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2019. 11. 01  

最近、新聞で「無知がおそれを生む」という言葉を見かけました。
それは、病気(難病)に対して使われていた言葉だったと思うのですが、それ以外の多くのものに対して言えることだと思いました。今話題になっている機械翻訳(MT)に対しても。

これもわりと最近、こちらはTwitterだったと思いますが、MTの出力について「95%の精度」という言葉を見かけました。学生時代95点などという点数はなかなか取れなかった私などは、この数字を見ただけでドキッとしてしまいます。

でも、何をもって「精度」「100%」と言っているのか、「95%」とはどんなレベルをいうのか、ということは、もう少しMTについて学んでみなければ分からないはずだし、そうやって学んでからでなければ、「精度95%のMT」を本当にその特定の現場に持ち込んでいいのかどうか、持ち込んでよいとした場合、現場できちんと運用するためにどんなことに気をつけなければならないか、は正しく判断できないんじゃないかと思います。
だから、多くの方が言っておられるように、翻訳者も、使う使わないは別として、適切な判断が下せるよう、MTの基本的な仕組みや強み・弱み、出力結果について、ある程度きちんと知っておく必要があると思っています(その割に勉強できていないことには、今日は突っ込まないでいただけるとありがたく)。

もうひとつ多くの方が(私もですけど)おそれているのは、今後、クライアントや翻訳会社のあいだで、(数字だけをもとに)「MT主体」の方向への動きが加速するのではないか、ということではないかと思います。(確かに、訳文出力が人力と比べものにならないほど早いというのは事実だと。翻訳祭でお話した翻訳会社の方も、「文書によっては『最初の入力の手間が省ける』のが大きな強み」と仰っていて、この話にはナルホドと思う部分がありました)
確かにそんな流れを感じますが、第2セッションに登壇された翻訳会社の方や、私が個人的にお話した翻訳会社の方は、MTを使用しながらも、できること・できないことを冷静にきちんと見極めようとしておられ、使用拡大には懐疑的でいらっしゃるように見受けられました。PEはやらないと決めた場合は、そうした会社を探していくことになりますが、よく探せば意外にあるのではないかと感じました。

そうやって、「相手を知る」と同時に、自分をよく知っておくことも大事だと思います。
何度も書いていますが、私は、よくも悪くも周りの影響を受けやすい人間です。しばらく前、医薬翻訳分野にCATツールの波(のようなもの)が来たときは、「皆がその方向にいくから」という理由だけで導入しようと考えたこともありました。そういう主体性のなさってとても危険ですよね。それに「影響を受けやすい」が加わったら、もう「逆鬼に金棒」なわけで。ツールは便利だとは思いますが、この性格から考えて使用に走るのは(自分&自分の頭の中の翻訳作業&自分の訳文生成には)危険だと考えて、距離を置いています。私の場合、その延長上にMT-PEがあるという感じです。

今も、流されやすい本質は変わりませんが、立ち止まって「自分は何をしたいのか」を考えるようになりました。

そのように、「相手を知り、自分を知る」ことで、(たとえおそれるとしても)闇雲におそれることもなく、前向きな判断ができるのではないかと。考えてばかりもだめだけれど「自分できちんと考える」ことは必要。そのためには、相手を知り、自分を知ることが欠かせない。そう、自分にもう一度言い聞かせるべく、記事にしました。
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プロフィール

Sayo

Author:Sayo
医療機器の和訳も9年目。
老眼腰痛、最近は膝痛とも闘いつつ
翻訳人生をまっとうしようと奮闘中。
この頃になってやっと翻訳の奥深さ・
難しさ・楽しさが分かってきたような。
記事は「翻訳一般」多め、ときどき読書感想文、本業(医療機器)やや少な目。
(2019年4月現在)

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