屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

先日「統計」の本など借りに図書館に行った時に、
この魅力的なタイトルに引かれて、ついつい借りてしまったですよ。
2週間休館のため、貸出期間が通常の倍の4週間に延長されていましたのでね。

医薬翻訳に興味があるからという訳ではありませんが、
医療系のフィクションは好きでよく読みます。
最近は、海堂尊さんなど、好んで読んでいます。
まだまだ未読の作品が多いのですが
(Book Offの 105円待ちとかしてますので)、
今のところ「ジェネラルルージュの凱旋」が一番のお気に入りです。

で、話は「エピデミック」に戻りますが。

東京近郊の小都市T市で発生した未知の呼吸器系感染症の流行→収束までを描いたサイエンス・サスペンス(←という分野があるかどうか分かりませんけど)で、疫学の観点からみた流行との闘いがメインなのが、目新しく面白いです。文中、主人公の疫学者さんが、疫学を「ヤクガク」と読んだりする保健所の新人職員に疫学的手法を説明する中で、クロス(2x2)表、オッズ比、仮説の棄却などの言葉が登場し、こんなに早く、しかもこんなところ(?)で統計さん家の用語さんに再会するとは、て感じです。主人公は女性疫学者さんなのですが、その同僚、上司、T市の医師、保健所職員、謎の少年(?)など、登場人物が多いのがおばさんにはちょっと辛いですが、今のところ、楽しく(?)読み進めております。
患者は次々に増えていく、でもどこからどうやって感染しているのか分からないという中盤あたりの部分に差し掛かっており、相手が目に見えないウイルスということもあり、最後には感染源が特定され制圧される(たぶん)ということが分かっていても、やっぱりドキドキしてしまいますね。

こういう未知の感染症を扱った作品は、これまで何作か読みましたので、
参考までに下記致します。


「アウトブレイク」
ダスティン・ホフマン主演の映画のノベライズ本。
映画の「?」を小説版で理解した部分も大きかったので、個人的には小説版の方がコワかったです。
サルが宿主の致死性の感染症が主人公(?)なのですが、アメリカに密輸入された保菌サルが感染源となって、小さな町で感染が拡大していきます。ホフマンを始めとする研究者たちは、その未知のウイルスの特定と治療法の確立(ワクチン製造)を目指して、不眠不休の努力を続けるわけなんですが、そんな日が何日も続くと、どうしたって注意力も散漫に。ついつい立ったまま寝てしまい、はっと気づいて身体をしゃんと起こした拍子に、宇宙服様の完全防護服から外部空気供給用のホースが外れてしまい(ホフマン友人)…とか、血液サンプルを採ろうとした患者が突然痙攣を起こし、誤って自分の指に注射針を刺してしまい(ホフマン奥さん)…などなど、(個人的には)ホラー小説より怖い場面満載でありました。
お話の方は、逃げ出した猿を捕獲し、無事ワクチン製造に成功。友人は救えなかったものの、奥さん(&町)は救われ、冷えていた夫婦関係も元通りに。


「βの悲劇」(夏樹静子&五十嵐均)
「ドーム 終末への序曲」(1986年)の続編なのですが、前作で、全面核戦争を想定し、南太平洋の孤島に建造された、1000名が何十年も外界から隔絶された環境で生活できる「ドーム」が、続編では、新型の強毒インフルエンザで滅亡の危機にある人類を救う最後の砦となります(正確には、「なり得るか?」という感じで「ドーム」が閉じるところで物語は終わります)。
で、問題のインフルエンザ・ウイルスは、DNAコピーの過程で発生する突然変異の頻度があまりにも高すぎて、次々と型が変化するため、ワクチン製造が追いつかず、しかも致死率はほぼ100%というとんでもないシロモノ。本書では、最初にスペインで発生が確認されるのが8月1日、日本での確認は8月15日、地球のほぼ裏側ニューカレドニアでの確認が8月30日になっていて、この日に「ドーム」が閉じられます。
前作の主要登場人物の他に、様々な国の様々な立場の方々(指導者とか研究者とか一般市民とか)が登場するため、小説としては、ちょっと散漫な印象があるのが残念ですが、近未来シミュレーション小説(いや、舞台は1990年代なんですが…)としては大変興味深いと思います。


「夏の災厄」(篠田節子)
これまた少し古い小説(1998年)で、いや、ホント、最近小説読んでないよね、アンタというのがバレバレでお恥ずかしい限りなのですが。
これも東京郊外の小都市が舞台で、主人公(?)は、脳炎を発症させる未知のウイルス。かなり以前に図書館で借りて読んだだけなので、ストーリーもうろおぼえなのですが、主人公はさえないおっさんおばさんたち、その前に立ちはだかるお役所の様々な壁、市民による感染源と特定された野鳥狩り(正確にはその野鳥の餌となる貝に寄生するウイルスが感染源なのですが)、死に至らなかった患者たちのその後(重い脳炎の後遺症が残ります)の様子など、フツーに起こりそうなリアルさが怖かった記憶があります(最後に、「別の場所で、また集団感染が起こりかけているかも…」感を漂わせながら終わるところなど、十分ホラーかと)

というわけで、ウイルスは見えないだけに怖い。
・・・と思われる方は、宜しければ夏の読書のお供に。
涼もとれますので、節電効果も期待できるかと(ないない)。

SayoのBackgroundについては「はじめに」カテゴリの記事をご参照ください。
2011.05.23 22:57 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(2) |

嬉しい! やっぱりnobaraさんはソコに反応してくださると思ってました。
まだ、全体の3分の2ほどしか読んでいないのですが、結構「緻密に堅固」じゃないかと思いますよ。ただ、疫学が主人公ってことで、このまま最後まで、派手なドキドキ(ラストまで突っ走っていくというか…そういう感じです)なく、割と淡々と行くんじゃないかという気がします。
私自身は、そういうの嫌いじゃないのですが、そのあたり、ちょっと好みの分かれるところかもしれません。

2011.05.24 22:15 URL | Sayo@屋根裏 #RwF7odmQ [ 編集 ]

こんにちは。
「エピデミック」面白そうですね(統計用語に反応しました)。紹介してくださって、ありがとうございます。

緻密に堅固に構成された話が好きなので、そうだったらいいなぁ。今度、書店でチェックしてみます。

2011.05.24 13:04 URL | nobara #- [ 編集 ]













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