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屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。


「英文和訳・要約法」(谷田貝常夫・中村保男、文字文化協會)

要約の参考書はこれが2冊目。
1冊目は「パラグラフリーディングのストラテジー ① 読み方・解き方
どちらも、勉強会管理人さんの推薦図書です。

どちらも「要約時に気をつけること」について述べられていますが、あくまで大雑把な印象ですけど、「英文和訳・要約法」の方が、受験をあまり意識しない一般的な「要約」について述べているような気がします。もう少し巨視的な視点から「内容を理解するために要約する」を目的にしているように感じられました。

本書は、ざっくり、以下の3部構成になっています。

第1章「何を省き、何を採るか」
 まず「要約とは何か」が述べられたあと、どのようにして不要部分を省き、必要部分を縮めるかについて、具体的な方法が提案されます。
第2章「文章の構成と論理」
 文章の構成(全体の展開、各段落や文の役割など)とその理解に不可欠な、論理を左右する接続詞について述べられます。
第3章「日本語の短文を書くために」
 要約文の書き方と、その際注意する点がまとめられています。

そして、最後の「後書きに代えて」で、よい要約文の条件として、
1. 読み手が原文にあたらなくても、その文章の基本的な情報が得られ、原著者の発想がわかること。
2. 要約文が明確、手短で、段落中心文のどれにも均等な配慮を加え、バランスがとれているものであること。
3. 原文に含まれている大切な事項は正確に取り上げなければならないが、原文にない情報や意見は含めないこと。
の3点が挙げられています(本文126頁)。

このあたりは、「公開勉強会」の管理人さんのスライドに入ってくると思いますので、出席してくださるという奇特な方は、今日のところは読み流していただいてよいかと(笑)。

要約について簡潔にまとまった、要約初心者にも分かりやすい良書だと思いました。

がだがしかし。
私たちが勉強会でやっているのは、あくまで「翻訳することを意識した」要約。
個人的な考えですが、そのためには、普通に目の前にある文章(やその一部)を要約するより、段落間の流れも段落内の流れも意識しなければならないような気がします。「要約本」の例文は、基本的に文章の一部を取り出して要約するものなので、どうしてもその文章だけで考えがちになってしまいます。「自分は何のために要約するのか」を常に頭の片隅においておかなければならないと、改めて思いました。

本書には、(全体を分かりやすくするために)「語順を入れ換えて要約」がときどき登場します。段落内での完結をめざすのであればそれでいいと思うのですが、「翻訳のための要約」的観点からみれば、「そこ、入れ換えても流れが変わらない?」ということを、少し意識した方がいいのかなと思いました。ただ、「その方が分かりやすい/座りがいい」ということで入れ換えてしまうと、文章構成の比重に違いが出てしまって、翻訳するときに選ぶ言葉が違ってきてしまうかもしれません。

また、本書は、どちらかといえば「バッサリ切る方法」を提案していますが、バッサリ切ることの目的のひとつに(簡潔にまとめる以外に)「バッサリ切らなかった部分=必要な情報を際立たせる」ということがあるんじゃないかと思います。その点を意識しながらばっさばっさ切っていくと、翻訳をする際にもメリハリのついた訳文が書ける(少なくともそのように努力する)のではないかと。

...結局、大事なことは「何のために要約するか」を忘れない、ということに尽きるのかなと思います。
その点を忘れずに読めば、得るところの多い、分かりやすい「要約指南書」だと思いました。

とエラそーなことを書いていますが、普段の要約では失敗ばかりやっています(^^ゞ

でも、そうやって、失敗しながら、考えながら、悩みながら要約に臨むことで、訳出時の原文(と翻訳文)への向き合い方も変わっていくに違いないと信じて、毎月管理人さんに斬られる第1秘書なのです。
2019.01.26 01:15 | 辞書・参考書 | トラックバック(-) | コメント(0) |












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