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屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。


Max Tegmark
Life 3.0: Being Human in the Age of Artificial Intelligence(2017年)

著者は物理学者。
本書は、物理学者の視点から「人工知能の未来」を語ったもの。

かなり前に音読了していたのですが、読書感想文に載せずに闇に葬ろうかどうか、ずっと迷っていました。
英語はそう難解ではないものの、内容が難しい(特に、後半、宇宙的スケールでAIやAIに意識が存在するのか否かを論じた部分)。
付箋はいくつか貼りましたが、日本語の書籍と違って、「なぜその部分に付箋を貼ったんだっけ」もしばらく考えないと思い出せない始末(「年のせい」説あり)。

そうやって数ヵ月が経った先日、久しぶりにAmazonさんを訪ねたら、カスタマーレビューに素晴らしい要約が!(2018年12月7日付けのものです)

ということで、うろ覚えの記憶を辿って記事にしたいと思います。
全体の要旨は、↑ のアマゾンレビューをご参照ください。

ちなみに、Gizmodoに、軍事技術へのAIの応用について述べた部分(第3章の一部)の翻訳があります(こういう内容は、やはり読者の興味を惹きやすいのかも)。
https://www.gizmodo.jp/2017/10/life30-by-max-tegmark.html

上でも書いたとおり、英語自体はそう難解ではありません、専門家でなくても十分理解できる語彙で書かれていると思います。また、各章の末尾にまとめがあり、「読み返して大意確認」がしやすいつくりになっています。
けれど、知性、生命、意識とAIの関わりなど、一読しただけでは、正直どう解釈すればよいか途方に暮れてしまう部分が多く、そういう意味で、今の私には少し難しすぎる本でした。とはいえ、ここまで長いスパンでAI(と人類)の未来を見据え、「AIに意識は存在し得るか」「AIは生命体たり得るか」まで論じた書籍はあまりないような気がします(単に私が知らないだけ、という可能性は高いですが)。少し前に出版された「Superintelligence: Paths, Dangers, Strategies」(Nick Bostrom、邦訳「スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運」)が、近い視野からAIを見ているのかなと思います(未読)。

レビューでは割愛されたPreludeとEpilogue。
PreludeはThe Tale of the Omega Team、EpilogueはThe Tale of the FLI Teamとタイトルも対になっています。
Preludeは、Omega Teamという架空のプロジェクトチームが作り上げたPrometheusというAIが、どんどん自己発展していき、ついには...という仮想シナリオ。掴みとしても秀逸だと思います(←捕まれたヒト)
Epilogueは、著者がさまざまな分野の研究者に呼びかけて立ち上げた、AIのリスク(AIと共存するについての安全性)を研究する組織について。その設立過程、第1回会議、そこでコンセンサスが得られた項目などが語られます。上記のNick Bostromもこの会議にも参加していますし、Tesraの Elon Muskがぽんと研究資金を出すなど、世界の研究者たちは、AIの安全性という面に着目し始めているようです。

そして、私は、素人なりに、このEpilogueも重要な部分ではないかと思うのです。
もちろん本邦でも、研究者の方々の間では、こうした部分が話題に上っているには違いないのですが、ニュース等で目にする話題は「AIに何ができるか」が多く、「なぜそれをやらせるのか」(目的)と「それは本当に安全で人類の発展に寄与するのか」に関するものはないような気がします(「おまえが積極的に探しに行ってないだけだろ」説もあり)。もちろん「あんなことも、こんなこともできる」が技術の発展につながるのだとは思いますが、「何のために」「どんなリスクが」をしっかり押えずに進んでいくのは危険なことのように思えてしまうのです。そんなことを考えさせられた「Life 3.0」、たぶん、いつもどおり私の感想は少しズレていると思いますので、本当にご参考程度に。


原著にはAmazonで294件のレビューがあり(4月23日現在)、平均4.3 starsです。まあ、多けりゃ、高けりゃいいってもんでもありませんが、それだけ話題になった書籍なのは確かです。もしかしたら、今現在、どこかでどなたかが翻訳作業をされている最中かもしれません。
2019.04.23 17:31 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(0) |












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