屋根裏通信

在宅で細々実務翻訳をやってます。翻訳、英語の勉強、その時々の出来事などのんびり綴っています。

というわけで、皆様にはもう少し「お登勢」にお付き合い頂きたく、宜しくお願い致します。
(その1)同様、粗筋・結末書いてますので、以下の部分にお進み頂くか否かは、ご自身の判断にてお願い致します。すでに絶版久しい「続お登勢」ですが、根気よく探していただければ、図書館またはBOOK OFFにて遭遇できる場合があります。「お登勢」のみ既読で消化不良と仰る方、是非是非頑張ってみて下さいまし。


「続お登勢」は、明治6年、お登勢が25歳の正月を迎えるところから始まります。
津田貢亡き後、登勢は、彼女を追ってきた実父玉太郎(56)、甥の仙吉(14)とともに、原生林の中の掘立小屋で暮らしています。

「お登勢」では、まだ洟垂れ小僧だった仙吉も、「続」では、立派な主人公となります。
上京し入学した開拓史仮学校が閉鎖になり、今後の進路に迷っていた仙吉は、ひょんなことから、実技の習得を目的とする官園の実習生になるのですが、この官園の責任者が、アメリカから招聘されたエドウィン・ダン、のちに北海道の牧畜・酪農の発展に、大きく貢献します。
(「N・Y小町」(大和和紀)みたい~←ちなみに、大和和紀さんも北海道出身ですので、この作品を描くにあたって、エドウィン・ダンさんを思い浮かべられたのかもしれません。閑話休題。)

その後、仙吉は、ダンについて北海道に渡り、新冠の牧の発展に尽力することになります。
家を出た仙吉に代わって、登勢の元にやってきたのが、玉太郎が南部馬を買い付けに本州に渡った際、拾ってきた孤児のお玉。官軍兵士の蛮行を目の当たりにしたこともあり、最初は、お登勢をして「悪魔のよう」と言わせるほど可愛げのない悪童でしたが、お登勢一家との生活の中で、徐々に心を開き、素直な娘に成長していきます(のちに仙吉と、互いに憎からず思う間柄になるいのですが、「続」の中では、そのあたりはかなりさらっと流されます)。

さて、稲田家士団の開拓村には、登勢を追って、志津の兄、加納睦太郎もやってきます。実は、登勢が、上京する仙吉を送りがてら、志津の遺骨を加納夫婦のもとに届けに行った際、2人は再開しているのですね。この時は、政府要人暗殺計画に加担しようとしていた睦太郎さんが、それを察した登勢に「お前がよい返事をくれるなら、自分は計画には加わらない」のようなことを言い、「若旦那様は卑怯です」ときっぱりハッキリ断られてます。それにもめげず、最果ての地まで最愛の女性を追ってきたわけです(まあ、理由はそれだけじゃありませんけど)。
「卑怯事件(?)」のくだりを読んだ際は、「コイツのこの言い方、男としてどうよ?」と思ったものですが、開拓村での睦太郎は、いわば仇敵である稲田の家士たちとも打ち解け、登勢に何を無理強いすることもなく、淡々と耕作に勤しみながら、陰に日向に彼女を助けます。そして、登勢も、そんな睦太郎に、いつか好意以上の気持ちを抱くようになっていきます。

という架空の人物たちの物語と、明治維新後の混乱から西南戦争に至る史実とが、この「続」でも、うまく絡み合っていて、続きが待ち遠しく、読む時はいつも一気読みです。ただ、ところどころに挟まっている、長めの史実描写の部分については、好みが分かれるところかもしれません(つまらんと思われる方もおられると思います)。一気読みの速度が落ちるのは事実です。

で、本筋のストーリーの方ですが。
睦太郎は、(横暴な)幕臣に対し狼藉を働いたことが原因で、西南戦争への従軍を余儀なくされますが、紆余曲折の末、無事開拓村に帰還し、登勢と祝言をあげます。この時、登勢は30歳、睦太郎は38歳(もっと長い時が流れたような読後感なのですが、意外に若い2人なのでした<当時としては、十分壮年&年増女でありましたでしょうが)。物語は、登勢が夫に子供を身籠ったことを告げる場面で終わります。また、「お登勢」では、まだまだ餓死と隣合せの厳しい暮らしが続いていた稲田家士団開拓地にも、「この地でやって行くことができるかも」という希望が見え始めています。
静内・新冠は、現在「サラブレッド王国」とも呼ばれる日高地方に位置し、このあたりの牧場からは、ハイセイコーやナリタブライアン、最近ではウォッカちゃんなど(たぶん)のダービー馬が多く輩出されています。新冠に放牧場を作りたいという登勢の夢が、現実になったわけですね。「続」では、「お登勢」で登勢の心の拠り所となった原生馬オテナ(「お登勢」では、オオカミの襲撃の際に牧から逃走、その後行方知れずとなる)との再会も描かれています。

さて。
正続を通し「お登勢」の中で一番好きな男性登場人物は、と尋ねられれば、それはもと洟垂れ小僧の仙吉君です。貢は、その心情を理解はできても、もとから余り好きになれませんでしたし、睦太郎は、年を重ねるに従い、過激な部分が影を潜め、人間的にも成長していくのがよく分かりますし、登勢ひと筋なのは好感が持てるのですが、正編で嫉妬に駆られて登勢を切ってますし、登勢に向かって「卑怯事件(?)」みたいなことを言うのも、「ちょっとね」と引いてしまう部分であります。それから、異姓として見れば、ひたすら思い続けるそのやり方が、ちょっと重いかも、とも思ったり。
(でも、貢と登勢の組み合わせよりはずっと似合いの夫婦だと思います。たとえば、登勢が「何が何でも頑張りましょう」と言えば、貢なら「言われなくとも、すでに死ぬほど頑張っているのに」とざわざわしたものを感じつつ、その思いを呑み込んでしまうと思うのですが、睦太郎なら、「よっしゃ」とやる気になると思う。そんな感じですね)。

その点、仙吉は、年齢的なこともあろうかとは思いますが、純で真っ直ぐで、しっかりしている。
この仙吉くんを託せる(?)若い俳優さんを思い浮かべるのは、とても難しい。いまだ思案中であります。今取りあえず思い浮かべているのは、崎本大海くん。今はヘキサゴンの印象が強いのですが、数年前、NHKの朝ドラで主人公の弟を演じているのを見た時は、「このコに仙吉やらせてみたい(←おまえはディレクターか<自分)」と思ったものでした(そういえば、別の朝ドラですが、三浦春馬クンも主人公の友人で出演してましたよね<侮るなかれ、NHK朝ドラ)。彼と仄かな思いを寄せ合うお玉は、志田未来さんか谷村美月さんで。15年越しの思いを成就させる睦太郎さんは、山本耕史さんにお願いできればと思っております。「魔性の女」志津お嬢様は、比嘉愛美さんでは如何でしょうか。

注) 「勝手に配役」については、諸処異論もあろうかと思いますが、個人的好みということでお許し頂ければと思います。

というわけで、「お登勢」再ドラマ化を切に願うSayoなのでした。

SayoのBackgroundについては「はじめに」カテゴリの記事をご参照ください。
2011.06.27 11:44 | 和書・洋書 | トラックバック(-) | コメント(0) |












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