屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。


*2018辞書最新情報(F井、T橋あ)

翌日発売される「ビジネス技術実用英語大辞典(通称「海野さんの辞書)」V6(EPWing版)についての説明がありました。
続いて、海野さんご夫妻自身から、辞書が紹介されます。
2010年にV5が発行されてから(初版は1994年発行)8年ぶりの改訂で、V5から約1万用例(8%)の情報が追加されているそうです。それだけではなく、「より分かりやすく」を目指して、差し替えや改善も続けられているとのこと。「もともと日英翻訳を念頭に置いて用例を集め、作り始めたものだが、英日見出しをつけたことで英日翻訳者にも需要が広がった。そこに自分たちの辞書のオリジナリティがあるのかもしれない」というご夫妻の言葉が心に残っています。
当日、会場で先行発売され、私も購入しました。

他に、Japan Knowledgeを運営されるネットアドバンスさん(ちなみに、CD-ROM版より若干少ない情報にはなりますが、秋にはV6もサービスに追加されます。+R というオプションにする必要がありますが)、「英語マイスターへの道」の著者、中部大学の関山健治先生の紹介もありました(関山先生は7月13日のJTFセミナーに登壇されます)。
http://www.jtf.jp/east_seminar/index_e.do?fn=search


*パンクチュエーション101(F井)

「読めていないものは訳せない、読めているつもりが読めていない」とは、F井さんがよく使われる言葉です。では、「読めている」とはどういうことなのか? それは「書き手が伝えようとしていることを理解できること」だという話から、きちんと理解するためにはパンクチュエーションを疎かにしてはいけないという話につなげていきます。
本当は、英語の記号がそれぞれ何を意味するかを理解し、訳に反映させなければならないはずだが、「塾や学校では(それが何を意味するのかを)きちんと教わっていないのではないか」ということで、「これは」という本を2冊紹介してくださいました。いずれもライティング本ですが、読むと書くはウラオモテなので、「英文を読む」際にも役に立つとのことです。一冊は「英語ライティングルールブック 第2版 正しく伝えるための文法・語法・句読法」(80ページ超にわたってパンクチュエーションの説明がある)、もう一冊は「できる研究者の論文作成メソッド 書き上げるための実践ポイント」(原文の著者がどういう気持ちで書いているかが分かる)です(詳細は「シンポジウム2018参考資料一覧」を参照)。

その後、日本語のダーシ(全角ダーシと2倍ダーシ)、英語のハイフン&ダッシュ(enダッシュ、emダッシュ)、挿入句など、記号について具体的な説明がありました。また、記号を音読することによって、「こういう意味で読んでほしい」ということが分かるという話も。詳細メモりましたが割愛します。あっしもだんだん疲れてきましたし、書き始めると削れるところがないんで。ともかく、そうやってきちんと意味を理解することで、なぜ書き手はその箇所にその記号を使ったのかが分かり(あるいは類推でき)、「書き手が伝えたいことを、記号も含めて正しく理解できる」につながるということなのだと思います。


*今こそ学ぶ!先達の翻訳論(H野)

昨年のシンポジウムで「若松賤子による小公子の翻訳」を担当された方です。
それがきっかけで、翻訳史や翻訳論に関心をもたれたとのことで、先達の翻訳論が、今とこれからの翻訳にどのように役に立つのかまで思いを馳せながら、二人の翻訳者(翻訳研究者)について発表してくださいました。

まず、事前アンケートで50名超の方が「影響を受けた」と回答された山岡洋一さんがどのような方であったかを紹介されたあと(「翻訳とは何か」で翻訳という職業を外に向けて発信、データベースを集めて辞典を編纂、メルマガ「翻訳通信」を発行etc.)、評論家で翻訳・比較文化論研究家である柳父章さんの翻訳語成立論の説明に移ります。
たとえばsocietyの訳語として用いられる「社会」など二字の言葉の多くは、明治時代に西洋の新しい概念を表すために作られた新造語のようなのですが、こうした言葉が、原意とは少し異なる「立派な」意味が付加された状態で用いられるようになることを、柳父さんは「カセット効果」と呼んでいます。そうした訳語が多数造られたことが、その後の意味不明の翻訳調につながるということのようなのですが(柳父さんの「翻訳とはなにか」の途中で討死したヤツなもんで、解釈が間違っているかもしれません。あくまで、「Sayoがシンポジウムで理解(あるいは誤解)した内容」と考えてください)、歴史的側面からみれば、漢文訓読を欧米文献の翻訳に応用しようとしたこうしたこの試みはそれはそれで立派であり、そこから翻訳調が派生し一人歩きしてしまったことが問題なのではないかと、H野さんは仰います。
その「翻訳調」に対して「読みやすく分かりやすい」翻訳が現れてくるのですが、「本当にそれだけでよいのか」と疑問を呈したのが山岡さんで(といっても――Sayoが勝手に理解しているところですが――山岡さんは、決して翻訳調の成立過程を否定しているわけではなく、先人がどのように翻訳に取り組んできたか、その後、翻訳がどんな道を歩んできたかを理解した上で、そのように唱えられているのだと思います)、「原文の意図を忠実に伝えることが翻訳の目的」と仰ったのを具体的に説明しているのが、翻訳フォーラムいうところの「原文を読んで見える絵を訳文を読んでも見えるようにする」ということなのではないかと、自分は勝手に思っています、とH野さんは発表を結ばれました。


*ヲタクじゃないけどサブカル講座(T橋あ)

最初に書いておきます。この発表をなさっているときのT橋さんは、この上なく楽しそうで幸せそうでした。

まず、サブカル以前の押えておくべき英語圏の文化から。
具体例を示しながら、不動のトップ3として、聖書、シェイクスピア、マザーグースを、これらに続くものとして、オズの魔法使い、不思議の国のアリスを挙げられました。
続いて、特にIT関連のウェブ記事などでよく引用される語句の出所を解説。まずStar Wars、次いで、日本ではそれほど一般受けしないようだが英語圏では話題に上がることが多い、というStarTrek。個人的には、何とかついていけるのはStar Warsまでです。懇親会でIT系の記事を翻訳なさる翻訳者の方とお話すると、こうした映画やTVシリーズからの引用はざらで、コレという動画をAmazonなどでDLして確認して訳すこともあると仰っていましたので、分野による違いは大きいと改めて思いました(そして、たぶん、興味のレベルも千差万別だろうと)。Star WarsとStar Trekに続くものとしては、アメコミ、指輪物語、ハリー・ポッターシリーズ、Monty Pythonなど。The Hitchhiker's Guide to the Galaxyの問い(?)なども好んで用いられるとか(ちなみに、私正直何が面白いのかよく分からなかった、同書の「不条理なギャグ」ですが、日本語にしてググってみても同じ答えを返してきました)。
サブカル以前のネタは、押えるべきところは押えておかないと翻訳者として恥ずかしい、サブカルネタは知っていると楽しい、仕事の幅も広がる、ということで、とりあえず、「シンポジウム2018参考資料一覧」の「なんでもわかるキリスト教大事典」と「シェイクスピア名言集」をお取り寄せしました。マザーグースはどこかに埋もれているような気がしないでもないので、まず発掘調査から。

2018.05.30 00:50 | 翻訳祭・フォーラムetc.報告(2016-) | トラックバック(-) | コメント(0) |












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