?

堂場さんは本当に多作ですよね-。
私も、警察モノは「アナザーフェイス」と「解」を読んだことがあります。被害者支援課シリーズも今度探してみますね。
スポーツモノは野球を題材にしたものが多いようなのですが、私は野球はあまり分からないので、陸上から入りました。今は、水泳を題材にした作品(「水を打つ」だったかな?)がBook Offで投げ売られるのを待っています。
お気が向かれたら、手にとってみてくださいませ~。

2017.10.24 15:42 URL | Sayo@屋根裏 #- [ 編集 ]

Sayoさん、お久しぶりです。

ひそかに里帰りしておりました。で、今日久しぶりに屋根裏に立ち寄ったら「堂場氏」の名前が。

結構好きです。でも陸上物を書いているとは知りませんでした。私が読破した(しようとしている?)のは警視庁犯罪被害者支援課シリーズ。ドラマ化されたら主人公には堤真一を一押し、ってのは余談ですが。

購入ブックリストに書き込みぃ~。


2017.10.24 14:35 URL | Conny #a4Z/FfFc [ 編集 ]













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