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屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。


中部大学の関山健治先生(とちょっとだけ帽子屋さん)による、辞書、特にシソーラスに特化したセミナーです。

関山先生は、子どもの頃から、辞書や百科事典を拾い読みするのがお好きだったそう。「辞書が好き、辞書のことをもっと知ってほしい、もっと辞書を使ってほしい」という辞書愛が伝わってくる講義でした。さらに、最後に「翻訳者視点から」15分ほど類語辞典について話をされた帽子屋さんも、本当に楽しそうにお話しされ、子どものように一推しのアプリを紹介される。
聴衆を置いていかない程度にご本人も楽しまれる方の講義は、聞いていて楽しいですね。

これまで、日本語類義語辞典の類いについては、折りに触れて(主に帽子屋さんから)話を伺ってきました。でも、英語母語話者や英語学習者用の、英語で書かれたシソーラスについて話をお聞きするのは、今回が初めてかも。個人的には(英日翻訳者ということもあり)その中のどれかが明日からすぐに役に立つということはないかもしれません(でも、2、3冊「ほしいものリスト」に入れてしまいましたよ)。けれど、新たな発見が一杯の楽しい時間でした。あとで資料を読み返してみると、各種シソーラスが明確に分類され特徴づけられていて、難解なパズルが解けたような爽快感を感じました(いや、私が解いたわけじゃないですけどね)。


以下、セミナーのレポートです。


***

先生の自己紹介のあと、まず、シソーラスと類(義)語辞典の違いの説明がありました。
狭義のシソーラス(Thesaurus)は意味別に単語だけを並べたもの。Roget's Theasaurusがその代表格。対してABC順に単語を並べたものが類語辞典(Synonym Dictionary)。既知の単語から類似の単語(表現)をさがすための辞典です。ただし、講義では、類語辞典も含めて広義の「シソーラス」として扱うとのこと。

そう前置きがあったあと、以下の4種類に分類した広義のシソーラスのそれぞれについて、記載ページ例とともに、良い点/悪い点、代表的な辞書について、詳しい説明がありました。

1. ABC順で語義のないもの
 英語母語話者を対象とした辞書なので、英語学習者は使いこなせないかも。インデックスはない。使用する際は、「,」と「;」の使い分けに注意を払う。
2. ABC順で語義のあるもの
 インデックスにすべての語を収録。類義語「群」のそれぞれについて語義が記載されている。
 * この分類に含まれるOxford Learner's TheasaurusがiPhoneアプリにあるそうです(電子辞書にはない)。物書堂さんには、日本語翻訳版(小学館『オックスフォード英語類語辞典』-但し収録語数は6割程度)があります。使いやすそうでしたので、どちらかを購入しようと検討中。
3. 意味分類順で語義あり
 英語学習者に最適だが、既知語の類語を探す場合は面倒。
 * 実務者には、Roget'sのシソーラスの概念を学習者向け辞典に持ち込んだLongman Lexicon of Contemporary Englishが使いやすいのではとのことでしたが、紙版のみで現在は絶版(入手はマーケットから)。
4. 意味分類順で語義なし
 Roget's Thesaurusはここに含まれる。意味的に関連のある語が隣接。正反対の語をチェックするという語の探し方もできる。
 * 日本語の類語辞典では『デジタル類語辞典』がこれにあたるのかなと。
 * Roget'sのアメリカ英語版にあたるRoget's International theasaurusの5版~7版には、インデックスに参照先の語の語義が簡単に説明されている(最新8版ではこの説明はなくなり、代わりにインデックス収録語数が増えた)。

このあと、英語シソーラスを使うに際しての注意点の説明や、類義語のニュアンスの違いを知るための練習方法の紹介がありました。

最後に、その他のシソーラス(日本語から引けるもの、和英辞典をシソーラスとして使う方法、WordNet、電子辞書収録のシソーラスなど)についても説明がありました。
 * 個人的にはSIIさんが電子辞書から撤退されてしまったのは(PASORAMAや~)本当に残念ですが、カシオ電子辞書の少し古いものにも、使いやすいものがあるようですね。
 * その他シソーラスでは研究社『英語類義語使い分け辞典』(2006年、『新英和大辞典』第6版の類語欄の記載をまとめたもの)がお手頃価格(1980円)で使いやすそうと感じました。

関山先生のお話はここまで。Q&Aのあとは、「翻訳者と類語辞典」と題した、帽子屋さんのミニ講義です。

類語辞典が活躍する状況を
1. 使いたい言葉のイメージが固まっていて、ピッタリの単語を探しているとき。
2. 微妙に違う複数の単語の違いを知りたいとき。
 a. 自分が単語を選ぶ際の根拠として(翻訳)
 b. 訳文を直すときの根拠として(添削やチェック)
と分類。

そのそれぞれについて、該当する辞書の簡単な紹介がありました。「子どものようにはしゃいでおられた」のは、三省堂『類語新辞典』のアプリを紹介されたときです、ご参考まで。

* 紹介された類語辞典の一つ、『デジタル類語辞典』は私も愛用していますが、これは、上でも書いたように、「意味分類順で語義なし」に該当するのかなと思います。というわけで、必ず語義の確認が必要になるのですが(<少なくとも自分の場合)、「ツール」→「他の辞書との連携設定」で、連携先の辞書を設定し、設定を有効にしておくと、単語右クリック→「他の辞書を引く」で連携先の辞書にとぶことができます。私は、LogoVista辞典ブラウザに国語辞典をまとめているので(EBWinや対訳君には載らない辞書が増えたのですよ…)、この国語辞典グループをジャンプ先に指定しています(既出情報OR当然ご存じ情報でしたらスイマセン)。


いつもはセミナー自体も懇親会も(お世話下さる翻訳会社の方を除くと)圧倒的に女性が多いのですが、今回は、どちらも男性比率が高い印象でした。あくまで目測ですが。もしかしたら翻訳者以外の方も多かったのかもしれません。臆してしまってまったく話ができなかったのが、今となってはちょっと残念です(といっても、挨拶と世間話くらいしかできなかったと思うのですが…)。
2020.01.26 00:42 | 翻訳祭・フォーラムetc.報告(2016-) | トラックバック(-) | コメント(0) |












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