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屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。


「The Emperor of All Maladies - A Biography of Cancer」(Siddhartha Mukherjee)
「がん‐4000年の歴史」の邦題で訳書も出ています(シッダールタ ムカジー、田中文訳)。
(文庫化にあたり「病の皇帝『がん』に挑む ― 人類4000年の苦闘」から改題されたようです)

聴了。

本当は、かなり前に青息吐息で聴き終わったのですが、先日ふと思い立ってAmazonの訳書の書評を覗いてみたら、「ほとんど一気読み」とか「手に汗握るストーリー」とか「上巻・下巻3日で読みました」とか。
ええええー、息も絶え絶えにやっと完走したもので、とても「一気読み」はできなんだですが。ワ、ワタクシ、何かまずかった?

というわけで、もう一度聴き直してみました。

ストーリーの組立てにもできるかぎり注意を払いながら、聴き直してみると、え、なに、なかなか面白いやん。
文字なら一気読みいけるかもしらん(日本語なら、ですが)。

文字情報の場合は、興が乗ってくれば斜め読みして流れを追ったり、前に戻って確認したりできますが、聴読はそれができない。そのへんが、「硬いノンフィクションを耳から理解する」ことの限界のひとつかなと思いました。全体の長さにもよりますが、ストーリー性が強いものでないと、強弱の少ない平板な情報として頭の中に入ってくるような気がします(あくまでも自分の場合、それも特に英語の場合ですが)。そして、あまり長いと、最初の方で聴いた内容はかなり記憶から飛んでいる(本作は、16CD、全20.5時間です<記憶が飛ぶのは加齢のせいという説もある)。
今後は、そういう点にも気をつけて題材を選んだ方がいいかも、と思ったのでした。

で、何でしたっけ、「The Emperor of All Maladies」でしたね。

邦訳の副題にもあるとおり、本書は、人類とがんの戦いの「歴史」。人類は「敵がなにものなのか分からない」うちからこの難敵に立ち向かってきた。その実体は徐々に、というより19世紀以降飛躍的に明らかになり、今ではその発生の仕組みも解明され、さまざまな分子標的薬が開発されている。だが、がんとの戦いは決して平坦なものではなく、間違った治療法が試されたこともあり、国を動かすロビイングが奏功したことも、新たな治療法が経営的判断で葬り去られようとしたこともあった。また、予防についても研究されるようになった。

...といったことが、ときに著者自身が遭遇した患者の話を交えながら、おおむね時間軸に沿って語られていた...と思います(すでに記憶があやふや>ピンポイント的に読み返せないところも聴読の欠点なのだった)。

ワタクシは一応医療翻訳者の端くれなので(ホントに端くれですが)、用語や大意の理解にはあまり難渋しなかったのですが、そうでなければ少し難しい内容かもしれません(実際、「医師は読んでおくべし」的な書評も見かけました)。
けれど、医師、研究者、患者が主体でありつつも、政治や社会も巻き込んでがん治療が発展してきたこと、今や2人に1人はがんに罹患する(生涯リスク)と言われていることを考えれば、「がん」というものをきちんと把握するために読んでおいてもいいかなという1冊かと思います。長いけど。

同じ著者の手による「The Gene: An Intimate History」という書籍も刊行されていますが、これもたいがい長そうなので、「読む」方にしようと思います(いつになるか分かりませんが)。「遺伝子‐親密なる人類史」(シッダールタ ムカジー、田中文訳)という邦題で訳書も出ているので、図書館で借りて読むかも(いつになるか分かりませんが)。
2018.04.18 17:25 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(0) |












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